74話 ブリットン警察署 ~戦いの準備~

「ふぅ~危なかった~」

「気を抜くな」



 忍び足でドアの向こうへ行った私は、ドアを閉めた瞬間ドアにもたれかかった。



「大丈夫そうだな。で、どっちに行けばいい?」



 プリンは辺りを見渡しながらマールにそう問う。



「あっちはみんなが集まる広場だからそろそろ危ないよォ。早く入り口に行かなきゃッ!」



 ドアを開けた先の通路は左に広めの通路、右に細い通路があり、目の前は少し窪んでいてそこに自動販売機が二つとプカコーラ自販機が並んでいた。

 そしてマールは右の細い通路を指指した。




「ぷはぁ~今日の飯は美味かったなぁ~」



 マールが指さした細い通路のほうから、こちらに向かってくる足音と声がした。



「やばっ、誰か来る!」

「お昼終わったんだよォ。もうちょっとで他の人達も戻ってくるよッ!」






「こっちだ!」



 私達があたふたしていると、プリンが私の腕を引っ張り息を潜めた。



「(大丈夫かな?)」



 自動販売機の後ろに隠れている私は不安になり、小声でそう言った。

 私が喋る声に被せるようにプリンは、私の口を覆うように手を当てた。そして静かにしろと言わんばかりの顔でこっちを見た。


 私は小さく頷き、向かってくる何者かが過ぎ去るのをジッと待った。



「なぁ、ちょっとプカコーラ買ってこうぜ」



 そいつらは徐々に近付き、遂に隠れている自動販売機の前まで来てしまった。

 私は精一杯、気付かれないように祈った。それくらいしか出来なかった。




ーーガチャン。コロコローー



「やっぱり飯の後はプカコーラだろ、お前も飲めよ」

「あ、うん」



パンーープシューーゴクゴクゴクーー



「っかぁ~! やっぱり美味いな。プカコーラは最高だ」



 目の前の男達はプカコーラを一気飲みして、そのビンを近くにあるゴミ箱に投げ入れた。



ガンーーボトンーー



「うっし、行こうぜ」






「⋯⋯行った?」



 私は男達がいなくなったかを確かめるため、隠れていた自動販売機から顔を覗かせた。



「見つかるかと思った~」



 私は額の汗を拭い安心して地面に座り込んだ。



「こっちは危険だ」



 安心したのもつかの間、プリンが広間のほうに向かって歩き出した。



「ちょ、待ってよ。こっち大丈夫なの?」



 広場のほうにはさっきの男達が向かったはず。

 しかし今に沢山の人がこっちに向かってくる。細い通路を進むのは逆に危険だと思った私達は、広場へ向かうことにした。

 そして同時に、戦闘を交わすことは不可能になってしまった⋯⋯。



「いいか、静かに行くんだ。戦いを避けることは不可能だ。様子を見ながら進むぞ」



 広場に向かい歩みを進めながら、プリンはそう言った。



ウイーンーーガシャーー



「いざというときには私に任せて下さいね! 戦闘プログラムが作動しますのでご安心下さい!」



 管理官はそう言いながら、その壊れた機械音を放った。

 管理官は状況を把握できるプログラムはされていないのだろうか⋯⋯。



「静かにしろ⋯⋯」



 その言葉と同時に私達の歩みは止まった。

 どうやら広場に着いたようだ。

 広場にはデスクの上に沢山のターミナルが見える。そして私達が隠れているこの位置から見て右手に入り口が見える。

 しかし入り口は、どうしても見つかるような場所に位置している。


 やっぱり戦わなきゃいけないのかな⋯⋯。



「いいか、相手はまだ俺達に気付いていない。俺が合図したら一気に攻めるぞ」



 私の気持ちとは裏腹に、プリンは戦う気しかないようだ。

 こうなったら仕方ない。私は腰に付けているホルスターに手を当て、ピストルを手に取った。



カチャーー



 私はマールを守るように私の後ろにマールをかくまった。

 しかし、そのマールの手にはサブマシンガンが握られていた。

 どうやらマールも戦う気はあるようだ。



「いいか、一気に突っ込むぞ。準備はいいか?」



ーーゴクッ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る