第64話フロンツメー

「ここ?」


「はい」


「泉?何もないわよ」


「今起こします」


「おーいフロンツメーマリー様が約束を果たしに来たぞ。いい加減に起きろ」


「え!マリー来たの?」


「さっきからそう言っているだろうが」


「今行く」


その声と共に泉が波を立て始め次第に大きくなると何かが飛び出してきた


「マリーどこー」


えっとあれ妖精?羽があるわね。でもあれ羽とは言わないんじぁ。葉っぱの細長いやつね。しかも体がでかい。妖精って小さいっていうのが定番のような気がするんだけど。


「エブァン、これ妖精?ではないわよね」


「妖精です」


きっぱり言い切られた。


「でかいでしょ。普通妖精って小さいのが定番でしょうが、何で木と同じ高さに頭があるのよ」


「大丈夫です。会話はできますから」


「そういう問題ではなくて。可愛くない」


「可愛らしい方が好みですか。それならフロンツメーにそういう風に言えば変えてもらえると思いますよ」


「だから。え!変えられるの?」


「はい、今の姿が本来の姿なのですが、こないだ捕まっていた時は花の姿でしたし、姿を変えることはあいつには簡単なことなんですよ」


「そ、そうなのね。それならその方がいい。妖精といえば小さくて可愛いのが定番なのよ」


「わかりました」


「おーいフロンツメー、マリー様が小さくて可愛い感じのになってほしいと言っているができるか」


「エブァン!そこにいたのね。わかったわ」


水が彼を巻き上げ姿が変わる


「これでいい?」


え、それはどう見ても可愛くない。おっさんだよ。


「おっさんは嫌や。あのままで小さくなればいいのに何でおっさんなのよ。ちっさいおっさんになっただけだよ」


「さっきの方が僕って感じの幼さがあったのに何で小さくなると、おっさんになっちゃうわけ?はぁ、はぁ、はぁ」


思わず興奮してしまった


「可愛いですよ」


「これのどこがよ!ちっさいおっさんにあごひげつけて眉毛極太、髭の剃った所が青いわよ。可愛くないからさっきのでいいから顔立ちのまま小さくなって」


「フロンツメー。だそうだ」


「注文が多いいな」


「これでいいか?」


「それでいいです。青年になったからいい」


本当は少年のイメージだったが諦めた。


「ようやく会えたね」


「あれ?なんか大きくなっている?」


「フロンツメーお前気が向いたか」


「私フロンツメーにあったことないわよね」


「エブァンが映像送ってくれていたんだよね。今日のマリー様って題名で」


「エブァン、今度からそれやめて。恥ずかしい」


「どうしてですか?これまでもだってちゃんととってあるんですよ。フロンツメー出して」


葉っぱが空中を巻い一枚の葉っぱの大きさになった。

そこに映し出されたのは私が小さい時のものから最近の物


「ずっと撮っていたの?撮れるの?」


「はい、花粉を利用してそれに光の反射を利用して写しています」


「なんか難しいわね。ちょっとまってて」


マリーの悪い癖が出た。気になると考え込みそのあと実行するのだが。これがいつもとんでもないものが出来上がってしまう。こうなるとしばらくは待たないと無理だな。

ここでなにかを言おうものなら


「マリー様、フロンツメーに用があったのではないのですか?」


ドン!


「あ!遅かったな」


「な、にを」


「お前が悪いんだ。今のマリー様に話しかけるからそうなるんだ」


「ど、ういう、、、はぁー事だ」


「今マリー様は魔法の研究を頭で行なっている最中なんだ。多分この後魔法を繰り出すだろうが、その前に話しかけると今のお前みたいに腹に穴が空くわけだ。厄介なことにマリー様自身は気には止めてなくて研究が終わってはじめてそれに気がつく。なので容赦がないわけなのだがな」


「お前、、、それを、、、、はや、、、」


バタン!


クオンがその場に倒れこんだ


「全くしょうがない奴だ」


回復魔法を施しながらマリーの研究が終わるのを待っていた。


要するにパラパラマンガみたいな事をしているってことかしらね。それなら例えば魔法を応用すればできるんじぁないかしら


「うーん」


ん?何か触れたような。それよりなにが応用できるかしら。あ!そうだ。闇なら出来るかも闇を薄く伸ばして光をあれ?吸収された。これではダメね。


それなら水は?水を薄く伸ばして光をこれに移して、いい感じこれを5万枚くらい作ってと動きに合わせて枚数を入れ替えていけば出来た。でもこれじぁパラパラマンガと原理は同じだけど、これを毎回するのは面倒ね。もっとこうテレビ見たいな感じがいいのよね。テレビって確かデータを暗号化してそれを解読し色それぞれの組み合わせで映像として見れていたわね。


そうか魔法陣を書くのを色分けしてそれを紐状にしてと、魔法陣を空中に展開してそこに水で作ったレンズを前に置く。色彩の魔法陣を通して水のレンズに映せば。


「エブァンできたわよ。これすごくない?」


「いつも思いますが、マリー様の研究すご過ぎて言葉にならないんですが」


「そんなに褒めなくてもいいのよ」


「いや褒めているつもりないんですが」


「何か言った?」


「いえ、なんでもありません」


マリーの背後にあるのは巨大なレンズが宙に浮いて映像が流れているものだった。相変わらず次元が違いすぎるよな。俺が馬鹿みたいに見えてくる。


「クオンどうしたの?」


「いえ、マリー様が研究中に話しかけた結果です」


「ごめん。またやっちゃったのね。前にエブァンも散々やってしまったのよね」


「はい、どんどん力が増して10回目辺りは流石に死にかけましたよ。あの時は15歳を迎えた頃でしたね」


「若気のいたりってことよ」


「いや、それで死にかける俺の身にもなってほしいものですがね」


「過ぎた事は水に流しましょう」


「もう、それでいいです」


「それより回復変わるわよ」


「ですが」


「これだと時間かかりすぎるのよ」


「わかりました」


マリーが変わった途端ものの数秒で回復が終わる


「時期に目を覚ますわよ」


「は!それでフロンツメーに用とは?」


「逢いに来ただけよ」


「それだけですか?」


「そうよ。それとおみやげをもらうのよ」


「マリーあれ忘れてないか?」


「あれ?あ!忘れてた」


「やっぱり」


「ちょっとまって取りに行くわ」


「わかった待っているよ」


パチンと手を鳴らすと扉が出た。第2の扉異空間に通じている扉。


中に入っていった。


「エブァン、マリーは何しに行ったんだ」


「多分なにかを取りに行ったと思うぞ」


「それはわかるが約束したものがこの中にあるのか?あんな巨大な物がこの扉から出るとは思えんぞ」


「フロンツメーなにをお願いしたんだよ」


「でかい木」


「はー、なにに使うんだよ。お前なら作れるだろうが」


「いや、あれは俺でも作れないから頼んだんだ」


「どういう事だ」


「くればわかる。この世界にあるとは思っても見なかったが手に入れたとマリーが言っていたからな」


「とんでもない物を頼んだな」


「嘘か本当かはわからないがとにかく見つけたとは聞いていたんだ」




「確かこの辺りだったような。持ち運ぶにはでか過ぎて小さくしたんだけど。ない、どこよ。あーこうなったら物達今すぐここに来て」


「ここに!」


大量の物達が姿をあらわす


「確かここにこのくらいの木をしまって置いたのにないのよ。ここ物達が整頓してるからわからないの。至急に探して」


「は!」


集まった物達がそれを探して飛び回っていた


「まだかしら」


「もう少しお待ちを」


……………。


「ありました。これですよね」


「それ!ありがとう。みんな戻っていいわよ」


急いで異空間からでた


「マリー様あんなに慌ててどうしたんだろうね」


「マリー様が考えている事だ。大丈夫だよ」


「そうだね。続きを始めよう」


「ちょっと待ってよ。ここ、このままだとマリー様に」


「ゔぅ、先にここ片付けしようか」


「そうだね」


物達はマリーが散々荒らした物を片付ける羽目になったのを知る由もなく去っていった


「おまたせ」


扉を閉めるとその場にあった扉は消えてた


「それであったの?」


「あったわよ。これ」


「え!」


「え」


「どうしたのよ」


「棒切れだよねそれ」


「なに言っているのよ。これから元に戻すのよ、あんなでかい木がここに入るわけないでしょ」


「それもそうだね」


「その前にどこで大きくするかよ」


「それならこの湖の上なんてどう?」


「重過ぎて浮かせるの大変なの」


「それなら俺が元に戻れば済む事じぁないかな」


「そうね。戻って」


「マリー人使い荒くなってない?」


「気のせいよ。ほらはやく」


なっているなこれは。


フロンツメーが大きくなると


「フロンツメー手を出して」


「これでいい?」


「うん」


手に木の棒を置くと


「一気に大きくなるから、しっかり持っててよ」


「わかった」


「せーの」


気にかけた魔法陣を破壊した途端急激にでかくなった



ドーン!バシャ!バシャ!


「マリーこれかなり重い」


「だからそう言ったでしょ」


「それでも予想以上にくっ!」


「その木の内部は密度が高すぎるのよ。だから見た目以上に重いわよ」


「それどうする気なの?」


フロンツメーはツタを絡ませて裁断し始め見る見る内に家が出来上がり、湖の上に浮かび上がっていた。


「これが欲しかったんだ、しかもこれね」


フロンツメーが触れると姿をなくした


「いいでしょう」


「それいいな。私もそれ作ろうかな」


「え!」


「え?」


「あるの?」


「うん、あるよあと20本ぐらい」


「なんでそんなにあるんだよ」


「なんでって、もらったのよ」


「誰に」


「木からよ」


「どういうことですか」


「エブァンまで食いつかなくても」


「俺はそんな事聞いてませんよ」


「聴くもなにも隠れ家にいっぱいあったでしょ」


「え!あれですか」


「そうあれよ」


私のベットの周りに立てかけられていただが、それは元々木が自分の体を切ったものを魔法陣で小さく施して私のベットの後ろにに立てかけられていたやつだった


「あれがこんなにでかくなるんですか」


「あそこにあったのは魔法陣が施されていたのだけど、それでも大きいから、さらに私が上書きして小さくしたの。お陰で杖ほどぐらいまで小さくできたんだからね」


「俺のいない間に片付けてあると思ったら」


「小さくすれば片付いたように見えるでしょ」


「マリー様?」


「あ!」


目をそらし


「フロンツメー約束は果たしたわよ。それとフロンツメーの花粉ちょうだい。物達におみやげあげるんだ」


「そんなんでいいの?」


「それがね。物達はそれがいいと言って聞かないのよ。なにをしたいのかわからないんだけどね」


「そうなの?俺はいいけどどの位欲しいの?」


「これくらい?」


「こんなもんでいいのか。でも俺の花粉でかいぞ」


「そんなにでかいの?」


「そりゃそうさ。体がでかいからな花粉もそれに見合った花粉になる」


「小さくなっても?」


「花粉は変わらない。小さくなったとしても体から離れれば元に戻るからな」


「それなら花粉一個でいいや」


「そんな器用なことできるか。普通花粉って大量にあるもんなんだよ。それが風に乗って運ばれだり動物や昆虫について運ばれるんだからな」


「どう見てもそんなでかい花粉運ばないでしょ」


「一個はでかいがそれに飛びついた奴は花粉だらけになってそれを森中ばら撒くんだよ。それが草や木になる俺が木や草の生みの親と言われるゆえんだな」


「納得。それなら私がその花粉を一個だけもぎ取るのは?」


「構わないが、とった後一斉に花粉飛び散るぞ。それでもいいか?」


「それでいいや。後はなんとかする」


「わかった、ほらよ」


「そんな簡単に」


フロンツメーの指先に花が咲き花粉ができていた。


「俺には朝飯前の仕事だ。それにここになる前にこいつがジャンプして着地した所が破壊されているしな。ちょうどよかった」


「それ直しているのか?」


「直してるのではなくて、生え直しているんだよ。めちゃくちゃになったままでは動物やほかの虫達が家を失うだろうが」


「死ぬかと思った」


「起きたようだな」


「エブァンお前な、大事なことをもっとはやく言えよ。死にかけただろうが」


「言い忘れていただけだ。死にかけたが死んでないぞ」


「そういう問題か」


「そういう問題だ」


「一度痛い目に合わないとわからんようだな」


「いい度胸だ、俺に勝てるとでも思っているようだな。無理だからやめておけ」


マリーに向き直ると後ろから殴られエブァンが吹き飛んだ


「ほっといて花粉もらうわよ」


「この姿ではあげられないから一度元に戻る」


「ええ」


フロンツメーが巨大になる


「これなら1つだけ取れるだろ」


「これなら取りやすい」


方向魔法陣を展開、あの2人にめがけておけばいいわね。少しは頭が冷えるでしょ。


「もらうね」


「マリーお前」


「し!」


にっこり微笑んで花粉をもぎ取りすぐに異空間に放り込んだ瞬間花粉は一斉に飛び散ったように見えたのだがそれは間違いで2人にめがけて飛んで行った。



「このやろういい気になりやがっていい機会だ。やってやる」


「来いよ。できるものならな」


魔法と物理のぶつかり合いが始まっていた。辺りが粉々に吹き飛んでしまっているのでちょっといいと思いマリーがエブァンとクオンめがけて花粉を飛ばした。


大量の花粉にエブァンもクオンもなすすべなく埋もれた


「大当たり。やったね。フロンツメーこれ面白ーい」


ご機嫌のマリーをよそに


「くはぁー」


「ゲホ、ゲホ、ゲホ」


「マリー様なにをしたのですか?」


「貴方達が面白いように戦っているから周りが粉々に吹き飛んだわよ。だから花粉をそっちに飛ばしたのよ」


「飛ばした量多くないですか?」


「それにやたらと俺たちに直接当たったような」


「直接狙って当てたのよ。しっかりまとになっていたわよ。ふふふふふ」


「笑い事ではありませんよ」


「そうですよ。体じゃ痛いわ花粉だらけになるわ」


「2人とも真っ黄色ね、ふふふふ」


頭の先から足の先まで全部が花粉だらけ。これは傑作だわ


あーお腹痛い。


「それじぁ帰るわね」


「ちょっとまってくださいよ」


「俺を置いて行かないでください」


「わかったわよ。その前にそこの泉で全部洗ったら?」


「そうします」


服を脱ぎ捨て泉にはいる


「きゃ!脱ぐ前に言いなさいよね」


「それとこれも洗いなさい」


服を泉に投げ捨てた


「この泉魔力回復するぞ」


「この泉は森の魔力を少しずつ溜め込んでいる。もちろん生命に必要な分はとらない。ほんのわずかだけをもらってここに溜め込んでいるんだ。回復して当然だ」


「この広大な森や木草から毎日届くんだいっぱいになるととらないし、少ないと毎日届くようにしている」


「大量に使えばどうなるんだ」


「一度に無くなることはまずないな。なくなったとしても俺が持っているから問題はない」


「うまくできているんだな」


「助け合いだ」


「エブァンは知っていただろうが、なにそんなに真面目に話を聞いている?」


「いやーお前も偉くなったもんだなって」


「エブァン馬鹿にしていないか?」


「バカ言え、こっちは褒めているんだよ。前までエブァンわからないから教えてってすがって来たのが懐かしく思うよ」


「相当昔の話だろそれ」


「そう、この大陸が4つに分かれてフロンツメーが生まれ変わった頃だもんな」


「お前ら何歳だよ」


「クオンよりは上なのは確かだな」


「あれって何年前で?」


「昔すぎて忘れたよ。多分2000年位だったか?」


「俺に聞くな」


「2000年前よ」


「マリー様」


「そろそろ出てきて着替えなさい」


背を向けて話すマリー


「マリー様こっちを向いてもいいんですからね」


「からかってないで早くしなさいよ」


「わかりました」


「クオンも上がるぞ」


「おう」


着替えを済ませ。


「終わりました」


「フロンツメー、楽しかったわ。私達は帰るわね」


「また、遊びに来いよな」


「ええもちろんよ。フロンツメーも元気でね」


「お前もな」


魔法陣を展開して3人はその中に入る


川の向こう側に到着


「忘れていた」


マリーの目の前にツタがひしめき合って通れなくなっていた。普通には取ることができないんだった。


「あのーこれは?」


「緑の人魚ミーがツタで捉えた者たちを運んだのは良かったんだけどこの有様になっていて。普通にはとらないのよね。これ」


「そうなんですか、取る方法はあるんですか?」


「あることはあるのよ。これには魔法が必要で配下全員でやるしかないのよね。だから後回しにしていたのだけど。これからやるしかないわね」


「これ、片付けるんですか?」


「うん」


「ミーに頼んで排除できないのですか?」


「エブァン貴方ならわかるとは思うけど、一度ツタや植物が生えると撤去が難しいのよ。ましてやミーが出したのは特別性のツタで簡単に破壊や切断が出来ないようになっているから大変なのよ」


「これからこの作業は骨が折れますよ」


「わかっているわよ。とりあえずここから城に戻りましょう」


隠れ家の扉を出しそこを通って城の中に戻るのだった

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