第16-4話 チュパカブラ大作戦(4)
オカルト研部室にいる二人はモニターを見ながら、各場所の石壁シャッターを開閉していた。愛結が再び移動し始めたひなたたちを、朝霧が紺乃と千瀬の様子を確認していた。
「……愛結様、進捗はどうですか」
「至って順調ですの」
『こちら平崎。図書館まで誘導したわよ。ちょっと多いから間引いておくわ……って、え? なにこの化け物!? 動きが普通じゃな――!?』
「平崎さん……? どうかなさいましたか?」
ブツンと、突如途切れた通信に愛結は眉を顰めた。
「はいはい! 大群連れてきたんだよ! 対処をお願いするんだよ! ところで千瀬ちゃんがどうかし――」
そう言いオカルト研の部室に入ろうとした紺乃が、ばたりと倒れ込んだ。突然意識を失った彼女を見て、椅子に座っていた愛結と朝霧は表情を強張らせた。
「桜咲さん!? ……な、貴様はいったい!?」
床に倒れた紺乃の背後からチュパカブラとは異なる者が顕れた。黒いオーブを身に纏った謎の人物を前に、愛結たちは身構えた。
◇
「よし、いい感じにシャッターが開いているぞ」
遠回りしながらも護たちは着実に高校棟四階にある図書館に近づいていた。四階までの階段を登り切り、残りは廊下を進むだけとなった。……しかし、その目前で石壁が落ちてきた。
「くそ、もう少しだってのに!」
壁を叩く護の背後で、ひなたは眉を顰めた。愛結から受けた説明では、この道を辿ると目的地に着くはずだった。
「愛結さん、まだ遠回りするのですか? ……愛結さん?」
イヤホンに声をかけるも応答はない。回線自体が落ちてしまっているようだ。
「ひなた、とりあえず元の道を戻るぞ」
来た道を戻ろうとひなたの手を引いたとき、背後でガジャンと大きな音がした。振り返ると背後も石壁が閉まっていた。
「これは、閉じ込められたか!?」
「何が起きてるんですか……?」
予想外の出来事を前に、ひなたは不安げに呟いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます