43話 機械的な出会い ~取り引き~
プリンは深刻な顔で管理官に提案をした。
まぁ、私が考えたんだけどね。我ながらいい案だと思うんだよね。
これなら管理官も首を横に振らないと思う。
んで、その提案っていうのは、私達がこの菜園を守る為に色々な物を作ったりする事に協力してという事。
この菜園は管理官達の思い出の場所だから、変えたくないのはわかるけど、そこで交渉よ。
管理官達はこれからも供給をし続けるはず。
その供給を私達が定期的に行うという事がまずひとつ。
そして、管理官達が何か困ったことがあれば、私達がそれを変わりに請け負うという事。
管理官から話しを聞くに、この世界の出来事、悪い事もいい事も全て、管理官のプログラムによって情報が入ってくるらしい。
まぁ破損していて情報が読み取れない時もあるらしいけどね。
そこは仕方ないよね。
長年ロボットやってれば破損もするし、それを修理する人だっていないもんね。
そしてその情報によって、管理官はこの世界を守るために、自分達の居場所を無くさないために、荒らされている街があったら敵を始末し、世界に異常があったらそれを解決するために、動いているらしい。
凄いよね。管理官一人でそんな事してるなんて。誰に頼まれたわけじゃないのに、自分が生まれたゲームの世界を壊させない為に⋯⋯。
まぁ、これは私の考えで本当はどんな考えで、そんな事しているかなんてわかんないけどね。
私達はここを拠点にする為に防御を固め建物を強化できて、さらにある程度の世界の情報まで入ってくる。
管理官達は自分達の代わりに私達が討伐やら手助けをしてもらえる。
これってWINーWINだよね⋯⋯? これといってないくらいの取引だよね?
そういえば⋯⋯管理官にはある程度の世界の情報が入ってくるんだよね。
じゃあ⋯⋯グリンフィズの人達が殺されたのも、もう街に供給しなくていいことも、わかってるはずだよね?
なのにどうして⋯⋯。
ちょうどそこだけ破損で情報が入ってこなかったとか⋯⋯?
まぁ、それはいいか。考えすぎかな?
「それはいい取引ですね! 気に入りましたよ。私達は家族! 協力して生き抜きましょう!」
ほらきた! 絶対いいって言うと思った。
「じゃあまずこの菜園の周りの柵を強化したい。それからタレットも必要だ。まずは自分の身を守らないとな」
プリンはそういうと、なんだか楽しそうだ。
まずは柵を強化⋯⋯って言ってもどうやってやるんだろう?
「おい、テン。柵を強化するためにまずは材料を集めに行くぞ」
そういうことか。そうだよね、何をするのにも材料が必要だもんね。
やっぱり鉄の柵で固めたほうがいいかな?
それともゲームであったような背の高い木の柵のほうがいいかな。
「ねぇ、どういう柵を作るの? 材料は何を⋯⋯」
私が全部言い終わる前にプリンが被り気味で話した。
「柵のセンスはお前に任せる。俺はそういう事を考えるのは苦手なんでな」
プリンはそういうと、建物の中に入ってしまった。プリンはどうやら、タレットとか戦闘機や武器を作る事のほうが好きらしい。
じゃあ、そっちはプリンに任せて、私は菜園の周りの強化に専念しよう。
設計図は管理官が持ってる⋯⋯。
私は管理官に柵の強化に使えそうな設計図を見せてもらった。
「防壁の設計図はこれですよ!」
いくつかある設計図の中から私はよさそうなものを1つ選び、その材料を頭にたたき込んだ。
ーーーーーーーーーー
設計図 防壁
材料:鉄3 木材5 タイヤ2
説明:見た目より頑丈でどんな襲撃からも守る防壁。タイヤで止めているから倒れる心配もない。
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うん、これがよさそうだね。
ゲーム通りの設計図。木と鉄で出来た防壁の下に、タイヤをいくつも置いて倒れないように止めている。
これ、敵も打ち止め出来て、結構丈夫だから重宝するんだよね。
鉄と木材とタイヤ⋯⋯。
あとは⋯⋯これもよさそうだな。
ーーーーーーーーーー
設計図 門
材料:鉄5 木材10
説明:門がなければ出入りできない。初歩的な門。
ーーーーーーーーーー
門も作っておいたほうがいいよね。出入りするのに楽だし。
ゲームの時は門作るの忘れてて、防壁だけ町の周りにぐるっと作って町の中に入れなくなっちゃったし⋯⋯。
結構、計画しないで作ってしまうくせがあるからな。
門を作んなきゃゲームの二の舞になっちゃう。材料は⋯⋯鉄と木材か。
防壁も門も材料はほぼ一緒だから、材料を持ってくれば作るのは楽そうだね。
鉄と木材とタイヤ⋯⋯大量に必要そうだな。
これから忙しくなりそう。
まずは菜園の強化に、管理官の依頼で討伐にも行かなきゃいけないし⋯⋯。
この世界に来たときはどうなる事かと思ったけど、今は案外楽しいかも。
こんなふうに何事もなく暮らしていけるのなら、この世界にいてもいいかもな。
あとは⋯⋯大輔がいれば。
⋯⋯大輔どうしてるのかな。この世界に来てるのかな?
この生活が続けば楽しいけど、大輔も一緒ならよかったな⋯⋯。
私はそう思いながら、材料を集めに外へと足を運んだ。
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