第58話大広間

「ウーゴ、貴方は自室で休んで。その間全てを終わらせる。それとこれを」


「これは?」


「私お手製ウーゴ見えなくなる物」


「は?」


「簡単に言うと私以外には姿が見えないアイテムよ。寝ている間それをつけておいて何があってからでは遅いかね」


「わかりました」


ブレスレットをつけさせ、自室の中まで入り横になったのを確認する


魔法陣をウーゴの周りに貼りそこから出て大広間に向かった。




ちょうど話も終わりを告げた時、大広間の扉が開く


「エブァン、イブリース、キリウスご苦労様でした」


その声と同時に4人が座る場所まで進む


4人は立ち上がり


「マリー様。勿体ないお言葉、嬉しく思います」


「エブァン妙に堅苦しいわね。どうしたの?」


「ちゃんとしないとと思ったまでです」


「ふーん、いや」


「え!ええ」


「なんか他人行儀で、いや」


「いやではなくてですね、外に出ればそれぐらい」


「いや、絶対にいや。いつも通りに接するのがいいのよ」


「わかりました」


初めてではないだろうか。ここまで嫌がるマリー様を見たのは。


「それよりもキリウス、ちゃんと紹介してほしいものね」


「遅れて申し訳ないありません、こいつが俺の弟でラシッドと言います、ラシッド挨拶しろ」


「今紹介してもらったラシッドと言います。よろしくお願い致します」


「こちらこそよろしくね」


この人がマリーなんだ。なんか可愛らしい方だな。子供とはちょっと大きいのか?17歳くらいかな?


いやそれもよりも幼いか。


「それでエブァン、イブリース大広間の隅に敷き詰められている大勢捕らえた奴らどうするのよ。こんなに私の配下いらないわよ。必要な配下は私が見つけるんだかね」


「はい」


「…………いや、だからね。どうしたいのよ」


殺すのは論外なのはわかる、だかといってここに止まらせてもまた派閥が起きて内乱が始まるのは間違いない。マリー様が求める答えを出さないと。


一番マリー様が望む答えは………


「えーとですね、ここにある者達をウーゴの配下にしてここの立て直しなどはどうですか?」


「それで?」


「え!」


「それで、そのあとは?」


また、難題を出す。マリー様は俺を試しているんだろうな。学ばなければならないのは俺も同じということか。



俺なら。思うと声が漏れていた


「そのー」


「あら、ラシッド何かあるの?」


配下に目をやり答えてもいいのかを見ていると


「ほらマリー様が聞いている答えろ」


「兄さんいいのか?」


「マリー様がいいといっている答えろ」


「わかった。俺ならこの中からウーゴ様の右腕になるものを選びそいつと一緒にここを立て直し、さらにここ奴らから何人か選んで内乱が起こらないよう目を光らせる奴を選びます。もし可能なら、ウーゴ様を王になっていただきここをおさめていただきたいと思います」


「へー、キリウスの弟だけあるわね。ちゃんと学民であるわ。それなら質問。ここの奴らは街を、民を傷つけ恐怖を植え付けた張本人達、罰を与えずにそれはできないと思うわ。ラシッド罰を課すとしたら、民は何を望むと思う?」


「罰………。きっと死んで欲しいと望む者が多いと思いますが俺は一度は許しが必要だと思います。罰を課すとしたら力の制限を王が行うような物とかを利用して制限し、民でも互角ぐらいには戦えるようにするとか。何かあればその制限を解除して力を使えるようにし、ここを民を守る。互いが互いが互いを監視すると言うのはどうですか?」


「ええわね。もしその者達が集まり内乱をしそうな時は?」


「内乱をしそうな行動をしそうな時は事前にわかる者?あれば魔法を付けて監視する」


「ふふふ」


この子いいわ。自分だけではなく全てがうまく行くように考えている。キリウスの弟この子欲しいわでも、きっとウーゴにはこの子が必要だと思うから諦めることにする。


「マリー様?」


「エブァンこういう風に考えていかなくてはならないと私は思うのよ。ここがみんなが安心して暮らせるようになった時、ここにいる者達に課せられている物を解除してもいいかもね」


「いいのですか?」


「心にゆとりが生まれ、食べ物や物にあふれていけばそんな考えを起こさなくなるようにしていきたいわね」


「は!」


「エブァンもこういう考えが出来るように頑張って」


「仰せのまま」


「他にはないかしら?」


「マリー様、ここにいる以外に1人元凶となる者を捕らえているのですが」


「そいつは私が後で対応するわ。まずはここにいる者達からよ」


「は!」


「他にある?」


「もし可能ならラシッドをウーゴの側近にしたく思います」


「兄さん!」


「お前は黙ってろ」


「それで?」


「はい、ラシッドをウーゴ側近にして、ここにいる奴らの監視を任せたく思います」


「ふふふ。その考え私もそうしようと思っていたところよ。ラシッドどうかしら?いやかしら?」


「いやなどとんでもないです。俺なんかに務まるだろうか」


「ラシッド。俺もそれがいい。そばに居ていい考えを俺にくれ。頼む」


ウーゴがラシッドに向かって頭を下げた。


「!?頭を下げてください。こんな俺でいいのですか?」


「いいも、悪いも俺がそうしたいといっているのに不満か?」


「めっそうもない。こちらこそよろしくお願い致します」


ラシッドがウーゴに頭を下げた


「それなら決まりね、それと民を城の前に全て集めさせて、ウーゴを王へするわよ。それと同時にここにいる200人に民の前で土下座してもらうわよ。いい見ものになるわ」


「わかりました」


キリウスが即座に動き出した。


「キリウスが民を集めている間にやる事は山積み、すぐに取り掛かるわよ」


「は!」


捕らえた者達の側まで来ると喚き散らしていた


「ここから出せ」


「今すぐ殺してやる」


「死ね」


「これでは話にならないわね」


「ずっとこうなので、隅の方にしてあったのですがそれでもダメだったので防音魔法を施してあります」


「それが正解ね。さてとやりますか」


「マリー様何を?」


にっこりと微笑んで結界に手を当てた。それを次々とやっている。見てる方はただ結界に手を当てて回っただけだった20もの結界に手を当て終えると


「貴方達玉座の椅子の所に居て、そこから絶対に降りてはいけないからね。何が起ころうとも降りてはダメ。いいわね。これはお願いではない。命令よ」


微笑んで言っているのに逆らったらまずいと感じさせる。


「は!!」


3人は玉座まで下がった。


(おい、何をする気なんだ?)

(俺がわかるか)

(マリー様は多分あれをやる気だ)

(あれとはなんだ?)

(いいか、ここから降りたら帰って来れなくなるから絶対に降りるなよ)

(帰ってこれなくなるとは)

(これから始まるのは、玉座より先全体が全て異空間になる。その中に入れるのは、結界に捕らわれた者達だけだ。もし違う者がそこに足を踏みこめば、異空間に捕らわれて出る事も、死ぬことも何もできずにひたすら異空間を漂うことになる。そうなっては誰も助けられないんだからな)

(今恐ろしい事言ってると思うんだが)

(いいから、見ていろ。いいか絶対に入るなよ)

(そんな子供みたいに何度も言うな)

(それでも入る奴がいるんだよ)

(念のためこれで繋いでおくか?)

(イブリースいいなそれ)

(なんだこの黒い紐みたいなのは?)

(闇の紐と言って、もし異空間に入ってしまっても闇がそこまで案内してくれる誰でも心に闇はある。これを漆黒の闇と繋いでおけば後は辿るだけだから、場所さえわかれば何とかなるんだが、入った瞬間姿が消えてしまうから、追えないんだよ)

(よくそんな事知っているな)

(俺の仲間が消えたからな)

(は?)

(昔異空間の狭間があられてその時中に入ってしまったやつがいたんたよ。それ以来会っていない)

(お前らさ、次元の違う話しているんだぞ。それを、はいそうですかって納得すると思うか?)

(仕方がないだろ。事実なんだからそれ以上説明しようがないんだ)

(とにかく見ていろ。始まるぞ)


全く3人揃って後ろでごちゃごちゃと、小声でしゃべっていても全部丸聞こえなんだってば。集中できないわよ。


「貴方達いい加減にて、黙っててよ。集中できないわよ」


「申し訳ありません」


異空間にし始めると辺りが歪み始め何もないただの空間へと姿を変える。

結界を解除する為に手を触れておいた場所に模様が浮かび上がる。


「始めるわ」


手を叩いた。


パチン!!それと同時結界が全て破壊された。


「結界が壊れたぞ、あいつここを作るのに結界に魔力が足らなくなったんだ。今なら勝てる」


200人の捕らわれた奴らが一斉に攻撃を仕掛け出した。


「まずい!」


ラシッドが中に入ろうとした瞬間腕を掴まれ引き戻される


「おい、さっき言ったのにここの中には入るなって言っただろうが」


「だか、そんな事を言っている場合ではないだろが」


「よく見ろ、お前の目にはそういう風に見えるのか?」


マリーの方に目をやると


「ば、ばかな」


神秘の光景が目の前に広がっていた。まるで攻撃が効いていない。それどころか攻撃が意思を持っているかのように光輝き光の泡と消えている


「どうなっている」


「なにがだ」


「これだよこれ」


光の泡を指差しラシッドはエブァンに問いかけていた。


「魔力だな」


「は?魔力だと。魔力が目に見えるわけがないだろ。別のものだろうが」


「魔力だ」


「2人してかれのどこを見て魔力だって言い切るんだ」


「全く面倒なやつだなちょっと待ってろ。一つだけここにあれをもらってやる。実際に手にすればわかる。説明するより早いからな」


「それがいい、騒がしくて申し訳ありませんが一つここに欲しいですが可能でしょうか?」


「これで最後にしてよ。これやるの大変なんだからね」


「はい、もちろんです」


光の泡をエブァン達の元に届けた


「もう、ジァマしないでよ」


「は!」


マリーは目の前の奴らに集中する


「ほらよ。これが光の泡だ。手を出せ」


手を出す。ラシッドの手のひらに光の泡が載せられると体の中に入っていった


魔力が全開に回復したのがわかった


「ほ、本当に魔力なんだな」


「これでわかっただろうが」


「イブリース、上を見てみろ」


「扉開いたな」


「流石に魔力多すぎたみたいだな」


「あいつがきっと来るぞ」


「来るな」


「あの扉はなんだよ」


「あの扉は一つ目の異空間だ」


「一つ目のってなんかあるんだ」


「全部で4つだが、ここを入れたら5つになるな」


「で、あの扉は?」


「一つ目魔力を貯めるためだけ異空間が広がっている。そこには主がいるんだが、その主もまたマリー様の配下なんだが、きたようだ」


「ちょっとマリー様ーーーー」


勢いよく飛び出してきた。


「ゲレカイ、どうしたの?」


「あのね、こんなに魔力入れたら処理するのすごく大変なのわからないの?」


そうくると思ったわよ。


「大丈夫よ。ゲレカイならなんとかなるって信じているもん」


くそ!この笑顔に敵わないのが悔しい。


「わかったよ。やればいいんだろ」


「さっすがゲレカイ。頼りにしてるね」


「そ、そうか。そんなに頼りにされてるなら仕方ない頑張るよ」


照れながら言ってる。かわいいかも。


「うん、頑張ってね」


(なんかマリー様踊っているみたいだな)

(確かに綺麗だ)

(お前よくそんな事を平気で言えるな)

(ん?普通だろ)


もー聞こえているんだってば。恥ずかしいよ。


魔力も尽きたみたいね。攻撃が止んだ。


「もういいのかしら?」


「化け物め」


そこ言葉に反応する2人、それを阻止したのかラシッド


「おい、お前達が出るなと言ったんだろうが」


半分キレ気味で言った


「「そうだ」」


かぶったよ。


「なら出るなよ。出る場面でもなんでもなかっただろうが」


「「マリー様を化け物呼ばわりとは」」


「そのマリー、さ、まは、平気そうに会話を進めているぞ」


今途中睨まれたぞ。ちゃんと様はつけないとな。


「「!?」」


やっと落ち着いたか。世話がかかるな。


「化け物で結構よ。それで攻撃するのやめたの?」


「俺たちのとっておきをくれてやる」


「楽しみ」


200人が巨大魔法を作り上げた。


「くらえ!」


マリーの所に飛んでくる巨大魔法攻撃


手をパチンと鳴らした。


「え!」


ここにいた全ての声がはまった。


目の前の魔法が消えたからだ。


「それで無くなったし、諦めた?」


「無理だ。あんな奴に勝てるわけがない」


口々にいいその場に座り込んむ者、呆然と立ち尽くす者達だった


「これでわかったかしら?私攻撃してないのよ。もし攻撃していたら貴方達はここにはいない。それがわかればいいわ」


だがそれでもあがく者は1人や2人はいて


「ふざけるなー」


「殺してやる」


向かって来るので


「仕方ないな。相手してあげるわ」


(終わったな)

(そうだな)

(何がだ)

(死ぬんだよあいつらは)

(は?)

(マリー様が"相手をする"という時は一度死にかけるんだよな)

(そうそう、これで俺も最後なんだと思いながら殺さないんだよ。ある意味酷いよな)

(わかるぞそれは)


イラ!


いつもそう思ってたから、今まで避けていたのね。


「エブァン、イブリースこれ終わったら覚悟してね」


にっこり笑顔のマリーが2人を見つめた


青ざめた2人


「ゔっ。口が滑ったのです。申し訳ありません」


「いいのよ。後でちゃんとあ、い、て、してあげるわ」


膝と両手をつく2人の姿にラシッドはそこまで恐ろしいのかと思っていた。


会話が進みながらも攻撃を繰り出す。物理による攻撃をしているのだ。


「ほら、脇が甘いわよ」


「反応が遅い」


繰り返しやっているのだがそろそろ疲れてきたので


「終わりにするわね」


言葉と同時に拘束し、両手にナイフ持ち首に突きつけた。

その早さは1秒ほどで片付いた。


「そ、ん、な」


「俺たちは何の為に」


ゴーン、ゴーン、ゴーン。


何かの音が響きわたる


「もう、そんな時間なのね」


異空間を解除した。


「マリー様いまの音は?」


イブリースが声をかけると同時にエブァンとイブリースは瞬殺され、言葉を失って倒れた。


バタン!バタン!


「「ゔゔゔっ」」


「まだまだね。次同じヘマしたらダメよ」


声に出来ずにいた


「なんて事するんだ」


ラシッドは2人に近寄り助けようとするとラシッドとのこと首に手をかけた。


「それ以上動くなよ。回復の必要はない。そのまま黙って立っていろ」


動く事も言葉を発することすらも許されなかった。


何だ今のは、今までのマリーではなかった。恐怖そのものが首に手をかけているようで青ざめていた。


「わかったら頷け」


コクン!


手を離し、エブァンとイブリースに目をやった


まずい。マリー様の口調が!


さっさと回復するぞ


「2人ともいい加減にして。さっさと回復しないから面倒な事になるんだからね」


気がつけば2人は膝まずマリーの足元にいた。


「申し訳ありません。反省の意を示したくて」


「そうなの。それならいいけど、気をつけね」


「「は!」」


ふーう。危なかった。あのままでいたらラシッドがまずい事になっていた所だ。そんな事をしたらキリウスになんて言えばいいかわからんぞ。


マリー様がああなる時は決まって辺り一帯が大惨事になりそうで怖い。


「それで先ほどの音はどこから聞こえたのですか?」


「それはね。これ」


マリーの手から小さい時計が出された。


「これから出たのよ」


「え!こんな小さい時計からあんなに大きな音が出るんですか?」


「イブリースは知らなかったわね」


「エブァン、後で説明しておいてよ」


「は!」


そう、マリーが持っている時計は世界の時計大昔に空にあった大時計を小さくしたものだった。それには時間を知らせる事もできるが普段は使っていなかった。

異空間をここで維持するのに1時間までが限界だった為にセットしておいたからだ。

それ以上は異空間が歪み始めて異空間そのものに取り込まれてしまうからだった。

普段は扉を出す事で異空間とその場所を少しの間維持する程度にしてある。


会話をしてても奴らは、唖然にとられて見てるしかできずにいた。


「みなさーん。これから中央都市の立て直しに協力してもらいまーす」


!?


「ふざけるな」


「そうだ」


「なんでお前の言うことを聞かないといけないんだ」


「そうだ」


「私がダメならウーゴならどう?」


「ウーゴ様はもういない」


「いるわよ。ここで待っててね。その間に攻撃されても面倒だからちゃっとだけ耐えて」


マリーは恐怖を200人に施した。動けば殺されると思わせるほどの恐怖だった。


「ウーゴ迎えに行ってくるわ」


「それでしたら俺が」


「無理よ。私にしか見えないからね」


そう言って迎えに行ったのだった

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