第38話 新生徒会始動です。
うちの生徒会室の各座り位置は決まっていて、まずデカイ会長席が一つ、後は机を向かい合わせにして会長席の前に繋げていく。
順番は会長の前から副会長、書記、会計。なのだが、会計が二人いれば、空席でも大丈夫とされている会計監査の職に、わざわざ
「会計監査までいるのって15年ぶりらしいよ」
「そーなのか。てゆうか机なくね?」
「多分裏部屋にあるから妻夫木取ってきて」
「あいあいさ」
うん、机も椅子も2セットそのままあるな。この部屋の掃除は皆でいつもするようにしてるのでそこまでホコリっぽくもない。
よっと運び出そうとするが。
「孝宏くん」
「がっふ!?」
まさかの
「大丈夫?」
「なーに、余裕余裕、どうした?」
めっさ痛かったが、こんなのを痛がっているところを遥さんに見られるのは末代までの恥。痛くない痛くない、もう蚊に刺された程度、ハハッ、この程度かよ机ェ!!
「……だの?」
「へ?」
真剣な表情の遥さん、しまった机を煽り倒していたら、遥さんの簡潔かつ洗練された無駄のない質問を聞き漏らしたようだ。詰んだ。
「ご、ごめん
尋ねた瞬間、遥さんの表情がまた曇った。え、何でだ。聞き返しただけなのに。
「変な音しましたが、大丈夫でしたか?」
「大丈夫だっつの」
同じく裏部屋にやって来やがったお嬢こと新垣。危ない、机落としてるところ見られてたら絶対馬鹿にされていた。
あ、そうだ遥さんは……むっすーとしてるぅ! 可愛いいいいい! じゃない。完全に俺が怒らせとるやんけ。一体何が……。余裕をかましていた俺の顔そんなに怖かったかな……。
三人で裏部屋から戻ると、もうあと弁当食うだけって感じで陣内と
「さーて、じゃあ、簡単に自己紹介していこうか。みんな座って座って」
陣内が俺らを急かす。
新垣の席は一応会計二つ向かい合わせた席の横に垂直、つまり陣内と真向かう形の席となった。
席に全員ついたのを確認した陣内は手を挙げて、軽快な声で音頭をとる。
「はい、じゃあ私から、生徒会長の
「おいこらバ会長殿? おふざけが過ぎますわよ?」
「だーっはっは、今のナシナシ、本当の事だけど」
「本当の事って言っちゃってるからな?」
俺の怒髪天ツッコミも全く意に介さず、陣内は続ける。
「色々と決める権限は私にあるけど、私はみんなの意見を絶対に
うん、俺のツッコミは蔑ろにしてるけどな。
「分かりました」
「はい」
「よしっ、じゃあ次副会長」
二人の返事を聞いて、陣内は満足そうに頷いて、昂輝に順番を促す。
「
「福山さんは県大の常連と聞いた事があります。凄いんですね」
「新垣さんありがと。褒められるの待ってました。でも県大止まりだよ」
爽やかーに、自慢と謙遜を両立させる昂輝くん。相変わらず嫌な奴特有のオーラ無しにそういう事言えるのすげーよ。あと趣味将棋とか今度俺に指南して。
「じゃあ
「
「趣味パンチって何」
「パンチ極めるのが趣味なんだほっとけ」
「パンツ極めるのが趣味?」
「会長、孝宏がパンツ盗難で捕まる前に矯正を!」
「お前ら打ち合わせしてないよな!?」
叫ぶと、いい顔で陣内が笑って告げる。
「趣味なんだほっとけ」
「ほっとけるか!」
もう嫌だ。何で俺をdisる時息ぴったしなのうちの生徒会。
「さて、じゃあ、新しい二人の自己紹介前に愛生に来て欲しいところだったけど……」
「おっ待たせしましたー!」
勢いよく入ってきた柴咲ことクソ会計。間違った逆か。ちょっとハァハァしながら入ってる辺り走ってきたのか。廊下を走るな。
「おーグッドタイミングー。愛生、自己紹介と趣味と得意な事言って」
「自己紹介ですか?
「お前らほんましばく!!」
どうやら僕の生徒会の立ち位置を思いっきり、新人二人に知らしめようとしてくれたみたいです。
余計な事を……。
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