第60話秘宝庫へ

かなりの時間が経過していた。色々と考えてはいたけど全く思いに至っていない。


なんかこれって思う魔法がないのよね。全部破壊とか刻印とか調べたのにない、それでも違和感の中にここら辺りなのはわかった。何かが鍵となるのも突き止めてはいるのだけど。この先にあるのかしら?


場所に目印をつけて、先に進んだ。


ないわね。


ひたすらまっすぐな道を歩きながら途方にくれると思っていた時だった。1つの光がマリーの先に見えたのがわかった。


あれかしら?


進んでいくと光は大きくなりそのまま光が大きくなる方へ突き進んだ。


眩しい


視界が開け、ゆっくりと目を開けた。


「きれい」


あたり一面草や花が咲いていて中央には大きな気が見えた。木に吸い込まれるようにそこへ歩み寄った。


「立派な木」


木に触れた瞬間


《よく来たね》


!?


辺りを見渡したが誰もいない


《どこを見ているんだ。お前の目の前にいるだろう》


木に目を向けた


「え!」


《そう僕だよ》


「もしかして私を生んだ木?」


《違うけど違わない》


「どういうこと?」


自分の中にある知識に目を通したがなかった。


《君の知識にはないはずだよ》


なんでわかったの。私の考えを読めるの?


《そう、君が思っている事は僕にはわかる》


「なんで?」


《それは君が触れているからだよ》


置いている手を目を向けた


《そう、今君が目にしているその手だよ》


「なるほどね」


《驚かないんだね》


「驚いているわよ」


《驚いているにしては冷静に物事を考ている》


「うん、今まで驚くことばかりあったから大抵のことでは混乱することはなくなったし、驚く事もなくなったわ。それよりここは?」


《ここは秘宝庫かくほうこという場所》


「それは、ウーゴから聞いているからわかるわ。そうではなくてここに木がある事、ここの場所は何のために存在しているかよ」


《君の知りたい事を教えるために存在する場所、君以外ここにはたどり着く事が許されない場所。そして僕は君の中に入るために存在し続けた。君に会うためにね》


私の中に入る?私に会うため?私だけが来れる場所?知りたい事を教える?頭がパンクしそう。どうなっているのかがわからない


《そんなに不安にならないで》


「普通なるわよ。ならない方がおかしい」


《そうだね。まずは君が知りたい事を教えてあげる》


「さっきから君って」


《僕は君の名を知らない。ここにたどり着く人を待ち続けていただけだからね》


「それならたどり着く人が今までいなかったってことになるわ」


《そうだよ、僕が生まれてからどれだけの時が経ったのかもわからないんだよ》


「それにしては流暢に話せるわね」


《君から学んだ》


!?


「学んだ?」


《学んだよ、君が持っている本あるでしょ?》


!?


「だから何で知っているの?私の全てを知っているかのように話すのはやめて」


心で考えても頭で考えても全て分かってしまっている。木から手を離したくても、なぜかはわからないが離せない。木に触れたまま話が進んでいる状況。引いても押しても、何してもダメだった。話しながら試みてはいたが無駄。


《そんなに手を話したいのであれば、君の名を知らないといけないね》


「私が教えて貴方が学。なんか学民みたい」


素直に頭や心で感じたまま言葉に声に出して話し始める。


《すごいね、君はその答えを導き出すなんて、僕の想像をはるかに上回るほどの成長をしてくれる》


「すごい驚いているのね」


《君はすごい子だ。もう、僕の心を読み解けるようになってしまったのか。ある意味恐ろしいほどだ》


「そうなの?話の続きだったわね。私の名を教えて私に何か起こりそうな気がするんだけど」


《君の中に入る為の準備の1つ、でもそれだけでは君の中に入る事は出来ない》


「私が受け入れないと無理ってことかしら?」


《それもあるよ》


「もーなんなのよ。この状態を受け入れろっていっても無理なんだけど」


《まずは君の名を教えてほしい。そこから質問の答えを答えていくよ》


納得できなく理解に苦しみながらも半分諦めて答える


「あー、わかったわよ。私の名前はアンダーマリーよ」


答えた瞬間木から手が離れ自分の手が光り出した。


「なにこれ?」


《これで僕とマリーが繋がった。触れなくても話せるようになったよ》


「さっきからいい加減にして欲しいんだけど」


《今度は本当に驚いているね》


「当たり前よ。普通に考えたらおかしい事ばかり起こっているのがわからないの?それにこの手どうするのよ、光ったままだなんていや」


《今度は怒るんだね》


なんか調子が狂う。


「掴み所が全然違うし、私の感覚と貴方は違うのよ」


《そうだね、僕とマリーは違う》


「本当に調子が狂う」


《質問の続きだ、ここに木がなぜあるか。それはこの世界の木が話さなくなり全てを君に受け継いだ時からここにいた》


「どういうことよ」


《木は最後の力を振り絞り僕を生み出した。木は僕に究極魔法とこの世の全ての知識を受け継いだ。ここに来る者に全てを託すと言って最後を迎えたんだ》


「もー、なんでもありね」


《だからここに来る者を僕はひたすら待ち続けたんだ》


「私が生まれた理由自体おかしいんだけどね」


《マリーは自分の生まれた理由を知っているんだね》


「ええ、エブァンから聞いていたからね。未だに信じきれない部分はあるわよ」


《信じなくてもそれが事実なのは確かだよ》


「貴方に言われなくてもわかっているわよ」


《質問の続きだ。ここはなんで存在しているか。秘宝庫を開ける為に存在している。秘宝庫は王でなければいけない場所、それが王でない人が入ればどうなるか、それはこの異空間に閉じ込められる。一度入ったら出られないようになっているんだ》


「それなら私は出られないって事になるわね」


《違う、話には続きがある。マリーがいるこの場所にたどり着く者は特別なんだ》


「特別?」


《マリーだけがたどり着くようにこの異空間を作っているからね。普通の人はここにはたどり着く事が出来ない。特別な人でなければならなかった。マリーが特別だから、出られるし、秘宝庫にも行けるんだ》


「じぁ、さっきの違和感の所に戻って行くわ」


《待って、今は入れない》


「え!」


《マリーの中に僕が入らないといけないんだよ》


「それ必要なの?」


《木がそれを望んだからね。僕も木だけど未だに巨大な木は存在しているだろ。それは抜け殻なんだけど、それでもこの世界にとってはなくてはならない物なんだよ》


「それはわかっているけど、それとここがなんの関係があるのよ。それと、どうやったら私の中に入れるようになるのよ」


《ここには木が誰にもわからないようにする為に秘宝庫とここを繋いで見えないようにしていたんだ。木は切り倒され運命を受け入れた代わりにマリーを生み出し全てを受け継ぐ為の準備をしたのがここになるんだ。ここの維持は未だにある木の魔力でおぎなられているからね》


「なるほど、だからこれほどの大きな空間が作り出せ膨大な魔力が木から注がれているわけね」


《それと、僕をうけいれるのいやじぁないの?》


「いやよ、中に入るとか気持ち悪いような気がするし、それに不安や恐怖、怖さだってあるわ。でもしないと前には進まないんでしょ?我慢するしかないじぁない。私にはみんなが待ってくれているんだからそのぐらいするわよ」


《強いんだね》


「強いわけない。恐怖や不安、怖さを克服できるやつなんていないけど、それでもこんな私をみんなが支えてくれると思うから我慢や嫌な事でもできるのよ」


《それを強さと僕は思うよ》


「ありがとう。立ち止まっている時間なんて私にはないわ」


《それなら始めよう。必要な物があるんだ》


「今から取りに行くの?」


《そう、ある場所はここの中にあるんだ今マリーがいるこの空間のどこかに卵があるはずなんだ。それが必要なんだよ。探して欲しい》


「面倒くさいな」


《頑張ってね》


「貴方と話していると本当に調子が狂うわ」


《時間がないんじぁなかったの?》


「はいはい」


探すって言ってもね。


辺りを見回たした。


なんだろう?


暖かさを感じ始める


どこから?


暖かさを感じ場所に向かって歩き出した。


こっちに何かある。


しばらくすると目の前に小さな卵が宙に浮いていた


浮いているの?なぜ?卵って浮く物だったけ?卵の周りを一周したが何もないし手を上下左右に卵の周りに手を通し確認したが浮いていた。


恐る恐る両手を伸ばし卵を取る浮いていた卵は手の中に落ち浮かなくなった。それを持って木の所に戻る


「これ?でいいんだよね」


《それ》


「卵をどうするの?」


《卵を君の魔力を入れて》


「どのぐらい?」


《卵に異変が出るまで》


「異変?」


《異変だよ》


異変がなんなのかはわからないがとりあえず卵に魔力を入れ始めた


「異変ってどんな?」


魔力を入れながら聞いてみた


《僕にもわからない》


「はぁー、あきれた。異変がわからないなんて」


《だって初めてなんだから》


「忘れてだわね、私が初めて来たのを」


《思い出してくれてありがとう》


卵にヒビが入って割れた


「ちょっと割れちゃったわよ」


《割れたね》


!?


「なにこれ?」


《それでいいんだ》


「だからなんでいいとわかっているのよ」


《それを僕に当てて》


目の前に球体が浮いていた。それも半透明の球体が


「投げればいいの?」


《うん》


言われたとおりに木に向かって投げた


半透明の球体が木にぶつかり木を飲み込むように広がって包み込んだ。


「大丈夫なの?」


《大丈夫だよ、これから起きることに目を背けずにみててね》


そう言った途端に異空間が歪み始め半透明がマリーのいる場所を全て飲み込んだ


「えぇぇー、どうなっているのよ」


《慌てないで、僕はいるから》


「いたのね。でも木は?声しか聞こえないし、あたりは真っ白だし」


《ここは知識の溜まり場これからマリーの中に入る為の溜まり場だよ》


「はぁ?」


《この真っ白空間の中に僕がいるから探して》


「また、探すの?いつまで続くのよ」


《全ての答えは僕が入ることによって解決するから探して》


「わかったわよ」


どこ探すのよ。なにもない空間を只々歩いた。


いないわね。魔力を薄く伸ばして探したがいなかった。


「もーどこよ」


!?


歪みに気がついた


「あれかしら」


魔力が強く出したもんだから歪みが生じていた。近づきそれに手を触れた。


《見つけてくれてありがとう》


木が目の前に現れた。


「それでどうするのよ」


《これで準備は整った。マリー光っているその手を僕に触れて》


手を木につけた途端に木が泡となって私の中に入っていった


《僕の全て受け取って僕はいつも君の中にいるから。話すことはできずとも知識と魔法が僕そのものとなる。いつまでも見守っているからね。これで扉は開く。いってらっしゃい。そして来てくれてありがとう》


「ちょっと待ってよ」


その言葉を最後に木がいた場所空間は無くなり目の前に最初に違和感を覚えた壁の前にたっていた。


「なんなのよ」


文句を言ってやりたかったな。そう思っていると木が最後の方で言っていた意味を理解できるようになっている事に気がついた


さっきの空間は私を生んだ木が作り出した場合。私がこの力を使えるその時まで封印されていた事、卵の中身は私の力が受け継ぐまでに必要な魔力が備わっているかを確認し割れるようになっていた。透明な球体は知識、魔法を私が取り込みやすくするその知識までもが私に流れ込んでいた事が驚きだった


ようなやく、辻褄があったような。理解できた感じね。一気に疲れた。


急に体が熱い。なんなのこれ!その場に倒れこんだ。どれだけの時間が経ったかわからなかったが目を覚ますことができた。体を起こし辺りを見回す。


「確か………体が燃えるように熱くなって意識が飛んだんだったわ」


体に異変はなかった。


なんだったのかしら。それより秘宝庫に行かないと立ち上がり壁に手を当てた。目の前扉が姿を現した。


「やったね」


ドアノブを回し中へと入っていった。


中は秘宝がたくさんあり、かなり高価な魔法具や本が所狭しと並べられていた。


「これ、珍しいわね」


(お前は誰だ?)


「え!」


振り返るとそこには老人の絵が描かれていた。


これが話したのかしら?


首を傾げてまじまじと見つめていると


(そんなに見つめられると照れるわい)


「今度は絵が話したわ」


(ほほー、踊らなんのぉー)


「木は話す、異空間に飲み込まれるわ、卵は浮く最後に壁の絵が話すとくれば次はなんなのかしらね」


嫌味混じりで言った。ここまで来ると呆れるのを通り越して言葉が見当たらなく出した言葉がさっきので精一杯だった


(大変だったじぁな)


「そんな簡単に言われると腹が立つんですけど」


(そんな風になるんでない。お前さんは誰なんだ?)


「色々ありすぎて一番の目的忘れてた」


(目的じぁと)


「そう、私の目的はここに住むものに逢いにいた事よ。予想外なのは壁画が話した事だけどね」


(わしに逢いに来たという事か?)


「ウーゴにあったでしょ?」


(おお、あやつは無事か?)


「もちろんよ。中央都市が落ち着いたら来ると思うわよ」


(そうか無事じぁったか)


「ここで昔をされて話す老人に出会ったと言っていたからここまで来たのよ」


(多分わしの事じぁな)


「そうだろうとは思っていたけど、ほかに老人は居ないみたいだし間違いないわね」


(わしに何のようじぁ?それとよくここに来れたものじぁな?)


「不思議な事はないわよ。貴方が待ち望んでいた人は私なのだから」


(なんんと)


「貴方を解放する為にここに来たのだからね」


(お主も冗談がすきじぁな。わしが来るのを待って人はもうすこし幼いはすじぁ)


「え!」


(なんじぁその驚きは?自分の姿を見てみるといい。鏡はそこじゃよ)


マリーは鏡を除いて驚いた。


「嘘でしょ!大人になっている。何で?どうして?ついさっきまでは14歳ぐらいにしかなってなかったのにいつなったのよ」


(お主ここに来る前にどこか寄らなかったか?)


「やったわよってゆうか来させられたの間違い」


半分怒りが湧いてきた。説明ぐらいしてほしいものよ。


(やはり木が最後に言っていた事は本当だったようじぁな)


「なによそれ」


(木が最後に言っていたのは全てを託してからここへ来る。楽しみにしているといいと言っておったからな。やはりお前さんがわしの待っていた人のようじぁ)


「木はどこまで私を振り回せば木がすむのかしら。次から次へと厄介な事ばかり。すんなり終わった試しがないんだから」


魔力がどんどん濃くなっていった。


(お主よ、もうすこし魔力を抑えられんか?いくらわしでもキツイからのう)


!?


「ごめんなさい」


魔力をしまった。怒るとつい出てきてしまう悪い癖が出たのだった。


(大丈夫じぁ、それよりもお主はわしを解放すると言っておったが)


「ええ、その刻印を破壊してあげる」


(そうかようやくここから出られるという事じぁな)


「魂となって次に生まれ変わるといいわ」


(断るよ)


「どうして」


(長く生きてきて色々な事を見てきたが、まだまだ見てみたいものはたくさんある。生まれ変わったとしてもそれを覚えていない事が多いいだろうから、できればこのままでいいんじぁよ。ウーゴと出会って更にこの気持ちが増したしの)


「それなら、いい提案があるのだけど聞く?」


(聞くだけじぁよ)


「ええ、それで気が変わるかもしれないしね」


(そうだといいの)


「私からの提案は、貴方悪魔にならない?」


(悪魔じぁと?)


「悪魔になるのであれば私が新たな体を用意してあげられる。それに魂を移すだけで済むのただし代わりに人ではなくなってしまうけどね。それでも見た目は人だからなにが変わるかって言うと寿命がなくなるぐらいかしら。あとは闇の中だと人の姿ではないわね」


(そんな事でいいのか?)


「思ったのと違う反応するのね」


(そうか?)


「悪魔と聞けば嫌がる人の方が多いいのだけど」


(そうかもしれんの。わしも特に欲はない。世界を見ら事が出来れば別に悪魔だろうがそうでなかろうがどうでもいいのじぁよ。それにわしはすでに人ではないしの)


「それもそうだね。それをするのに制約が必要なのよ」


(何を制約するんじゃ?)


「それは私の配下に加わる事。それが制約の条件になるの。悪魔になり、私の配下になることが制約となる。配下になったら助けが必要な時にだけ助けてくれればいい。それ以外は自由にしててもらって構わないわ。これがのめればすぐに取りかかれるのだけど、どうする?」


(わしはそれでいい。よろしく頼む)


「わかったわ」


マリーは準備を始めた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る