102話 ザナ ~研究資料2~

カチャーー



『研究資料2。

 南東にはHUNTERハンター研究所がある。人工知能で出来たハンターがいる研究所だ。人工知能は日々進化している。このままでは皆ハンターに殺される。私は阻止する為にハンターが行っているある研究を止めに行く』



 どうやら私の嫌な予感は的中したようだ。

 この世界では何かとんでもない事が起こっている。


 私とプリンはすぐに出掛ける準備をした。



「ツキはどこ行った?」

「多分広場にいると思うけど」



 プリンはツキを探して広場に向かった。



「あ、いた!」



 私の目にツキが映ると満面の笑みで手を振った。

 そしてプリンが近付きツキに問う。



「俺達は出掛けてくる。いない間、任せるぞ?」

「どこ行くんだよ?」

「⋯⋯ハンターの所だ。映像が残っていた。確かめる為にテンと行ってくる」

「じゃあ俺も行く」

「ダメだ。お前にはここを守ってほしい」

「⋯⋯わかったよ⋯⋯仕方ねぇな」



 話しはまとまったようだ。

 欲を言えば私もツキと行動したいんだけど⋯⋯ツキまで付いて来たらここを守る人がいなくなるもんね。


 私はツキに抱きつきお別れを言った。



「⋯⋯またね」

「あぁ、気を付けてな」

「うん!」



 唇を重ね舌を絡めた。

 もうずっと会えないかのような濃厚なキスを⋯⋯。



「はぁ~行くぞ」



 呆れたプリンは背を向け準備する為に、瓦礫の建物へ足を運んだ。



「⋯⋯南東だったよな」

「うん、結構遠いね」

「途中休みながら行くと思うからしっかり準備しておけ」

「わかった」



 私は銃と弾薬、食料を大量に持った。

 それと予備の弾薬も持って行ったほうがいいと思い、街の作業場へ向かった。

 あそこにはどこで手に入れたのかわからないが、様々な物を扱い商売をしている人がいる。

 基本的に必要な物は何でも揃うから結構利用する人が多い。



「あ、キャディ婆さん! 弾薬ある?」

「あらテンじゃないかい。元気かい?」

「うん、10mmの弾薬がほしいんだけど」

「はいよ、10mmね。いくつだい?」



 いくつ欲しいかなど決めていない。

 現在の弾薬数は⋯⋯50か。案外少ないな。

 私は眉毛を八の字にして答える。



「うーん、とりあえず100?」

「弾薬10mmが100個ね。他にはいらないかい?」



 他は特にいらない。

 本当だったらスチムパックとかも欲しい所だけど、そんなに買えばキャップがいくらあっても足りない。



「うん、それだけでいいよ」

「そうかい? じゃ、200キャップいただくよ」



 200キャップだと弾薬一つ2キャップか。

 一つ単位で考えると安いけど、100個ともなると高く感じるな。



「うわっ、結構高っ!」



 咄嗟に声が漏れる。



「こっちも慈善事業じゃないんだよ。このくらい安いもんさ」

「うぅ⋯⋯はい」



 私は弾薬10mmを100個手に入れ、インベントリの弾薬箱に閉まった。

 これで準備は万全。

 敵に出くわしても弾切れを起こす心配もない。

 はっきり言って弾切れだけが怖いのだ。敵を目の前にして戦う武器がなければ無力と同義。

 だからそこら辺で弾薬箱を見掛けたら、何よりも先に入手しなくてはいけない。




 準備を整えた私とプリンは、南東にあるというHUNTERハンター研究所に向かうべく、この街ーーザナを後にした。

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