紡がれる歴史:グランベル帝国〜マナムの樹〜
大陸の東側を支配するグランベル帝国は、皇帝と皇帝に仕える騎士たちが各地を治めています。名の由来には諸説ありますが、古い言葉で「安寧」を意味するものというのが主説のようです。地神オクスの加護の薄い峻厳なる地において、それは人々の願いでもあったのでしょう。国章には皇帝を表す紋章の上に五本の剣が描かれています。
先帝マティアスは、常に民の幸福を願う心優しい人物でした。当時皇太子であった彼はローザリア聖教の仲介のもと、折り合いの悪いガレリス同盟と友好条約を結ぼうとしていました。そこで、マティアスはのちの妃アリエットと運命の出会いを果たします。アリエットは同盟の盟主の付き添いとして同行していた姫君で、二人は互いを一目見て恋に落ちたと言われています。それまで恋多き人として知られていた皇太子は遊び歩くことをやめ、アリエット姫を妃に迎えました。
その際、帝国に一本の苗木が持ち込まれました。帝国の痩せた土ではたちまち枯れてしまうだろうと言われていましたが、二人は土を改良し、樹を守り育てました。マナムの樹と呼ばれるこれは両国の友好の証として大事にされ、二人の子である皇太子エミルユールが成人した日に大輪の花を咲かせました。花言葉は、〈あなたとともに生きる歓び〉といいます。
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