第59話ウーゴ王へ

コンコン!


「入るわね」


あら?


「そこで動けなくなっているのは誰かしら?」


「来るな!」


結界が役にたったようね。


「あれ?もしかして貴方学民しかも宿しね」


「探す手間がかからなくて助かっちゃった」


「エブァン今すぐ来て」


(は!)


コンコン


「入っていいわよ」


「お呼びですか?」


「ええ」


「ぷっ!だ、誰ですか?」


目の前の床に張り付いて動けなくなっている変な格好だから思わずふいてしまった。


「この子宿しよ。捕らえておいて」


「よかったですね。今回はどんな属性でしょうか」


「この子素敵。光よ。光と闇は中々手に入らないから嬉しい」


「それではすぐに川の向こう側に連れて行きます」


「それならこれを使って。すぐに帰ってこれるから」


トントン!足を鳴らすと扉が現れる


「扉の向こうにファティマがあるはずだから預けてきて」


「わかりました」


エブァンは光を宿した者を拘束魔法にて拘束しそのまま扉に入っていった


「ウーゴ、起きて」


体を揺らし起こした


「マリー様」


「ちゃんと休めたようね。回復が行き渡ったようで治っているわ」


「はい!体が軽いです」


「よかった、起きてすぐで悪いけど行くわよ」


「はい、構いません。準備とやらは整ったのですか」


「ちょっと厄介なのよ。だからウーゴにも来てもらうことにしたの」


「わかりました。伺います」


ブレスレットを外し、マリーに返した。



ーーーーーーー


「ファティマいるか?」


「そんなに大きな声で呼ばなくてもいるわよ」


「悪いがこいつを頼む」


「誰よそいつ」


「険しい顔をするな。マリー様が光の宿しだから捕らえて監視しておくように言われた」


「素敵ね。マリー様宿しを探しに行きたがっていたから」


「ああ、すごくご機嫌だったぞ」


「当たり前でしょ。途中で中断したままだったんだから。そうすると後属性は、光と闇、緑が手に入ったことになるわね。残りは水、炎、土だけね。マリー様が言うには飛ばしたかからが宿るとそこに全ての水晶のかけらが集まるって言っていたから、3人はいることになるのよね」


「ここが片付けば行けるようになるんじぁないか?」


「どうだろう?マリー様以外に気まぐれな所あるから」


「マリー様はマリー様だ。思う通りになさればいいだけ。それに従ってついて行くだけだな」


「エブァン、それ言ったらマリー様怒るわよ」


「それ言うなよ」


「考えないのはダメって言いそうでしょ」


「たしかに言うな」


「でしょ!」


「そいつを頼んだぞ」


「わかったわ。それより、その扉どうしたのよ」


「これはマリー様が出した扉だ」


「なるほど。それなら説明しなくていいわ。マリー様は私達が考えても思いつかないような事を普通にこなす方ですもの。考えるだけ無駄ね」


「そうだな。俺はいく」


「頑張ってね。余りマリー様怒らせないでよ」


「ゔ!」


ーーーーーーー


扉を開け中央都市に戻ると丁度扉からウーゴとマリーが部屋を出る所だった。


「遅くなりました」


「早かったわね」


「マリー様のおかげです」


3人は大広間に向かい扉を開いた。



「おまたせ。みんなお利口さんにしていたみたいね」


「マリー様、これで動ける人間がいたら見てみたいもんですよ。俺でもギリギリなほどの恐怖ですよ」


「それもそうね」


ウーゴを連れて玉座に座らせた。


パチン!


荒々しい呼吸が聴こえてきた。


「ちゃんとウーゴを連れてきたわよ」


「これなら頭の固い貴方達でもわかるでしょ」


「偽物だろ」


「お前たちいい加減にしろ」


「ウーゴ様は連れ去られたんだ。そんな簡単に帰ってこれるはずがないんだ」


「それはなぜ?」


!?


「なぜ貴方は簡単に帰って来れないと知っているのかしら?」


「みーつけた!」


そいつの首に手をかけた。早すぎて誰も見えなかった。


「ダメよ。簡単に正体バラしちゃ潜り込んだ意味無くなったわね」


首に手をかけたままウーゴの元まで引きずってきた。


手を離し


「ゲホ、ゲホ、ゲホ」


「質問の続きよ。なんで知っていたの?」


「それは」


「答えられないの?」


「えーとですね」


「答えられないのね。それなら答えたくしてあげるだけ」


「来るな。こないでくれ」


マリーの人差し指に光を出し、それを額に当てた。


後は彼の刻印を無くせばいいだけ。


手を胸に当て刻印を破壊した。


「もう一度聞くわよ。どうしてウーゴは戻って来れないと知っていたのかしら?」


「それは」


バン!


!!鈍い音が響きわり殺された。


「やられたわ、もう一つ刻印が隠されていたのね。許さないわよカリド。命をなんだと思っているのかしら」


刻印が発動した時刻印が浮かび上がりそれを見てカリドの仕業と確信した。刻印がキリウスにしたのと似ていたのと魔力がカリドのものだったのが決めてになった。


魔力が出始めていた。


「マリー様、抑えてください。まずはここが先です」


「エブァン、イブリース貴方達は許せるの?」


未だに魔力は出続けている。魔力濃度がどんどん濃くなっているのがわかるほど。


「俺たちだって許せません。ですが俺は我慢します今は」


「俺だってそうです。ですがここをなんとかしたくてマリー様はこられたわけですから、俺も我慢します。あった時にやられた奴の仇はをとりたい」


「エブァン、イブリース貴方達ちゃんと考えてくれているのね。それなら私も我慢するわ。貴方達だけ我慢はさせない」


魔力を抑えて体の中に収めた。


辺りは倒れている者達で溢れかえってしまった。


「みんなごめんね。今回復するから」


「なんなんだよお前は?」


「そんなことより、ウーゴあなたからちゃんと説明してあげて。それともし可能ならここに中央都市に住んでいる者でなければわからない言葉とか行動とかないの?」


「それでしたら一つあります」


「それを伝えて」


「はい、みんな聞いてくれ。みなのためにここはある。そう言った筈だ。それなのに内乱とは悲しい限りだ」


!?


民が話し始める。


「本当にウーゴ様なのか」


「そうに違いない」


その言葉は、どんなやつであろうと受け入れてきたウーゴだけが言っていた言葉。その言葉を信じてついてきてくれる者達。それで救われた者かここにはいた。派閥争いがほかのまちではよくあること。それを逃れてきた者をここで受け入れていたからだ。

その時必ず言っていた言葉。みなの為にここはある。口癖のように言い続けてきたお陰だった。


199人が一斉声を上げた。


「ウーゴ様ご無事でなによりです。帰ってくるのを待っておりました」


「みなも元気そうで何よりだ。これからここを立て直しを行う。民に誠意を見せて黙らせる。どんなに言われようともその手を休ませることなくやるんだ。いいな」


「はい。ウーゴ様さえいていただければ俺たちは怖い者なんてない」


「そうだ」


「決まりね、まずは貴方達の力の制限をさせてもらうわ。その後何かあればその力の制限を解除出来る様に解除の権限をウーゴに施す。監視役にはラジット貴方がしなさい。ラジットはキリウスについてそれを学ぶ為にこの異空間に入り修行をしてきてもらうわ。最後にウーゴを王にする為の準備に取り掛かる。質問はある?」


「さっきも言ったがウーゴ様が言うなら別だがさっきからなぜお前なんだ」


「そうだったわね」


「ウーゴそれでいいかしら?」


「お前たち、マリー様に従ってくれないか」


「ウーゴ様、そいつはウーゴ様にとってなんなんだよ」


ピクっと反応をするが動かなかった。


エブァン、イブリース偉いわね。今回は動かずに我慢したわ。ちゃんと学びが出来始めているよう。


2人ににっこり微笑んだ


2人は顔を見合わせて頷きあっていた


「このお方こそ、俺の命の恩人。この世界の頂点に立っている方だ。失礼のないよにしてほしい」


「なんだってウーゴ様を助けてくださったのか」


「なんでもっと早く言ってくれなかったんだ」


さっき言っていたんだけどな。


「すまない事をした。ウーゴ様を助けていただきありがとうございます。マリー様これからよろしくお願いします」


1人が頭を下げるとほかの者も頭を下げた。


「いいの、頭を上げて。助けた事を鼻にかけるつもりはないわ。そんな事よりもここを立て直しが先決よ」


「はい!」


「みんな中央に集まって」


199人が集まる。魔法陣を貼ると


りきを制するもの ちからの根源示す制限力の名の下に インヒィールーム」



199人の腕に刻印がされた。


「これでいいわ。ウーゴ腕を出して」


「はい」


ウーゴの手に刻印を施した。


「これで準備は整ったわ、あとはキリウスから連絡が来ればウーゴを王にできる」


ちょうどキリウスから連絡が入る


(マリー様、民が集まりました。人数が少なく殆どの民は生き絶えているものが多かったです)


(仕方ないわね。ちゃんと埋葬してあげましょう)


(はい)


「ウーゴ整ったようだから城の前に出るわよ」


「はい」


「俺たちも行きます」


「わかったわ」


民の前に199人の奴らが姿を現した途端、物が奴らを襲った。


「お前らのせいだ。全てみんなの家族を返せ」


「そうだ、妹を返せ」


「お母さんを返して」


「親父を返せ」


民からの批判は増していた。


「おい、あそこにいるのはウーゴ様か?」


「本当だ」


「ウーゴ様大丈夫何ですか?」


「お前らウーゴ様を人質にして恥ずかしくないのか」


「みんな聞いてくれ」


「今俺の前にいる奴らは、内乱の元凶だった。それは昨日までの話。ここにいるマリー様は俺を助け、元凶となるこいつらを懲らしめてくれた。そして制約を交わした。今の彼らはここにいる民でも倒せるほどに弱くなっている。その証拠にこれが刻印されている。だからといって許されるとは思ってはいない。そこでこれからここを立て直し治安を守ってもらうことにした。もちろん無償だ。もしここが立て直しをして治安が落ち着いたら、皆で考え直してほしい。今一度だけこいつらにチャンスをくれてほしい。こいつらの誠意が本物かどうかを見極めてほしい。頼む、一度だけでいい、やり直すチャンスを与えてはくれないか」


「ウーゴ様、俺たちはウーゴ様がいなくなった後ずっと待っていた。いつか俺たちで立て直してやるチャンスをだ」


「だがウーゴ様は戻られた。そのウーゴ様が一度だけチャンスを与えて欲しいと思うのであれば俺たちは従う。だが覚えててほしい。許すことの出来ないこともあるという事を。俺たちの家族は戻らないことも。悲しみが無くならないことも。全て忘れないでほしい」


「勿論だ。この日を待って中央都市ウォン悲劇の日としてここに石碑を建て新たな悲劇を生まないように語り続けるとしよう、そしてこの日にここで亡くなった者達への弔いを行うものとする」


「ウーゴ様ありがとう。そしてお前らウーゴ様に感謝しろ。そうでなければお前たちは命に代えても殺してやる」


1人が頭をさげ、それに続くように全ての奴らは民に向けて頭を下げた。その光景は立派とは言えなかったが誠意が込められていたのは間違いのだった


「話はまとまったようね。これよりウォン新王ウーゴと共にここを立て直し治安を守る、それを私マリーが宣言いたします」


「ウーゴ様の命の恩人。ウーゴ様が王になるのか?」


「ええ、その方がここがきっとステキな都市に生まれ変わると思うから」


「俺は賛成だ」


「俺もだ」


「私も」


次から次へと賛同の声が上がっていった。


「俺からもう一つ、ここにいるラジットを俺の右腕として奴らの監視と俺の補佐をしてもらうこととなる。皆よろしく頼む」


「今紹介されたラジットだ。足手まといにならないように全力を尽くすと約束する。宜しく頼む」


「ラジットじぁないか」


「本当だ」


「なんだ知り合いか」


「ああ、俺たちを守ってくれていた奴だよ」


「そうか、それなら任せても大丈夫そうだな」


「奴なら俺たちの事をちゃんと考えてくれる奴だ。信用出来る」


「これからが踏ん張り所だ」


「その通り」


民からそんな言葉が聞こえてきたのだった。





5人は城に戻ると各5つの部隊に分けた。


状況把握する部隊


建設、修復部隊


家具、物を作る部隊


作物などを手掛ける部隊


治安を守る部隊


それぞれに仕事が割り当てされ、各部隊は散っていった。

ようやく一息つく事が出来た。


「それにしても色々あり疲れました」


「そうね。それでも今日は特別な日になったのだけは確かなことよ」


「今日はここでゆっくりしていってください。何もないですが」


「ねえ、あの子呼びましょうよ。それと子供達も」


「え!」


「リリィよ。ここで少しの間ご飯とか作って貰えばいいのよ。子供達もここで学ばさればいい。こういう光景を招いてはいけない事を学ばせるにはいい機会でしょ。きっと大きくなった時この光景にならないようにしてくれるわよ」


「それいいですね」


「ウーゴいいでしょう?」


「私は構いませんが」


「なら決まりね」


ーーーーーーー



すぐに魔法陣を貼りリリィの元へ行く。


「リリィいる?」


「マリー様急にどうされたのですか?」


「あ!マリー様だ」


「本当だ」


すごい勢いで駆け寄ってくる子供達を見て微笑ましく思えた。


「ねぇねぇ!マリー様遊ぼう」


「ダメよ、マリー様はリリィに用があってきたんだよ」


「そんな」


「ほらみんな、マリー様が困っていますよ」


「はーい」


「それで?」


事の経緯を話しす


「そうでしたか。それならこの子達にはいい学び場所になるでしょうから参ります。それと20人ほど連れていってもいいですか?」


「リリィがやりやすいようにして」


「ありがとうございます。早速準備に取り掛かります」


「迎えに来るの、3時間後でいいかしら?」


「それぐらいあれば」


「また来るわね」


「はい」


ーーーーーーー



中央都市に戻ると



「今リリィが準備しているわ、それでしばらくはここも食事には困らないわ」


「マリー様ありがとうございます」


「城の中に子供達を住まわせるから宜しくね。それとキリウスみんなを守って」


「は!」


「それとウーゴ貴方に案内してもらわないといけない場所があるのよ」


「以前申した場所ですね」


「ええ、その通り」


「なんの話ですか?」


「エブァンとイブリース貴方達にはここでウーゴの手助けをしててほしいの。その間ウーゴから話を聞いていて」


「戻ってくるから」


「わかりました」


「ウーゴ案内宜しくね」


「は!」


「キリウスは警戒していて、もしかしたらカリドが来ても困るしね」


「戻ってくるんですか?」


「無いとは思うわ。でも念の為」


「わかりました」


「ウーゴ行くわよ。案内終わったらエブァンとイブリースに説明しておいて」


「わかりました」


しばらく城内を歩くと突き当たりまで来た。


「この先です」


指が指す方向は壁だった。


「ここね。でもここ貴方の手が必要みたいよ」


「お分かりでしたか」


手を触れると扉が姿を現した。


その扉を開け


「マリー様中に入ってください。私が手を離すとここの扉は姿を消します」


「わかったわ」


マリーが中に入ったのを見届けると扉から手を離した。


目の前の扉はただの壁になった。


「マリー様に頼まれた事を先にしに行くか」


ウーゴはエブァン達の元へと向かっていった


こんなに長い通路なんだね。奥が見えないほど一本の道が続いていた。


長いわね。これ異空間の一種みたい。


壁を触りながら進んでいると違和感を感じた所があった。


こことここが違うわ。


左右を確認して


やっぱりここよ。


違和感とそうでない所を隅々まで触ったあと


多分ここが入り口みたい。でもどうやって入ろうかしら。

しばらくその場で悩むこととなる。

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