5話 試行錯誤 ~便利なPitboy~

 色々操作になれるまで時間はかかりそうだが、なんとか大丈夫そうだ。

 本当はアイテムも、押しただけで使用できるのか確かめたかったが、インベントリにはスチムパックとプカコーラしかない。今は体力は減ってないから使うのは勿体ない。

 という事でアイテムは後で試す事にした。



 それにしても、体力の表示はPitboyピットボーイをいちいち見なきゃいけないのか? それに場所を表すマーカーもないし。


 ゲームでは画面に体力とAP、それにマーカーも出てたしな。

 マーカーとは、建造物がどこにあるかわかる道筋みたいなやつ。敵の位置もわかるし結構便利。っていうか、これがなきゃ方向音痴の私にはキツイ。


 んで、それはどこに書いてあるんだろう。


 私はPitboyピットボーイをくまなく見た。

 ダイヤルを回していくと、一番最後に設定的なものがあった。

 その設定を見てみると、色々あったがその中にHP、AP、マーカー表示という項目があった。

 私はこれだ、と思ってその項目を押してみた。


 するとーー



ブワンーー



 その音と同時に、目の前にそれぞれのメーターが表れた。

 慣れ親しんだ緑色のメーターで、HP、AP、マーカーが一気に表れた。



「うわっ、なんか出た!」



 でも目の前に出られても邪魔だな。でも消したら何もわかんないから大変だし。

 まぁ邪魔なのは仕方ないか。慣れるまで我慢だな。


 という事で、肝心なメーター類は出たし、インベントリも装備の仕方もわかった。

 後はマーカー通りに近くの建造物に行ってみよう。



 あっ、ちょっと待った。


 そういえばショートカットってどうやるの?

 そう思った時目の前をよく見れば、さっき表れたメーターに紛れて、小さい四角い枠が4つ繋がってるものがある。

 これはおそらくショートカットだと思う。ゲームでもこんな形してたし。


 私は再びPitboyピットボーイの武器覧を見てみると、下の方にショートカットと書いた項目を見つけた。

 それを押してみると、さっき入手した銃が点滅している。点滅した銃を押すと小さい四角い4つの枠が現れ、それの左を押してみると四角い枠に銃のマークが。目の前にあるショートカットを見ても同じものがある。

 これでショートカットのセット完了か。



「ふぅ~」



 じゃあ気を取り直して建造物に向かおう。

 確かゲームだと、ここを出てすぐの所にロケット墜落地があったな。そこには確か⋯⋯。


 まぁとりあえず行ってみよう。行かない事には始まらないからね。


 私はマーカーを頼りに一番近い建造物を探す。



「マーカー通りだともうちょい西かな」



 このマーカーは近い建物程、建造物の形を大きく表してくれる。

 そこら辺はゲームで慣れてるから大丈夫。


 とりあえず方向修正しながら西に向かおう。



「あっ、こっちだ」



 このまま真っ直ぐ行けば着くはず。


 それにしても、やっぱ外は怖いな。望んだ世界だけど、いざとなったら怖い。

 ゲームだったら何回死んでもやり直せるけど、今はやり直せない。もし本当に夢じゃなかったら、本当に死ぬわけだし。


 早く大輔見つけなきゃ。そしたら少しは安心出来る。

 まずはシナリオ通りに⋯⋯って、ん?

 そういえば私、VULTヴルトで目覚めたはず。


 ⋯⋯ありえない。


 だってゲームの始まりってVULTヴルトじゃないから。

 この世界になる前から始まる。


 え? どういう事? ストーリーがないって事?


 私の中に不信感が生まれた。

 この世界でサバイバルして生き残れとでもいうのだろうか⋯⋯。


 わけがわからない。そういえばPitboyピットボーイを見た時、クエスト覧が綺麗さっぱりなくなっていた。

 今更だけど、私の今いるここではストーリーもないし、サブクエスト的なやつもないって事?


 ⋯⋯なんでこうなったの?



「もう、わけわかんない」



 まぁ今ここでそれを考えても仕方ないか。

 とりあえずロケット墜落地に⋯⋯。



「あ⋯⋯」



 余計な事を考えてる内に目的の場所に着いたみたい。



発見 ロケット墜落地 EXP10



 場所を発見した時は、メーターがある位置と同じ場所にその表示が出るらしい。発見場所と経験値が。

 このゲームは場所を発見しただけでも経験値が貰える。

 だからマーカーを見て近くに建造物があったら、とりあえず行く。



「そうだ、私の記憶が正しければ確かここに⋯⋯」

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