55話 放浪旅「★」

「それで? どこへ向かうのですか? レモネードを作れる場所があればいいのですが!」



 管理官の傷は完全ではないが修復しつつあった。

 あの炎の中でよく生き延びたよ。

 そりゃ完全に前のままってわけじゃないけど⋯⋯管理官のプログラムは停止して、前のように世界の情報を得る事はできなくなった。

 至る所が破壊されていて、とてもじゃないけど修復不可能になってしまった。


 相変わらずレモネード好きは変わってないようだけど。


 その事で管理官は気がめいってしまい、管理官をあの菜園から連れ出すのが大変だったけど、なんとかプリンと私で説得してこうして三人で放浪している。

 管理官にとったらあの菜園はやっぱり思い出の菜園だったらしく、どうしても離れたくないって聞かなかったんだよね。

 私も菜園を再起できるのならあそこでまた暮らしたいけど、炎が鎮火した後の菜園はとてもじゃないけど見ていられない程めちゃくちゃに壊れていて、とても住めるような場所ではなかった。


 みんなで頑張って進化させた菜園をあんな事にしたあいつらを私は絶対に許さない。

 管理官の仲間のロボットもみんなあいつらに殺されてしまった⋯⋯。

 仮に菜園を再起できたとしても、場所を知られている以上あそこに居座るわけにはいかない。管理官は可哀そうだけど、一人であそこにいさせるわけにもいかないし連れてきたってわけ。



「なぁ、こっから西に建物あるみてぇだけど、行ってみるか?」



 そうプリンが言った。

 三人とも気分は上昇しているわけはない。でもどこか住めるような場所⋯⋯一時的でもいいから寝泊りできる場所を探さないと、三人で野垂れ死ぬ事になる。

 それだけは絶対にイヤ!



「うん、そうだね。とにかく安全な場所を探そ」



 私は悲しい表情を隠して無理に笑顔を作りそう言い歩き始めた。



「この形だと何かの工場か?」



 マーカーの形を見てプリンはそう言った。


 工場かぁ⋯⋯嫌な思い出しかないから行きたくないな。

 しかしそうも言ってられない⋯⋯私達は重い足取りで工場らしき場所へ向かう事になった。



「ここから西ですね! では急ぎましょう!」



ウイーンーーガシャーーガガガ



 管理官は明らかに壊れているような音をさせて歩き出した。



 ここの斜面は岩でボコボコしていてとても歩きにくい。地面には枯れた草と至る所には枯れた木が乱雑に生えている。

 気を付けて歩かないと斜面の下に転げ落ちてしまう。


 辺りには特に建物らしきものは見当たらない。あるのは長い筒のようなドラム缶のような⋯⋯そんなものだけだ。

 そのドラム缶が私達の行く手を阻んで思うように辿り着く事ができない。



「足元見て歩けよ。引っかかってこけんなよ」

「私は飛び跳ねる事ができません。違う道を行きましょう!」



 そっか⋯⋯管理官はロボットだから、ジャンプとかドラム缶をまたぐとかできないんだね。



「しょうがねぇな。じゃあこっちから回るぞ」



 プリンはそう言うとドラム缶がある所を避け、マーカーと辺りを見回して左のほうへ歩き始めた。

 私と管理官はプリンの後を付いていき、ドラム缶の反対側へ渡る事ができた。



「これで安心ですね! さぁ! 目的地はもうすぐです。急ぎましょう!」



 管理官はそう言って、先ほど通れなかったドラム缶を一目見ると、その先へ進んで行った。


 私達は枯れ木をかき分け、足場の悪い道をひたすら進みいよいよマーカーのアイコンがでかくなってきた。

 どうやら目的地が近くなったようだ。



「警戒しろよ。敵がいるかもしれねぇから」



 プリンはそう言うと銃を構えてゆっくりと前へ歩いて行った。



ピピーーピピーー



「え、なに?」



 プリンが音に反応して音のするほうに銃を向けた。



「おぉっと! 私を撃たないで下さいね!」



 どうやら音の正体は管理官らしい。



「そんな事より敵ですよ! 早く始末して下さい!」



 いつまで経っても偉そうなのは変わっていない。

 私達は敵の方向をマーカーを頼りに探った。



「あっちだ。行くぞ、テン」

「うん、わかった」



 私は銃を構えてプリンの後に続いた。

 辺りを見渡してマーカーを確認すると、北の方向に赤いマークが三つ付いている。おそらく敵だろう。



「敵マークが三つだから強敵ではないみてぇだな。でもプレイヤーかもしんねぇから、安心するなよ」



 プリンはそう言うともの凄い勢いで前方に移動し、敵の様子を伺っている。



「いた?」



 私は走ってプリンの後に続きそう問うと、プリンは私の口を手で押さえて腕を引っ張った。

 静かにしろって事か⋯⋯。


 プリンが見ている先を見てみると敵らしき影が見えた。

 どうやらプレイヤーではないみたいだけど、スコーピオンっぽい影が見える。

 デスコピオンじゃないからまだよかったけど、三匹もいるんじゃ慎重に一匹ずつ殺していかないとひどい目に遭うな。

 人相手じゃないから私の暗殺も役に立たないだろうし、ここは射撃の名人のプリンに任せておくか。

 射撃の名人って私が勝手に言ってるだけなんだけどね。



「お前はここにいろよ、いいな?」



 プリンはそう言うと少し前方に移動し、スナイパーライフルのスコープを覗いた。



「よし、行けそうだ」



ズキュゥーンーーカチャーー



 そのライフルの銃弾は凄い音とスピードでスコーピオンを一撃で仕留めた。

 やっぱり凄い命中率だ。



「お、出てきやがったな」



 その音に釣られて出てきた残りの二匹も、その勢いのまま一撃で仕留めていった。



ズキュゥーンーーカチャズキュゥーンーーカチャ



「よし、片付いたか」



 そう言うとプリンは、構えていたライフルを降ろしため息を付いた。


 敵が片付き私達は目の前の工場に近づいた。



発見 水道工場 EXP200



「なんか凄い場所だね⋯⋯」











後書き

ーーーーーーーーーー

名前 テン

   レベル10


武器 Hitrangeヒットレンジ10mmピストル

     →命中率を大幅に強化し、飛距離を伸ばした。さらに撃つ度に命中率が上昇していく


防具 ライト付きヘルメット(E)

           →DF(0) RD(1) EN(1) W1

   VULTジャンプスーツ(新品)(E)

           →DF(0) RD(15) EN(1) W1

   プレースアーマー(右手)(E)

           →DF(2) RD(1) EN(1)・W1.5

   プレースアーマー(左手)(E)

           →DF(2) RD(1) EN(1)・W1.5

   プレースアーマー(体)(E)

           →DF(5) RD(2) EN(1)・W3

   プレースアーマー(右足)(E)

           →DF(3) RD(1) EN(1)・W2

   プレースアーマー(左足)(E)

           →DF(3) RD(1) EN(1)・W2


▼現在能力▼


Ultimateアルティメイト Powerパワー 『4』

Newdaysニューデイズ 『3』

Inspiインスピrationレーション 『7』

Qickvartsクイックバーツ 『9』

Unknownアンクノン Lackラック 『1』

EverNeverエバーネバー 『1』


▼習得済スキル▼


Lockpickロックピック

 ランク1 BerryEasyの鍵を解除できる

・ランク2 Easyの鍵を解除できる

Hideハイド Enemyshootエネミーショット

 ランク1 V.A.R.T.S.バーツ使用時物陰の敵を撃てる。精度減少

Bloodブラッド

 ランク1 スチムパックで40%回復、RADアレイで40%除去

Specialスペシャル

 ランク1 ハンドガンの威力20%上昇

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