7話 最高の相棒 ~リアの酒場~
ワンワンーー
今度は何よ。
私は犬の後を付いていくと、ここの建物の裏手にある地面に埋められた金庫を見つけた。
「こんな所に金庫⋯⋯見逃してたわ」
危うくこのまま去る所だった。犬に感謝だね。
「って⋯⋯開けれないじゃん」
金庫の鍵の所にEasyと書いてある。
鍵開けには種類があって、ゲーム通りなら
どうやらここの金庫は、まだ私の技能じゃ開けられないみたいだ。
ただのぬか喜びに終わった。
「はぁ~じゃあ町に行くか」
諦めてここからすぐにある町に行く事にした。
町にはNPCがいて物の売買をしている人もいる。たまに町じゃなくても売買してる人はいるけど。
でもほとんど町にいるかな。
売買できる人は、その人が持っているキャップ以上には物は売れない。
まぁ当たり前だけど、ほとんどのゲームって持ち金とか関係なく、いくらでも売ったり出来る。
でもこのゲームは違う。
基本何でも買い取ってくれるけど、その人の所持金を確認しないと、えらい目に遭う。
自分のいらない物を売って、その人の持ち金を増やして、ほしい物を買う。これ基本だよね。
スチムパックは見つけたら絶対買った方がいいね。
あって困るって事ないし、無くなる事はあっても、有りすぎて困るって事にはならないと思う。
ちなみにキャップというのはこの世界の通貨。
こんな世界になった今、札束なんて意味を持たない。
皆プカコーラのキャップを通貨として使っている。
その中でもプカコーラ・クアンタムというレアプカコーラは価値が高い。他にもプカコーラ・ベリーやプカコーラ・メロンなど、様々な種類がある。
そのレアプカコーラのキャップを集めているコレクターというのも存在する。
その人の所にレアキャップを持っていくと、キャップやアイテムと交換出来たりする。
まぁ、
以前のお金はというと⋯⋯戦前のお金として残っている。
だが紙切れ同然のそれは、お金としての価値はなく何の札でも価値は一緒。
一応売値はついているから持ち帰る事もあるが⋯⋯。
確かゲームでは、重さが0だったから入手するだけ入手してたんだよね。
発見 リアの酒場 EXP10
「着いた、着いた~」
気が付けば町に着いてた。これも優秀なマーカーのお陰だね。
「おっ?」
町っていうか、酒場だねここ。確かここの店主に、ラジオの修理頼まれるはずなんだけど。
でも
とりあえず中に入ってみよう。
ーーガチャーーカランカラン
扉を開けると同時に扉に付いてる鈴の音が鳴る。
「いらっしゃい!」
店主が私を出迎えてくれた。
店内に並べられたテーブルと椅子。そこにはNPCがちらほら座っている。
「あ、NPCはいるんだ」
カウンターの奥には小さな部屋がある。ベッドがあってラジオやテレビ、テーブルや台所があって料理できるスペースもあるようだ。
NPCが寝泊りできるスペースだろう。
まぁ基本NPCがいる所の建物は探索しないから、ここはスルーだね。
NPCが経営している酒場や街や、住んでいる家とかは、ほとんどがそのNPCの所有物だから、物を取る事が出来ない。
出来ないというか、正確にいうと物を取ると泥棒扱いされて敵対するんだよね。まぁ、当たり前だけど。
ゲームだと入手する時に、物の名前が赤く表示される。
店主が物を売ってくれなくなる場合もあるから気を付けないと。まぁここはゲームじゃないから大丈夫だけどね⋯⋯多分。
とりあえずラジオの修理を頼まれるのか、店主に話しかけてみようかな。
「あの⋯⋯」
私は恐る恐る店主に近付き話しかけた。
「はい? 何か用?」
あれ、何も起こらない。っていうか、話の選択肢的なやつも出ないし。
ゲームだと、話しかけると話の選択肢みたいなのがいくつか出て、話をすればクエストが開始されたりしたんだけど。
これってやっぱりクエストは無くなってるって事?
「どこに突っ立ってるんだい? 客じゃないならどっか行きな」
うわ! NPCから話しを進めてきた。ゲームじゃありえないし。
クエスト中とかじゃないと、NPCから話しを進めてくるなんて事はありえない。
「ちょっと! あんただよ、あんた。そこにいられると邪魔なんだよ」
まただ。っていうか、このNPC態度が悪すぎる。
お客様は神様的なやつは、持ち合わせていないらしい。
まぁ、NPCの事はとりあえず置いておいて、どんな商品あるのか見てみようかな。
「すみません、商品見せて下さい」
「なんだ、買ってくれるのかい? はいよ」
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