第22話
「はあ」
「まあ男という生き物はどうしようもないね。心の中ではわかってはいるんだろうけど、世間で俗にいう魔がさすというやつだね。早いとこ手を切ったほうが身のためだと思うよ。どうせ遊ぶんならあと腐れのない遊びをしな」
「おっしゃるとおりです」
弓削は胸の裡を見透かされて悄然となった。
ふたりの間に沈黙の時間が流れようとしたとき、客を見送って店に戻ったくにちゃんがタイミングよくふたりの間に入って世間話で場を繕ってくれた。どこの飲み屋でも酒を飲みながらの話題は四通八達でどこにたどり着くか誰にもわからない。よくしたものでみんながそのつもりで話をするので誰も気に停めることがない。
弓削たちとくにちゃんの三人だけになった店の中は、誰に憚ることなく好き勝手な話題を散りばめた。
しばらく賑やかに話がはずみ、ひと呼吸おいたとき。弓削は酒のちからを借りて、だめもとで思い切って占い師に頼んでみた。
「先生、厚かましいお願いがあるんですが……」
「わかってるよ。また宝くじだろ? そんなことだろうと思ってたよ。お前さんは見かけに寄らず以外に遠慮深いんだね。まあ、そういうとこがあたしも好きなんだけどね。だけど、あたしの前で隠し事は無駄よ、あんたの思ってることが手に取るようにわかるんだから」
「まいったなァ、先生の前では本当に何も隠せませんね」
そういわれるとこの先どう接したらいいものか見当がつかなかった。
「そいで?」
「すいません、今度は四桁のやつをお願いします……」
弓削は遠慮をどこかに置き忘れてきたかのようにいう。
「わかったわ。……くにちゃん、割り箸をくれる?」
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