エピローグ


ギチギチという耳障りな音で目が覚めた。


まだ起きたくなくて目をつむったまま寝返りを打とうとしたが、体を動かすことができない。

その異常な状況に驚き目を開くと、目の前に見たこともない赤黒い怪物がいた。


私はパニックになり悲鳴を上げた。

逃げようとしたが、赤黒い怪物から伸びた職種に絡まれているので身動き1つできない。


ギチギチという音はこの怪物から発せられているようだ。

怪物はもがく私を見て笑っているように見えた。


これはどういう状況だろうか。

確かカプセルの中で眠った。

そのまま起きることなく死ぬ筈だったのに。


もしかして騙されたのだろうか。


怪物の口が開き、私はその口に近づける。


待ってよ!

死にたいとは思ったけど、こんな最後は嫌だ!

安らかな眠りの中で死にたかったのに、これじゃ約束と違う。


私の上半身が怪物の口の中に入り、胴体が真っ二つに切断される。


痛みで悲鳴を上げるが、すぐに頭を潰されたので意識はなくなった。


死んだ後も意識があるなら、痛みを感じる時間が短くてよかったと思っただろう。






今から22年前、エイリアンが地球を襲撃した。


現代の地球人の技術力はエイリアンの技術力に叶う筈はなく、各国の首相や大統領は暗殺され、見せしめの為に主要な都市を破壊された。

核兵器を使用したが、特殊な電磁波を使われ、コンピューターが正常に動作せず不発に終わった。


抵抗する手段を奪われ、降伏するしかなかった。


エイリアンの要求は1つで、定期的に生きた人間を差し出すことだった。

そうすればこれ以上の攻撃は辞め、人間はこれまで通りの生活を送ることができる。

だが断れば全ての人間は自由を奪われエイリアンの奴隷にするとのことだった。


各国の代表は話し合い、そしてすぐに結論に至った。


人間を差し出せばいい。

しかも話を聞くと各国が協力して集めれば無理なく集めることができる人数だった。


所詮他人の命だ。

移民や身寄りのない子供、1人暮らしの老人など誘拐しても問題ない人間は多くいるし、他にも人間を集める手段は沢山ある。

金持ちや都合のいい人間だけ生き残ればそれでいいと考えた代表達はエイリアンの要求を簡単に受け入れた。


それがエイリアンの襲撃に対する解決策だった。


日本も人を集める手段を探したが平和な国では集める人に限りがある。

その為自殺志願者という嘘の広告を使った。


自殺希望者の多い日本では効果が絶大で、募集をかける度に必要な人数が簡単に集まった。


エイリアン達は最高の珍味にありつけ、と同時に自然保護の概念もあるので友好を気づけるならできるだけ以前の状態を維持する。


地球はこうして平和が保たれた。

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自殺志願者募集 泡芙蓉(あわふよう) @yuyu83

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