第24話 遠くへ行くの

 ちわっす、あたいだよ。


 さっき、最大のご贔屓さんがいらして、あたいに小言をしに来たの。そしてこう言ったわ。

「喧嘩両成敗。向こうは詰め腹切ったよ。あんたはどうする?」

 ああ、そうなんだ。なら、あたいもどうにかしないとねえ。

 そうしたらご贔屓さんがこう勧めてきた。

「仏門に入らないか? ツテはある」

 とね。あたいは近所の寺で写経でもするのかと思ったが、ご贔屓さんが言うにはどうも違う。東北の奥に総本山のある華麗宗という、仏教界最強の荒業で知られる宗派で修行しろって言うのさ。はあ? って一瞬は思った。でも考えた。あたいの心には餓鬼畜生が住んでいる。それを滅ぼすためには荒業も必要だとね。


 そういうことで、あたいは、北の北へ修行に旅立つわ。予想外に長くここにいすぎた気もするしね。悪党はここいらで消えるよ。騒がせてごめんな。でも、満願成就したら寺が持てるらしいよ。ご贔屓さんが盛大に建立してくれるってさ。そんときは、もう何やってもいいらしいから、おおっぴらにさあインターネットで説法するよ。そんときはよろしくな。

 はい、本当にさようなら。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

あたいはぺこりじゃありません よろしくま・ぺこり @ak1969

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ