6話 最高の相棒 ~おちゃめ~
ワンワンーー
「あ、やっぱり」
ゲームでも同じ場所で出会う。犬と⋯⋯。
確かこの犬、付いてくるはずだよね。ゲーム通りなら。
試しにちょっと離れてみよう。
ワンワンーー
やっぱり付いてきた。結構この犬に感情入ってたからね、私。でもたまに邪魔な時あるけど。
犬が先に行っちゃって出入口に居座って出れなくなったり、狭い通路に入ってきて通れなくなったりね。
一番厄介なのが、私が地雷見つけて解除しようとしてた時に、前にトコトコ歩いて行って地雷爆発させる時。
地雷も解除して持ち帰れば、売る時高いから金策になるんだよね。
まぁでもこの犬のお陰で、金庫見つけられたりするから役に立つんだけどね。
戦闘でも一緒に戦ってくれるし。
何て言っても、この犬、不死身だから!
致命傷負うとその場から動かなくなるけど、しばらくすると鼻息荒くして近寄ってくる。
荷物持ちにもなるし。
持てなくなった荷物を犬に持たせて、こっちは身軽ってね。まぁそれには限界もあるんだけど。
こう考えれば結構役に立つな、この犬。
「よしっ!」
ここはロケット墜落地だから特に探索する所もないんだけど、一応ぐるっと回ってみる。
小さいプレハブのような建物、入り口には受付のような窓口がついている。
外には、白と赤のどでかいロケットが突き刺さっている⋯⋯壊れていて先端が潰れている為、中には入れないがーーというか入ろうとも思わない。
ロケットの外側に付いている鉄の扉は地面にめり込んでいる。とてもじゃないけど、扉を開けられる状態ではない。
そしてプレハブのような建物の中は、受付の隣に小部屋があり、その中はまるで何もない。誰かがここに住んでいたのかどうかも、予測できない程に何も⋯⋯。
小部屋の向かい側には、少し大きな車庫のようになっていて、車庫の中にはガソリンや、何に使うのか定かではないが、何かの機械のようなものや、それに使う工具のようなものが乱雑に置かれていた。
私は機械には疎いからよくわからないけど、私が使えそうなものは何一つ置いてはいなかった。
ゲームであった武具を強化する機械も置いてあったが、それは何者かが故意に壊したんじゃないかってくらい壊されていて、原型を留めていなかった。
ゲームでその機械を見ていたおかげで、側に落ちていた工具などを見て強化に使うものだってわかったけど、全く使い物にならない。
「はぁ⋯⋯収穫なしか」
ここには本当に何もなかった。
寧ろ誰かが先に来て全部持っていっちゃったのかな⋯⋯そのくらいもぬけの殻。
後は、外から露出して見えている受付のような所だけ。まぁ、ここにも何もないと思うけど⋯⋯一応見てみるか。
「あ⋯⋯」
受付に入ろうとした時、私には見えた。近寄ってはいけないものが。
ワンワンーー
「あ、だめ⋯⋯」
犬が何か見つけたのか、受付の奥に突っ走ろうとした。
ピピピピピーーボンーー
「ほら~だから言ったのに」
私は一人で犬に怒っていた。理解出来ているわけもないけど。
受付の奥には地雷が仕掛けてあった。地雷を踏むと、ゲームでは足が吹き飛ぶ。
地雷を爆発させてしまった犬は瀕死状態だ。
足をピクピクさせながら息が荒くなっている。
キュゥゥゥンーー
見てるの可哀そうだから、スチムパック使ってあげたいけど、犬は放っておいても回復するからその必要はない。
自然治癒力が高いのか何なのかよくわからないけど、ゲームでは勝手に回復していた。
このまま進むのも危険だし、ちょっと待ってみるか。犬が瀕死になってる内に探索終わらせちゃおう。
まぁ、思った通り受付には特に何もなかったけどね。地雷も爆発させちゃったから、もう持って帰れないし。
そもそもゲームでは簡単だったけど、地雷って普通に解除出来るのかな?
やっぱり何か技術が必要だったり?
いや、でもスキルにそんなのなかったよね。じゃあ、普通に解除できるのかな。
まぁ、もうここには地雷ないし、今度地雷見つけたら解除できるか試してみよう。
ヘッヘーーキュゥゥゥンーー
あれ、まだ回復してないの? いくらなんでも遅すぎるな。
ゲームでは案外すぐに回復してたのにな。
この世界はゲームではないから、犬も回復しないの?
⋯⋯よくわからないや。
とにかくこのまま回復しないんだったら可哀そうだから、勿体ないけどスチムパックを使ってあげよう。
プシューー
私は犬の体にスチムパックの針を突き刺して、その液体を体の中に注入させた。
ヘッヘッヘッーーワンワンーー
「現金な犬だな」
どうやら回復したみたい。スチムパックを使うとすぐに体調は元通りになり吠え出した。
「もう地雷踏まないでよね」
犬の頭をポンと軽く叩き、このロケット墜落地を去ろうとした。
するとーー
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