第3-4話 相談(4)
「うふふ、さしもの貴女もわたくしの魔法の前に言葉もありませんわね」
「文句しか出んわ! しかも貴様は明らかなミスを犯している!」
「ミス? この完璧超絶美少女の
「新しい銅像の顔をよく見ろ!」
「何か問題がありまして?」
「これは校長ではない! バ○ク・オバマではないか!」
それはよく見ると、元アメリカ大統領のバラ○・オバマの銅像だった。
「ふむ、確かに○ラク・オバマに見えなくないこともないですわね」
「どうみてもバラク○オバマだ! お前は校長の気持ちを考えろ! 自分の銅像がいつの間にかオバマに変わってしまったことを知ったら、校長がどんな顔をするか! ゆえに、これはこうしてしまうのだッ! ばしゃあ!」
「それは、硫酸!? なんで劇薬をぶっかけるんですの!? そんなことをしても、銅像の顔面がドロドロに爛れるだけじゃ……ハッ、まさか!?」
「そうだ! さきほどまでならバラク・オ○マの銅像であったが、これで誰の銅像か分からなくなっただろう! つまり校長の顔である可能性が否定できなくなったのだ!」
「むむむ! しかし、それを言うならまだまだ甘いですの! この程度の爛れ具合では、校長が『これは顔の爛れたバラク・オバ○なんじゃないか?』と勘づいてしまうかもしません! ゆえに――みらくる☆エクスプロージョンですの!」
お嬢様が指を鳴らすと、どこからともなくロケットランチャーの弾が飛んできて銅像に命中した。
「今の炸裂弾はなんだ!?」
「MPを一千万ポイント消費して発動する攻撃魔法ですの。それより御覧なさい、顔が半分大破して完全に誰か分からなくなりました!」
「誰か分からなくなったら意味がないだろう!」
「バラク・オバ〇よりかはマシですの!」
「馬鹿たれ! 大破した銅像など校長に見せられないだろうが! くそ、こうなれば私の創った自己生成型特殊金属性植物で顔を生やすしか……」
「なんですのそれ!?」
「我が科学で開発した、金属から金属を生み出す植物の種だ。植えるとそこから金属がうねうねと繁殖し始めるぞ。放っておくと無尽蔵に増えるが、不要な分はこの空間消滅砲で消すから問題はあるまい」
「それは使うなですの!? わたくしが魔法で職人を召喚しますから!」
「なら、ついでに筋骨隆々な腕を二、三本追加してみてくれ。その方がカッコよさそうだ」
「いっそ全身ごと創り変えて斬新なポーズを取らせてみるよう命じておきましょう」
――そして、数分後、
「なんだろうか、これは」
「校長がゲシュタルト崩壊しましたわ」
ヘリコプターで運ばれてきた銅像は、土台の上に片足で立ち、右腕と左足を空中座禅した状態で左指を天に掲げた、シュールな芸術作品に仕上がっていた。
「くっ! 今日のところはこれくらいにしてやる。だが……分かっているのだろうな? 期日までもう数日もないのだぞ?」
「そっちこそ、せいぜい足掻くがいいですの!」
二人は再び視線を激しく交し合ったのち、ぷいとそっぽを向いて去っていった。
そんな彼女たちの一部始終が終わるとともに、千瀬たちのいた廊下から野次馬が引いていった。
「なんだか凄くユニークな人たちだったね」
「変人よ。確か科学研究部とオカルト研究部だっけ。魔の三号館の部活だし、いい噂は聞かないわね。絶対関わりたくない人種だわ」
「……これです」
「「へ?」」
いつの間にか背後にやってきていたひなたの声に、二人は目をぱちくりとさせた。ひなたの目がきらきらと輝いている。……二人の頬に嫌な汗が伝う。
「わたし、決めました! あの方たちに恋愛相談しに行きます!」
「「えええええええええ!?」」
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