第5話 鉄くずの世界
世界を窓から傍観するのは好きだった。
自分とは違う自分が居るような気がするから。
世界を窓から傍観する以外できなかった。
自分の理想とは違う自分がいるのが分かっていたから。
いつの間にか自分の世界は窓の向こうで、5畳半は思考する場所になった。
そうなることが必然だった。
すべて壊れてしまえばいいと思っていた。
いつの日かそんな日が来ると思っていた。
そういえば思考することが当然になっていた。
思考するための「私」がいつの間にか生まれていた。
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