第4話 壊れた鉄くず

「俺」は居なくなった。崩れ落ちた。こぼれ落ちた。

そして、それを支えていた体も油が切れたように動かなくなった。


ただの鉄くずは5畳半の世界に閉じ籠もった。

必要とされない事が分かっているから、理解していたから。

世界中を見渡せる窓しかない狭い自分だけの世界に。


世界を見渡しながら体に油を差して見るが動かない。

世界を見渡しながら仮面を作ってみるが何を作ればいいか分からない。


何もできない自分の存在価値を考える。

初めて思考する。IFの世界を思い浮かべる。

答えは出ない。


世界を参考に組み立てては崩して壊す。

世界を参考に組み直しては分解する。

やはり答えは出ない。

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