#9 天使の翼~Wings~ 2005/01/16

 飛鳥は積極的に戦いに出て出撃費用(燃料や弾薬代)を超える金額を稼いでいた。

「マクラーレンじいさん。俺のホーネットにセミアクティブを付けてくれ。」

 アシュレイは愛機のF/A-18Cにセミアクティブ空対空ミサイルを装備するように注文する。

「はいよ。アシュレイ、聞いたか?飛鳥のやつ、あと6万Crで違約金が払えるぞ。」

「ええーっ!あいつそんなに稼いでいたのか!?」

「第4世代の戦闘機なら5機。多くても代世代を10機墜とせればいいという勘定じゃ。」

「少なくても5人、多くてもファントムに乗った奴20人殺すということだぞ。」

「もっとも生きて帰れたらという話だが。」

 マクラーレンが拍手するように手を叩いて笑うとアシュレイは呆れた顔で「じいさん。お前地獄に堕ちるぞ。」と言う。

 飛鳥はSu-27に乗って敵のF/A-18CホーネットF-16CファイティングファルコンをISMで攻撃していた。

「1機。あと1機墜とせれば玲奈のもとへ帰れる。」

 飛鳥は4連装空対空ミサイルに切り替えて前にいるF-16C、4機をロックオンする。

「あなたたちで最後。あなたたちを倒せば帰れる。帰れたらもう人殺しはしない。だから、お願い!許して!FOX3!」

 飛鳥は4連装空対空ミサイルを発射するとロックオンされたF-16Cは被弾してパイロットはベイルアウトする。それを見た飛鳥は急いでエアフィールド69に着陸する。

「マクラーレン。通帳からお金を全部引き出して!」

「おおー。飛鳥か。そろそろ来ると思っていた。200万と1万8千Crだな。ちょっと待っていてくれ。」

 マクラーレンは200万Cr(100Cr紙幣の札束200個)をアタッシュケースに2つに入れて1万8千Crは茶封筒に入れて飛鳥に渡す。

「はいよ。元気でな飛鳥。」

 マクラーレンはお金を飛鳥に渡して彼女はアタッシュケースをサダトの部屋に持っていき用意された書類にサインしてサダトに渡す。

「よし。アスカ=イザヨイ。お前を正式に兵役を解く。これで君は自由だ。あと、君のフランカーはどうする?要らないなら、正規軍に譲渡するが・・・。」

「そうですね。知り合いの飛行場に保管してもらうことにします。武装は外してください。あと、エスカルゴで給油するので、エスカルゴ共和国とアール連邦の空軍に連絡しておいてください。」

「わかった。家までのルートは手を打とう。あと、パスポートを返しておく。」

 サダトは飛鳥にパスポートを返す。

「失礼します。」

 飛鳥は兵舎で荷物をまとめている間にサダトはエスカルゴ共和国空軍とアール連邦空軍に連絡をする。

「飛鳥。いよいよお別れね。戦場が恋しくなって戻ってこないでよ。」

 アイシャが兵舎の廊下で別れの言葉を言う。

「そうね。何かあったら私の家においで。娘にも紹介したいから。」

 飛鳥はアイシャにそっとハグをするとミサイルの代わりに増槽を装備したSu-27に乗り無事に祖国であるアール連邦に帰れた。

 山の上にある知り合いの飛行場から最寄り駅までバスで40分。駅から家まで歩いて20分の住宅街に飛鳥の家がある。

「ピンポーン。」

「はーい。」

 飛鳥がインターホンを鳴らすと幼い女の子の声が聞こえてドアが開く。

「お姉さん、誰?」

 玲奈がやってくる。

「玲奈?玲奈わかる?ママだよ。」

 飛鳥はしゃがんで玲奈の目線に合わせて言う。

「ママ?ママー!」

 玲奈は飛鳥に抱きつく。

「玲奈、ごめんね。・・・ママ、ずっとお仕事で帰れなかったの・・・。」

 飛鳥は少し泣きながら玲奈を抱きしめる。


 ※ベイルアウト・・・脱出

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