2話 理想の世界へ ~VULT~
「おぉ! この感じやっぱり⋯⋯」
うん、間違いない。F.o.D.の
確かこのゲームの始まりは
私の感情が高ぶる。
例え夢だろうと私の望んだ、この世界に私は今いる。
早く外に出て、この荒廃した世界を実感したいと思いつつも、
何故かというと、この
F.o.D.は、そこにある物はほぼ何でも入手する事ができる。
重量というものが存在するから全て取る事はしないが、必要な物を探しながら未知の生物と戦う。
これが楽しいのだ。
今までは踏み潰せる程小さかった生物も、この世界ではとてつもなく巨大化している。
虫一匹にしろ、何の
放射能を浴びまくっている生物は、攻撃に
だから
ちなみに
言わば放射能の事だ。
「あっ! スチムパックだ」
スチムパックは減った体力を回復するもの。F.o.D.ではとても貴重なものである。
「プカコーラもこんなに沢山!」
プカコーラもまた回復アイテムなのだが、これは徐々に回復するもので、さらに
しかしスチムパックは非常に貴重な為、普通はプカコーラから使用する。
プカコーラは必須アイテム。入手しないと結果的には死んでしまう事に繋がる。
むしろ
薬品系は見逃さず入手していかないと、このゲームでは生き残れない。
「うわっ! ゴキブリみたいなやつ!」
ゴキブリみたいなやつとは⋯⋯ゴキブリみたいなやつだ。
いや、巨大化したゴキブリだ。
正式名称は確か⋯⋯ブラックアーズだったはず。名前だけ一丁前。絶対に序盤に出てくる敵の名前ではない。
攻撃を食らうと
「どうしよっ⋯⋯まだ銃ゲットしてないのに」
私は辺りを見渡すと、都合のいい事にすぐ近くのトランクの上に警棒が乗っている。
その警棒をすかさず手に取りーー殴る。
ポカッーー
「うわ! いっぱいいる。キモっ」
近寄ってきた巨大化ゴキブリを、少しずつ下がりながら殴り倒す。
何故下がるかというと、自分から寄っていくと、例え虫一匹でも囲まれて後ろから、ボコボコ攻撃されてあっという間に死ぬからである。
もっと言うと、ボコボコ攻撃を食らうとダメージというよりも、
シャッーーザドンーー
予想通り一撃で動かなくなった。
小さな羽をバタつかせ、こちらに飛んで来たと同時に地面に落下した。
羽がもぎ取れ散らばっていく。
見たくない光景だ。
私は気持ち悪さから、すぐにその場から立ち去った。
そして出口を探し歩みを進めた。
「おっ! やっと出口だ」
この
ようやく荒廃した世界と対面できるのだ。
出口には、部屋に付いていた扉とは比べ物にならない程に大きな
部屋の隅にある、扉を開けるであろう装置に近付く。
そこは今私が立っている地面より一段高くなっていて、短く小さな階段が付いている。
そこに上ると死体⋯⋯? いや、もう相当な日数が経っているであろう、骨になった死体が転がっていた。
そこで初めて
その骨の死体が身に付けていたであろう、
ゲームでしか見た事なかった憧れの
手に持った時は案外重量感があり、更に私の感情は高ぶった。
「これが
それはゲーム通りならこの
機械全体は薄い黄色というか肌色というか⋯⋯くすんでいてもはや何色なのか定かではない。
左側には透明の小さな小窓が付いていて、中には何かをはめ込むような窪みがある。
おそらくここに
丸くてぶっといコンセントだ。
私はそのコンセントらしきものを
カチャーーウィーーンーーガガガガ。
「おぉ!」
窪みに差し込むと、今まで静かだった機械が呼吸を始めた。
そして差し込み口の周りにゲージのようなものが出現し、徐々にゲージが貯まっていくのがわかる。
これが全て赤色で埋め尽くされれば充電完了の合図だ。
そう長くはなかった。
優秀な
そして窪みから線を抜き取った。
ブンーーブイーンーーピピピーーザザーー
そして
これは何度も見る事になる、生きるのに必要不可欠なものだ。
何から何までこの
まずは
この仕様はゲームで主人公がダイヤルを回しているせいで、咄嗟に操作する事が出来たのだ。
するとあるテープがある事に気付く。
「ん? ゲームではこんなのなかったな」
ゲームでは入手しなかったあるテープを発見し、それを
カシャーーピピーー
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