第2話 「ここにいない」彼女
幹事に訊いてみた。
すると、彼女からは、欠席するとの返信が来たとの事。
あきらかに、彼女の筆跡だったことから、
連絡の取れる場所にいることは、間違いがない。
少し、あての外れた俺は、隅でちびちび飲んでいた。
「久しぶりだね」
横から声をかけられた。
「となり、いい?」
断る理由もないので、頷いた。
この人は確か・・・彼女と最も仲の良かった、
親友の女の子・・・
名前は確か・・・梨田さん・・・
梨田昌美さんだ・・・
「元気だった?」
「梨田さんも、お変わりなく」
「あれ?私の名前、覚えてくれてたんだ」
「そりゃあね」
当時、ひいきチームの監督をしていた方と、ほぼ同姓同名だからとは、
口が裂けても言えない・・・
「気になる?」
「えっ?」
「あの子の事」
あの子とは、彼女の事だろう。
小悪魔的な笑みを浮かべる梨田さん。
正直、背筋が凍った。
「あの子が、君にだけ話した言葉、覚えてる?」
「待ってるからね」
「正解」
何で知ってるんだ?
あっ、親友だからか・・・
「その意味知りたい?」
「えっ?」
「知りたい?」
知りたくないと言えばウソになる。
でも、それを知ってしまうのは時期でない気がした。
「その顔は、否定しているね」
「えっ?」
「あの子の言ってた通り、君はすぐに顔に出る」
悪かったな。
「まっ、そこが君のいいところでも、あるんだけどね」
「あっそう・・・」
何が言いたいんだ?梨田さんは・・・
「じゃあ、質問を変えるね」
「うん」
「あの子に会いたい?」
俺の顔をまじまじと見る梨田さん。
「会いたいと言えば、会わせてくれるのか?」
「ううん、会わせてあげない・・・」
「いい性格してるね」
「自分でも、そう思う」
ある意味では、魅力的な子だ・・・
「はい、これ」
「何?手紙・・・・?」
「うん、あの子から・・・君に渡して置いてくれって」
「もしかして、冷やかしてない?」
「私たちは、そこまでは、悪い子じゃないわ」
そこまでは・・・か・・・
「私も中身は読んでないけど、あの子の事はわかる」
「親友だから?」
「これを、どうとるかは、君次第・・・」
梨田さんは、少しの笑みを浮かべるだけだった・・・
こうして、一通の手紙が手元に残った・・・
そして、この手紙が、運命を変える事となる。
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