待ってるからね
勝利だギューちゃん
第1話 「クラスメイトの」女の子
「待ってるからね」
高校の卒業式の日、クラスメイトだった女の子から言われた言葉だ。
天真爛漫、自由奔放
正にそれらを、絵に描いたような子だった。
男女問わず友達が多く、彼女を悪く言う人はいなかった。
俺のような異分子にも、優しくしてくれた。
しかしそれが災いしてか、彼氏はいた事はなかったようだ。
俺も彼女の事を、好きではあったが、
「彼女にしたいか?」と訊かれると、YESとは言えない。
あまりに、畑が違いすぎた。
卒業式の後、クラスでお別れ会を開いた。
カラオケをしたり、食事をしたりで、盛り上がった。
あまり、友達のいなかった俺は、隅でじっとしていた。
彼女は、ひとりひとりに、何かを話していた。
そして、俺のところに来て、こう呟いた。
「待ってるからね」と・・・
告白を待っているとは思わない。
では何なのか?
わからなかった。
数年後、同窓会が行われた。
俺はのり気ではなかったが、渋々参加した。
彼女のあの言葉の意味を知りたかったからだ。
そして、同窓会の日、久しぶりにクラスが揃ったが、
彼女の姿はなかった・・・
そいうえば、あの時彼女は、他のみんなには、何と言っていたのか・・・
気になった。
そして、彼女の事も・・・
彼女の事を忘れている人はなく、今日も来なかった事を残念がっていた。
そしてあの時、彼女が他のクラスメイトに、何と言ったのか?
「いつまでも、友達だよ」
全員がそうだった・・・
「待ってるからね」
そう言われたのは、俺だけのようだ。
浮ついた気持ちはなかった。
むしろ、不安になった。
なぜ、俺だけ違うのか?
その意味がわかるのは、そう遠くない未来だった。
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