エルカエレミア -Rydias erl Altasia-

生まれし神々：ケルド十二神

　〈災いの門〉が開くと同時にこの世に現れた十二の存在を、私たちは神と呼んで信仰しています。彼らはアルタシアをこの地に呼び寄せ、共に戦いました。彼らは〈大崩落〉に関わっているのではないかとの見方もありますが、彼らは彼らの論理で人と共に歩んできました。そしておそらく、これからも。

　彼らは積極的に人と言葉を交わすことはしませんが、自らを信じるものに加護を与えます。怪我を負わなくなったり、逆境を好機に変えたり、痛みを和らげたり……でも、心に留めておいてください。人が大きな力を欲する時、彼らは供物を求めます。捧げるものを、人は選ぶことができません。願いの大きさによっては魂を奪われることもあるでしょう。彼らは神、私たちは人。それを、よく覚えておいてください。

　戦神ダナンは勝利を司る男神で、戦争や不和の象徴でもあります。兄に裁神フォドラ、妹に慈愛神イベリスを持ち、力強く、豪放な性格です。厳格な兄の小言を嫌っていますが、そのあり方に敬意を表し、兄の下した裁決には従います。彼に従う者はその猛々しさを受け継ぐと言われています。

　裁神フォドラは戦神ダナンの兄であり、裁定を司る神です。過激で短気な弟ダナンの手綱を唯一握れる神であり、また、神々の抗争の仲裁役でもあります。裁判官の守護神として祀られ、彼の信頼を得る者は曇りなき眼を持つと言われています。

　慈愛神イベリスは幼い少女の姿をした女神で、裁神フォドラと戦神ダナンの妹です。戦いで傷ついた人々を受け入れ、罪を犯した者たちに赦しを与えると言われています。彼女の友として認められれば、寒さに苦しむことはないと言われています。

　星神アヴィオルは全天に輝く星々を司る神です。太陽神ナリオン、月神ロドマーの兄であり、《大崩落》によって困窮するケルドの地にアルタシアを導いたと伝えられています。聡明で慈悲深い神であり、人々とは距離を置きながらも常にその営みを見守っていると言われています。

　太陽神ナリオンは陽の光をまとった女神です。月神ロドマーの双子の姉であり、星神アヴィオルの妹です。無邪気で明るく、神々の中では地神オクスに並んで人々の信仰を集め、その近くにいると伝えられています。ロドマーと交代で大地を見守り、彼女の寵愛を受ける者は火による傷を受けないと言われています。

　月神ロドマーは月の光をまとった女神です。太陽神ナリオンの双子の妹であり、星神アヴィオルは兄にあたります。姉ナリオンとは対照的に物静かでおとなしく、慎ましやかで表舞台に出ることはほとんどありませんが、命の眠りを優しく見守っています。神々の中では除け者にされがちな冥神シュディアとは親友同士で、気が合うようです。

　冥神シュディアは死と死後の世界を司る男神です。月神ロドマーとは親友同士で、同一視されることもしばしばあります。彼は死後の魂が安らかであることを願い、滅びゆく命の美しさを尊び、死の苦痛を取り除くと言われています。このような性格から、復讐神バキアとは対立しがちです。

　復讐神バキアはあまり表立って信仰されることのない神ですが、争いのあるところに姿を現し、求められれば戦神ダナンと並び立つ力を持つと伝えられています。彼は決して悪神でなく、人の子を唆して復讐に向かわせることはしません。自らの意思で復讐を望み、剣を取った者のみを守護します。

　医神ケルクスは万病を癒す薬の入った壺を持つ女神で、医療従事者の守護神です。病に伏せる者を慈悲を与え、彼女を信じる者は癒しの加護を得ると言われています。

　知恵神ミュドラは十二神の中でも最も知恵ある神で、幼子の姿をしていますが、それは仮の姿で、本来は小さな老婆なのだと伝えられています。神々のまとめ役であり、横暴な神々もその声に耳を傾けます。知を求めるものすべての守護神であり、命の歴史をすべて記録していると言われています。

　地神オクスは太陽神ナリオンと並んで人に近しい神です。岩や鉱石が集まった体をしているとされ、戦神ダナンを押さえつけることができる力の持ち主です。彼の慈愛を受ける大地は実り豊かなものになり、災害も少なくなると言われています。

　運命神ユークレクスはアルタシアと契約を結んだと伝えられる神です。逆境に光明をもたらすという彼は、ローザリア聖教の信仰神として祀られており、生きとし生けるものすべての運命を司ると言われています。