なんなのだろうか、この感覚は……
狂気に満ちているのに、とてもしんみりする。
この物語は紛れもなく壊れている。
タイトルの通り、ハムスターはいとも容易く「ばいばい」されるし、文章は終始鬱屈した雰囲気を出している。
ハッピーな話とはとても呼べない。
しかし、それでもこの作品は独自の美しさを持っていると感じられる。
この話の主人公は「お姉ちゃん」だ。彼女のクレイジーさ、もとい性質は第一話で十分すぎるほど分かる。
その奇行には目を背けたくなるが、読み進めてみると別に残虐行為に楽しみや喜びを抱いたり、相手を貶めてやろうという悪意は感じられないのだ。
ならば一体、なぜ彼女は狂気を振り撒くのか。
その理由を読んでみて、これは「お姉ちゃん」の話であり「ハムスター」の話でもあるのだと思い知らされた。