第63話フロンツメーへ

美味しいわ。やっと一息つけた感じね。


倒れて意識を失っている5人をよそにお茶を堪能し終えた


「回復しましょう」


回復魔法を展開して治す


「ゔぅ」


1人づつ立ち上がった。


「頭は冷えたかしら?」


椅子に腰掛けているマリーが5人に問いかけた


「はい」


「すいません」


「申し訳ありません」


「ムキになりすぎました」


「次はこのような事がないようにします」


「よかった。私は行きますね」


「え!」


「キリウスどうなっている」


「みなさんがお休みになっている間にある程度の立て直しと見直しをさせていただきました。ウーゴはラジットから状況確認をしてください。ラビナ、プラム2人もラジットと一緒についてもらう事になります」


「そう言う事で私はこれからフロンツメーに逢いに行きます」


「これからですか?」


「ええもちろんよ」


「キリウス、ここにキリウスの配下を1人置いてウーゴの護衛を」


「は!」


「キリウス、エブァン、イブリースは私と行くわよ」


「「「は!」」」


「ウーゴ頑張ってね。そうそう言い忘れたけど、秘宝庫のお爺さんマテオがここに来ることになっているからね。ちなみに私の配下だからよろしく」


「あの方はマテオって言うんですね」


「ええ、スルトがそろそろここに来るからなんだけど、こなさそうだから私行くわね」


(マリー様)


「いい所に来たわね、ウーゴまってて」


忽然と消え去った


「マリー様?」


「大丈夫だ、今漆黒の闇におられるだけだ」


「イブリースよくわかるわだな」


「当たり前だ。一応俺も漆黒の闇を持っているからな」


「やはりお主は悪魔なんだな」


「今更何を」


「見た目だとどうも信じがたいというか」


「おまたせ」


マリーがマテオを連れて出てきた。外を歩くことが出来ないのでマリーがイブリースにしたようにしたお陰で出られるようになっていた


「おーウーゴよ無事で何よりだ」


「はい、一時はどうなるかと思いましたがマリー様に助けられました」


「ウーゴもマリー様に助けられておったか」


「ではマテオ様も」


「様はいらん。マテオでいい」


「そうはいきません」


「それならせめてさんぐらいで止めといてくれ。この辺がむず痒くなるんじぁ」


「わかりました。マテオさんこれからよろしくお願いします」


「こないだの続きの話もしたいしのう」


「そうでしたね。約束を覚えてくださったのですね」


「勿論じぁ」


「話はその辺で私は行くわよ」


「あ!」


「申し訳ありません」


「いいのよ、マテオ、ウーゴを頼んだからね」


「この身に変えても守りますじぁ」


「この身に変えなくて帰る前に連絡しなさいよ」


「ではそのように」


マリーと2人はフロンツメーのところへ向かい、キリウスは川の向こう側へと向かったのだった


中央都市を抜けて猛獣区へ入っていった。

猛獣区は道に迷いやすい所で一度巡回ルートを外れると道に迷う。だがマリーは御構い無しにルートを外れる


「あのーマリー様?」


「どうひたの?」


「ルートから外れていますが?」


「いいのよ」


「え!ですが、道に迷う可能性があるのですよ」


「イブリースは心配しすぎよ」


「そんな事言われても迷うから仕方がないと思うんですよ」


「エブァンがいるから大丈夫よね」


「え!」


「え」


「私はマリー様についてきただけですよ」


「もー仕方がないわね」


(キリウス)


(は!)


(悪いけどクオン呼んできて)


(わかりました)


「イブリースあなたクオンの代わりに向かう守っておいて」


「ですが」


「あのね、イブリースは道に迷うって言ったんだよ。代わりにクオンここに呼んだからあと15分もすればここに来るわよ。イブリースはファティマの闇がわかるんだからすぐにいけるでしょ?」


「それは出来ますが」


「俺もここにいたいのですが」


「なら、向こう誰が守るのよ。ファティマだけにおんぶに抱っこではダメでしょ」


「それは」


「それとも何私の相手を本気でする気になった?」


「いえ、今すぐ向かいます」


「そう、お願いね」


「は!」


その場から姿を消した


「エブァンもフロンツメーの所に行くんだから少しは案内したよね。見つけるのは面倒なんだから」


「わかりました。それでは今から」


ドシ………ドン……ドン…ドシ、ドシ


「マリー様おまたせいたしました」


「えらく早いわね。てっきり15分はかかると思っていたのに」


「ジャンプしてここまできましたから」


「それでも早いわ」


「猛獣になった時にジャンプする距離がかなりあるのでそれのおかげなんです。走るより早く来れますね。戦いの時はジャンプより走った方が早いので使い分けています」


「ちなみにどの位の距離をジャンプしてくるの?」


「そうですね。一回のジャンプで2キロほどではないかと」


「納得ね。ここまでは大体200キロほどだから100回ジャンプすればこれちゃうのね」


猛獣の姿から人へと戻った


「きゃ!」


「おい、クオン服だ」


「すいません」


「マリー様着替えましたよ」


「ありがとう」


「クオン、悪いんだけど猛獣区を抜けたいのだけどいいかしら?」


「ええもちろんですよ。ここは俺の家ですからね」


「歩いていくのめんどだから猛獣の背に乗っていきたかったけどクオンではでかすぎなのよ。配下読んでほしいな」


「わかりました」


ウォーーーーーーン


一声鳴くと大勢の猛獣が姿を現した。


(お呼びですか)


「お前たちマリー様が背に乗せてほしいとの事だ」


(それでしたら私が)


(俺だろ)


「お前たち、男はダメだ」


(そんな)


「当たり前だ男の上に乗るのはダメだろうが」


クオンその表現誤解を生みそうだよ


「そうだぞ、男の上に乗るのはダメだ」


だからね。やめてその言い方。猛獣の背中に乗るだけなんだから


「この子背中に乗るわ」


止まらなさそうだったので指を指してその猛獣に近づいた


「その子はダメです」


すごい勢いで猛獣の腕がマリーめがけて殴りつけてきた


「マリー様」


マリーの背後でドン!と音と共に猛獣が倒れた


「どうしたのよ」


「いえ、なんでもありません」


何食わぬ顔で倒れた猛獣の頭を撫でた。


「ちょっとびっくりしただけよね」


にっこり笑顔のマリーだが猛獣はよだれを垂らし半分意識が無いように見えた。マリーが殴った時についでに恐怖も叩きつけていたのだからこうなっても当たり前の事だった


頭を撫でながら回復魔法をして回復した途端マリーの前にひれ伏した。


「お前はバカか。マリー様に手を挙げるとは」


(ごめんなさい)


「そうだわ、確かこの魔法ならみんなに会話みたいに聞こえて話せるようになるわね」


エブァンに魔法を耳と口に施したもちろん見えないようにしてある。


「もうそんな事しないわよね」


猛獣の頭を撫でながら言うと


「ごめんなさい。もうしません」


「マリー様聴こえております」


「それは良かった」


「なんで私を殴ったの?」


「みんな弱いから弱いやつといるのは嫌なんだ」


「そうだったのね。それなら私は強いからいてもいいわね」


「うん。僕がずっと1番だったのにマリーが1番になった」


ゴツン!


「痛いな、何するんだ」


「当たり前だマリー様を呼び捨てにしていい奴などいないんだからならお前もちゃんと様をつけろ」


「わかったよ。マリー様これからよろしくね」


「よろしくね」


「貴方には名前はないの?」


「僕は名前はないよ。みんなは凶暴としか言わないし、人は僕を災害の猛獣と呼ぶよ」


「クオンこの子貴方の後釜でしよ?」


「そうです。まだ若いですが実力は俺の次です」


「それなら貴方も私の配下に入ってここを守ってほしいわね」


「いいの?」


「マリー様がいいと言っておられるからにはいいのだ」


「うん、僕マリー様の配下になる」


「それなら名前が必要ね。何にしようかしら」


「いい名前お願い」


「ティアゴなんでどう?」


「いい響きだね。これから僕の名前はティアゴだね」


「よろしくねティアゴ」


「よろしく」


「話はこの辺で行くわよ」


マリーはティアゴの背に乗って歩き出した。


(マリー様が男の上に乗るなんてなんだか許せん)

(お前もそう思うか?)

(気に食わないがマリー様は機嫌がいいし仕方がないから我慢する)

(我慢出来るのか?)

(するしかあるまい)


毎回だけど小声で話してるの聴こえてるんだよね。

猛獣の男の子なんだよ。2人ともわかっているかしら?


後ろを振り返ると物凄い殺気放っているのがわかった。


これはダメね。


諦めてティアゴがこれに耐えられなくならないように保護魔法だけはしておかないと可愛そうだわ


猛獣区が終わり


「マリー様ここから先が神秘の森になります。人がここまでたどり着くにはこの猛獣区を抜けないとここにはこれません」


「俺もこの先に行った事がないんだ」


「クオンないの?」


「この先は、猛獣が入らないようにできてあるんだ。中に入ると力が弱くなるから嫌がって入りたがらない」


「ティアゴ、ほかの猛獣さんありがとうこれから先は歩いていきます」


「でも」


「嫌な思いをしてまではいいよ。必要になった時力を貸して欲しい」


「わかった、ありがとう」


「お礼を言うのはこっちだよ」


「先に進むわよ」


「は!」


「それとクオン背中をこっちに向けて」


「そうですか?」


「そのままじっとしててね」


「はい」


背中に手を当てて、細胞全てに刻印押すために魔力を練り上げ刻印そのものを小さくし全てに行き渡らせる


「くっ!」


「動かないで」


「ですが体が熱くて、溶けそうなほどなのです」


「もうすこしだから」


「はい」


「ゔぉー!」


「これでいいわ」


「はあ、はあ、はあ、はあ」


息を荒げた。


「かなり無茶をしたけどこれならこの中でも力を使えるわよ」


「ちょっと魔力を使いすぎた。すこし休ませて」


「それではお茶の準備をします」


お茶を飲みながら一息ついた


「クオンに何を施したのですか?」


「クオンの細胞全てに刻印をしたのよ。これでここから先に進むんでも力が奪われる事はなくなったわ。でもほかの者は無理だからね。エブァンはフロンツメーにあっているから大丈夫よフロンツメーにあった事のある者でなければここで過ごすことが厳しくなるから、それは私も同じ。魔力を回復しやすくなったからフロンツメーの所までは平気よ」


「回復しやすくなったんですか?」


「そうなのよ、これ」


指輪を見せる


「前までしてなかったですよね」


「ゲレカイが異空間と魔力球体を繋いでくれたのよ。私に魔力がなくなるとここから体に魔力が送られるようになったの。そこ逆も同じ多すぎるとそこへ流れるのようになってる。便利になったのよ」


「そうだったんですか。ゲレカイもよくわかっている」


「物達も協力してくれてこれができたって言っていたから私は幸せ者ね」


「マリー様良かったですね」


「ええ、これで思いっきり使えるわ」


「いや、ダメですよ。思いっきり使ったら」


「え!」


「え!ではなくて使い過ぎても体に負担はかかりますからね」


「それは………」


「わかっているんでしたら、ダメです」


「エブァンには敵わないな。少しくらいはいいでしょう?」


「ダメです。マリー様は少しくらいが少しではないのです。俺たちの少しとマリー様の少しはかなり差があるんですから無理はダメです。それぐらいがちょうどいいんですからね」


「やかったわ。無理はしない。これでいいわね」


「そうしてください」


お茶を飲み干した頃魔力が体に溜まった


「行くわよ」


「はい」


3人は神秘の森奥地に進んでいった。


「ここから先はエブァン貴方の出番でしょ案内してね」


「はい」


エブァンについて私とクオンは進んでいく


《お前ら誰だ》


《エブァン後ろの2人を連れてくるな》


《ここがどこかわかっているはずだ》


《エブァン、追い出せ》


「お前たち、2人いいんだ。フロンツメーとの約束を果たしにきた」


《フロンツメーがそんな約束するもんか》


《お前嘘ついている》


《この先には行かせない》


「しょうがない、フロンツメー起きてくれ。マリー様を連れてきたぞ」


「せっかく寝てたのに」


「呑気な事言っている場合か。こいつらなんとかしろ」


「自分たちでなんとかしたら?」


「そうか、ここら一帯灰になっていいんだな。わかったそうさせてもらう」


エブァンの手に火が灯るが、フロンツメーは冗談だと思いそのまま反応をしなかった


エブァンは容赦なく火を放つと燃え始めた


「うわー本当にする?」


「さっきからそうすると言っただろうが」


「ここら辺どころではないわよ。ほかもみんな燃えちゃうよ。消して消してよ」


「それならこいつらなんとかするんだな」


「するから消して」


「最初からそうしろ」


水で消した。


《危ないだろう》


「お前たちが俺を嘘呼ばわりするからだ。次嘘呼ばわりしたらここを焼き尽くしてやる」


《エブァンごめん》


《そんなつもりなかったんだよ》


《ここはほかの者を通さないようにしてきたんだ》


「わかっているからここにいる者は違うといっただろうが、それをお前らは嘘呼ばわりして信じないからこうなる」


《許してくれよ》


《私たちが悪かったわ》


《もうそんな事しないから》


「マリー様と俺ぐらいは信じろ」


《後ろの2人?》


「そうだ。こっちがクオン、こちらがマリー様だ。覚えておけ。これから来る事があるかもしれないからな」


《わかった》


「それとフロンツメーの所まで道を開けろ」


《うん》


エブァンは木々達に話しかけているようだな。何やら厄介そうだがなんとかなったようだ。マリー様は笑顔でエブァンの方を見ているが何を話されているかはわかっているようだな。俺には聞こえないから仕方ないか。何かあれば俺はマリー様を守るだけだからな


「あ!そういえばクオン貴方聴こえてる?」


この人は俺の考えている事を口に出す。どこまでもよく見ている方だ。


「いえ、でも不便ではないので大丈夫です」


「ダメよ、クオン両耳にも刻印しておくわよ」


「は!」


「クオン跪いてよ。高い」


クオンの身長が195センチほどあるので高すぎて手が届かなかった。正確に言うと刻印をするのに耳を塞がなければならないので、手は届いていても塞ぐには少し足らない。ちなみにエブァンも高い。私の今の身長が高くないので泣けてくる。現代でも150しかないにそれに異世界の私の体は152センチ2センチ高くなっただけで、大人になったのに身長だけ伸びないっていやーと思ったのはここだけの話


「これでよろしいでしょうか」


「ええ」


耳を両手で塞ぎ刻印を施す


《何しているの?》


「お前たちの声がクオンに聞こえないから聞こえるようにしてくれているんだよ」


《すごいね。そんな事できるんだ》


「マリー様だからな」


《マリーはここにくるのは初めてだよね》


「様をつけないとお前燃やすぞ」


《やめてー様つけるから燃やさないで》


「次はないから、他の奴らも同じだぞ」


《エブァンの鬼》


《いつもそうだ、そうやって僕達を脅す》


「お前たちはそうでもしないと言うことを聞いてくれないだろう、今まで一度たりとも聞いたことがないだろうが」


《そんな事ないよね》


《そうそう、ちゃんと聞いているよ》


「嘘つけ、こないだだって」


《うわー、そうだね僕達がちゃんと聞かなかったせいだ》


《そうそう》


「ふん!」


危なかった。あれフロンツメーに聞かれたら僕達おはなし出来なくなる所だった。


前にここにきた者達を木の中に閉じ込め殺してしまっている。それが1人2人の話ではなく今までずっとそうしてきた。それをエブァンにばれてしまい、後処理を済ませてくれたのが最近の話なのだが。ここで殺すのはダメとフロンツメーが言っていたのにもかかわらずそうしてきたのはここを守るためだったのもある。


「どう?」


「はい、聞こえました」


「それじぁ進むわよ」


「はい」


神秘の森の奥地に進んで行く後ろから森が元に戻る。私達以外は入れないようにする為だった


神秘の森左奥まで来ると


小川が流れ小さい湖が姿を現した。


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