004:だよん。

 

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『335:28:47』



 だよん、がウザい……。

 ウザい、ウザすぎるなんだよこれ。

 まぁ、それは一旦置いておこう。

 気になることは山ほどあるが、まず無視できないのが一番下の数字だ。


 刻々と時間がなくなっていっている。

 間違いなく"何か"までのカウントダウンだ。

 様々な予想を立てるが、どれも確信を持てるものはない。

 当たり前だ。

 手がかりが少なすぎる。


 残り時間は……約2週間ってところか。

 きっと、これは焦らなければいけないことだろう。

 悠長に時間を浪費することはできないという事だ。


 まぁ、だからといって焦りすぎもよくない。

 できることから一つ一つ解決していこう。


 さて、じゃあまずは────



 俺は『ステータスだよん♢』をクリックした。




 名前:ルイ

 種族:魔王【堕天種】

 Lv:1

 攻撃:D

 防御:E

 魔力:C

 敏捷:D

 精神:A

 DP:1000


【エクストラスキル】

〈コミュニケーション:Lv.1〉


【スキル】

〈魔素吸収〉〈ダンジョン生成〉〈領域〉〈配下創造〉〈物質創造〉




 …………。



 …………。



 …………。



 わからん。

 なんだこれ、どういう意味なんだ?

 スキルって何?

 エクストラスキルって何?

 〈コミュニケーション:Lv.1〉って……。

 俺のコミュ力はレベル1ってか!?

 うるせぇよ! 余計なお世話だわ!


 しょうがねーだろ。

 だって俺は、人間なんかと喋りたくなかったんだからな!


 はぁ……。

 これだけじゃはっきり言って何もわからん。

 なんかないのか……。


 俺はいろんなところを手当たりしだいにクリックしてみた。

 すると────



 魔王【堕天種】:ダンジョンを支配する種族。



 簡易的な説明が表示された。

 それにしても魔王って……。

 なんだよそれ、恥ずいわー。

 変えてくれー恥ずいわー。

 27にもなって魔王はねぇよ……。


 本当に最低限の情報しかない。

 気になる『堕天種』には一切触れられていなかった。


 ─── まあ、予想できなくはない。


 ヒントはあの招待状。

『いい種族になれるといいね』という管理者Lのあの言葉。


 その"種族"とやらから無作為に選ばれた結果、俺は『堕天種』とやらになったのだろう。

 それが当たりなのか外れなのかは、見当もつかないが。


 でも、嬉しいな。

 俺はもう人間ではないわけだ。

 本当に嫌だったんだよ、自分がアイツらと同じ『人間』だという事実が。


 さて、考察を続けよう。


 俺は他の項目も順番にクリックしていく。




 Lv:強さの指標。生物的格の指標。


 攻撃:物理的な攻撃能力。


 防御:物理的、魔法的攻撃を防ぎ、自身を守る能力。


 魔力:保有可能魔力量の指標。


 敏捷:立体的移動能力。


 精神:精神系攻撃能力、精神系防御能力の指標。


 DP:ダンジョンポイント。


 エクストラスキル:超希少特殊技能。


 スキル:特殊技能。


 コミュニケーション:あらゆる生物との意思疎通を可能とする能力。


 魔素吸収:大気中の魔素を吸収、変換し、自身のエネルギーとする能力。


 ダンジョン生成:ダンジョンを生成する能力(DP使用により)


 領域:自身が支配する領域拡大能力(DP使用により)


 配下創造:配下創造能力(DP使用により)


 物質創造:物質創造能力(DP使用により)




 …………本当に最低限だな。

 だが、大まかなことはわかる。

 わかるが……。

 きっと、大まかではだめだ。


 俺はあの招待状の言葉を再び思い出す。


『意外と難しくて、なめてるとすぐに死んじゃうから頑張ってね〜♪』


 これは直感だが、この言葉は嘘でも脅しでもなんでもない。単なる事実。

 つまり、これから俺が行う“ダンジョン経営”とやらは生死に関わることなのだ。

 俺が人間を殺そうとするように、人間も俺を殺そうとしてくる。


 生半可な理解と覚悟では、明日を生きることすら危ういのだろう。

 いや、なによりも────



 ──── 俺はルルを守らなければいけない。



 もう二度と、ルルと離れたくはない。



 …………ん?



 そこで俺は気づいた。

 気づいてしまった。



 コミュニケーション:あらゆる生物との意思疎通を可能とする能力。



 はっ!!



 この能力は─────



『にゃー《あり……と……》』



 記憶の中で、ルルの声が聞こえたときのことが思い出される。

 素晴らしい! 素晴らしい! 素晴らしい!

 この能力は本当に素晴らしい!


 俺の心に一筋の光が差し込んだ。



 尚更、ルルを守らなくてはいけないな。

 それに、俺の予想が正しければこの能力はかなり有能な能力だ。

 この能力があれば─────



 覚悟を新たにし、俺はさらなる『知識だよん♡』という項目を、クリックした。



 …………やっぱ、だよんがうぜぇ。

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