101話 ザナ ~研究資料1~
数日後ーー
ーードンドン。
畑にいるヒナと話しをしている時だった。
街の扉を叩く音がした。
私とプリン、それにツキも一斉に扉に駆け寄った。
「誰か来たね? ビーコン聞いて来てくれたのかな?」
「いいか、警戒しろよ」
プリンがそう言い、門に付いているパカッと開く小窓を開けた。
「誰だ?」
その問いに暫くの沈黙の後、扉の向こうの相手はゆっくりと口を開く。
「わしは⋯⋯コレクターじゃよ。ここを開けてはくれないかな?」
「何? コレクターだと?」
「あぁそうじゃよ。レアキャップを集めているコレクターじゃ」
この声⋯⋯確かどこかで?
それにレアキャップを集めているって⋯⋯。
「あっ! ちょっとどいて!」
私はある事を思い出し、プリンを軽く突き飛ばし小窓を覗いた。
「なんだ?!」
「この人、入れても大丈夫だよ!」
確かこのおじいさんは、私がレーダーの街に向かう途中に会ったコレクターだ。
「前に会った事あるの!」
ドンーーガタンーー
私は門を開いた。
「おいおい、本当に大丈夫か?」
横で心配していたツキが口を開く。
「うん! プカコーラ・クアンタムのキャップを集めてるコレクターだよ」
「お嬢ちゃん、ありがとうね」
このコレクターおじさんを招き入れ、商売する場所を用意してあげた。
そして一ヶ月後。
「ん~気持ちいい!」
街にはシャワーが出来た。
本当に簡単なものだけど。
私とツキで考えて作ったのだ。
水量はイマイチだが文句を言ってはいられない。
私は体を流しタオルで体を拭く。
「こんにちは、テン。次、私達も浴びていいかな?」
「うん、どうぞ」
彼女はカレン。ウェーブがかった暗い赤髪のロング。胸辺りまで伸ばした髪が風に靡いて素敵だ。彼氏もいて、いつもラブラブ。
この日も彼氏と一緒にシャワー室へ⋯⋯。
「はぁ~」
私は呆れたようにため息をつき、濡れた髪を拭く為に新しいタオルを棚から取る。
縦長の5段になった普通の棚。
普段は使わない一番下の棚にふと目がいく。
「ん、何これ?」
一番下の棚は使用頻度が低い為、気が付かなかったが何か入っている。
カセットテープのようだ。
私は急いで服を着替え
カチャーーブワン。
「おっ⋯⋯」
すると
これは珍しい。
普通カセットに録音されているのは音声のみ。
映像も録音されているなんてレアだ。
『研究資料1。
私は南東に向かう。そこである研究を手伝う。奴らを止める為に⋯⋯。
おっと、その前にあのカセットも埋めておくか。ここの隣に』
これだけだ。
研究とは何だろうか。
もしかして私の知らない所でとんでもない事が起こっているのだろうか?
私はとにかくこれをプリンに見せなければならない。
そう思った。
プリンはベゼスダの社員。
バグを取り除く為にこの世界に来たと言っていた。
この映像も何か関係があるのかもしれない。
「ね、プリン見なかった?」
「プリンなら向こうの建物に入って行ったのを見たけど?」
「ありがと!」
「あ、それより食事に⋯⋯」
シャワー室を飛び出しすぐにいたアレンに聞いてみる。
その情報を聞くや否や、私はアレンの言葉を無視し瓦礫の建物に向かった。
ここは少し整理したが未だに瓦礫がある状態だ。
この二階にプリンはいる。
ガチャーー
「プリン!」
扉を開けるとソファーに座り銃を磨いているプリンの姿が。
「どうした? そんなに慌てて」
「これ、見て!」
私は先程の映像を見せた。
「これは⋯⋯淳⋯⋯? 映像はこれだけか?」
「うん、これしかなかった」
「他にもあるはずだ。どっかに埋まっている。探すぞ」
「うん、わかった!」
私達は階段を駆け下り手分けして土を掘り起こした。
ワンワンーー!
「あ、ポチ! いい所に。ここら辺に埋まってるかもしれないの。わかる?」
隣に埋めたって言っていたから、シャワー室の近くにあるはず⋯⋯。
ポチに託すしかない。
お宝の匂いがわかるポチならきっと見つけられるはず。
ワンワンーー! へっへっへっーー
どうやら見つけたようだ。
私はポチがいる場所の土を掘り起こした。
するとーー
「これ⋯⋯」
金属の金庫を見つけた。
おそらくこの中に入っているのは間違いないだろう。
鍵がかかっている。
Easy⋯⋯これなら私でも開けられる。
ヘアピンを使いカチャカチャと動かし鍵を開ける。
カチーー
「開いた!」
金庫の扉を開け中身を確認すると⋯⋯。
思った通りだ。
一つのカセットテープが入っていた。
私はさっそくプリンの元へ行き、一緒に映像を見る事にした。
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