つづく幼児ライフ
第15話 ぼく、もふもふする。
あれからみんなとの交流も進み仲良くなって、お散歩の距離も延びました。少し背も伸びたしまだ舌足らずだけどしゃべれるようにもなった。絶対にわんこと一緒だけれど、集落の中なら何処へでも行けるようになったよ!
ニンフュはそんなに多く生まれるものじゃないらしくてこの集落に子供のニンフュはぼくだけだ。集落の人口も少なくて、えっと二十人くらいかな。だからみんなぼくを大事にしてくれるし可愛がってくれる。ありがたいんだけど…生殖もにょもにょはないとしても男型ニンフュはとても珍しい(ばあば曰く一万年に一人だとか)ということもありちょっと構われ過ぎて、今は広場でぷんすこしてます。
「ごめんねぇ、ぼくが可愛いからみんな構いたいんよぉ」
「…」
「そやそや、ぼくが可愛いからやで!今度っからローテ組んで構うさかい、許してやぁ」
「むー…」
緩めの関西弁風にしゃべる方がシェリーできつめのしゃべり方のがケーリィだ。二人は同時期に生まれたらしく常に一緒にいる。だからか二人の相棒も一緒だ。
「キュンキュン」
「キュンキュウン」
なんと狐と狸だ。二匹はモッフモフの体でぼくを挟んで誘惑する。なんとも表現が難しいが子犬や子猫のような声で鳴きながらふわふわもちもちの体をこすりつけてくる。
「キュー…」
「キューン」
「ううう」
「「キュウーン」」
「ああっもう!」
かわいいもふもふは正義!この世界の動物、というか相棒になる獣は幻獣だから寄生虫などの心配もないので安心して触れ合えるのだ。狸のお腹はもっちもち〜。狐の尻尾はふわっふわ〜。どっちももふもふモッフモフ〜。…思う存分モフってやったぜ!
「な、ええやろ?」
…懐柔されました…。
結局今日はシェリーとケーリィの二人と過ごすことになった。まあもふもふもちもちがいるからね!
「で、今日は何するん?」
「いじゅみを見て、おはにゃとあちょぶの!」
「ほな行こっ。お手々つなごかー!」
「ええケーリィばっかずるいやんか~うちとも繋ごぉ?」
「ん、どっちともちゅなぐの」
「おおさっすが、男前やで!」
「ぼくおちょこらもん」
「そやねぇ、かっこええわー」
ちょい寸足らずなので捕獲された宇宙人みたいなのは仕方がないとして、シェリーとケーリィ両方と手を繋ぎその左右から狐狸さらにわんこにも挟まれてちょっと歩きにくいけど、一歩進むたびもふもふが当たるという至福。両手に花どころか花というもふもふに埋もれながらの散歩が日課になりそうです。
もっふんもっふんしながら歩くこと数分?幸せでとろけそうだが泉に着きました。以前は覗き込んだらゆらゆらに持ってかれてすぐ寝ちゃってたけど、成長したぼくは寝ないのだ!眠くはなるけど寝落ちはしなくなったの!成長したお。
「いじゅみのにゃかはゆらゆらなにょ」
「あんまりじっと見てるとまた落っこちるでぼくー!」
「うー…もお落ちないもん!いじわりゅ…」
「ああっごめんやでー!心配んなっただけやねんて…」
「うんうん、ケーリィとうちと手を繋いで見よぉ。そしたら大丈夫やし」
「ん…ちゅなぐ」
「せやせや。しっかり支えとくさかい思う存分見たったらええで!」
うむ。からかわれただけってわかってるんだけど幼い体は反応が素直なんですぐ涙腺が緩んじゃうんだ。ちゃんと悪気ないの知ってるよ、と手をぎゅってしたら笑ってくれたので良しとする。
そっと淵から覗くと今日もきれいに透き通った水の向こうに揺れる水草がある。きらきら水面が輝いて水草も光ってるみたいに見える。川と違うから風が吹いたりしなければ動きはないはずなんだけど。
「ゆらゆーらゆれるー」
「ゆ~らゆらゆららーん」
「ゆらゆらり〜」
三人で歌ってる(ニンフュは歌好きなの)と相棒のもふもふたちもふんふんと鼻を鳴らしながら尻尾も揺らしてリズムを取る。
「ふんふん」
「ゆーららーん」
ちゃぷちゃぷ水も動いて…んー、うん。水が動いてたよ。水自身で。
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