第55話イージェス、イブリース修行
「メルア悪いけど来て欲しいのだけど」
「はーい」
マリーと人魚の間に各属性ごとに繋がりを持っている為意識して話すと話す事ができる。それはマリーの中にある全ての属性と人魚が繋がっているに他ならない。
マリーの手のひらから人魚が実現した。
「どうしたの?」
「急に呼び出してごめんね」
「いいんだよ。マリー様ならいつでも呼んで」
マリーの周りを泳ぎながら答えた。人魚達はマリーの魔法により空中を泳げるようになっている。
「それで、ここの空間にマグマ呼び出して欲しいのだけど?」
「いいけど、地上のどこかをここと繋がないと無理なんだよね。このままマグマ出すと異空間壊れたりしそうなんだよね」
「わかったわ」
そう言うとマリーが足をトントンとならす。魔法陣がマリーの足元に出現しその場所が地上と繋がって姿を現した。
異空間で作り出した物は、あくまでも似ているもの地上の物とは少し異なる。だが修行に使うにはそれで十分だと思っていたのだがミーはそれをせずに行ってくれた。
それのおかげで、地上と繋ぐ事が簡単にできたわけなのよね。ミーには感謝ね。
「これでいい」
「マリー様、そんな簡単にされると…」
「変だったかしら?」
「そうじぁなくて、理不尽というか、なんというか」
そもそもそんなに簡単に出来るのがおかしいのよ。異空間と地上を繋ぐってどれだけの魔力と操作が必要かって事であーもー、考えるだけ無駄なような気がするよ。
「出来たんだから次に進むわよ」
どうせ普通ではないとでも思っているんでしょうがそんなのはいつもの事だしね。次に進む事にした。
「うん、じぁマグマ出すね」
そう言うとメルアはマグマを出した。その行動はとても綺麗だった。地上と繋がった場所に人魚が円を書くように回り始めると魔法陣が浮かび上がり赤い光と共にマグマが吹き出してきた。
ミーがやっていたのとはまた違った綺麗さだと思っていた。ミーは緑の光を異空間に解き放つと光が落ちた場所から木々が生い茂ってきたのがさっきの出来事。
待て待て、なんだこの熱は?魔法陣にいるにも関わらずこの熱さたまらんぞ。入っていなかったら間違いなく溶けるな。
「あら、イブリースすごい汗ね」
マリーがイブリースの方を向いて話しかけてきた。
「それが熱くてですね」
「それでも暑かったのね」
魔法陣を覆うように水魔法を施した。最初に貼った魔法陣は断熱魔法なのだが余りにも熱エネルギーが強すぎて断熱仕切れずにいた。
「これなら大丈夫?」
涼しくなってきたがそれでも暑いな。たがさっきよりは断然違う耐えられる暑さに変わっただけマシだな。
「はい」
「こっちは大丈夫みたいだし、メルア終わった?」
「終わったよ」
「それなら始めようね」
「ちょっと待ってよ、なんでマリー様は平気なの?」
「私?」
「そうだよ、普通は耐えられないんだよ。なのに何も保護とかしないでいるのがおかしいのよ」
「これはね、メルアと繋がっているおかげよ」
「私と繋がっているおかげ?」
「メルアは気がつかない?」
「何を」
「よく私との繋がりを感じてみればわかるわよ」
「うーーーーん………!?」
「気がついたようね」
「マリー様これは」
「そうメルアが平気な理由はどうしてかわかるでしょ」
「私の属性は火を司るから火や熱は私の体の一部として扱うから平気なの」
「その通り、私もメルアとの繋がりを利用して属性を体全部に施したから平気になったってことよ」
「そんなー」
「どうして?メルアと繋がった時点で出来るようになったのよ。それにほかの人魚達とも同じように出来るから本当助かっているのよね」
とんでもないことを言っているのにマリー様は気がつかないのかしら。
「それすごい事なんですけど」
「そうなの?簡単に出来たし、そんなすごいとは思ってないんだけどな」
気づいていなかったよ。
「簡単って…」
「それより早く終わらせたいのよ。急ぐわよ」
「あ、はい」
「イージェスマグマの中いるわね」
「はい」
話を途中で切り上げ修行に移る
「貴方にはマグマでイージェスいっぱい作るわよ」
「俺をですか?」
「そうすればどれがイージェスかわからないでしょ」
「たしかに」
「始めるよ。マグマでイージェスを一人で作ってみて」
「そんな簡単に言われても」
「それもそうね、自分をマグマに覆ってそこからイージェスが抜け出すとできるんだけど、その時その形を維持しないといけないのよ。それは簡単でしょ」
「やってみます」
やってみてわかったが形を維持が出来ずにマグマは元に戻る
「どこが簡単ですか、難しいですよ」
「そうだった?その維持に魔法使えばいいと思ったんだけどな」
「あ!」
「イージェスもしかしてそのまま維持しようと思ってたわけ?私でも無理よ」
「すいません」
俺なんで謝ったんだ。
大体その方法を教えてもらわなければわからないのだ。
「謝らなくていいわよ。それよりもやってみて」
「わかりました」
「イージェス行くわよ」
「待ってくれ」
メルアとイージェスは地上のマグマへと戻っていった。その後マリーは魔法陣を解消した。
「マリー様、なんでそんなに急いでいたんですか?」
イブリースは疑問だったさっきのエブァンがここに入ってから結構時間をかけていたのにも関わらずイージェスの時はやたらと早かったからだ。
「それはね、この異空間が時の流れを遅くなるようにしてあるからなの。でも今のは地上と繋いだせいで同じ時の流れになっていたの。だから急いだのよ」
「時間を操れるのですか?」
「それは出来ないわよ。流れを遅くするだけで戻ったり、進んだりする事は私には出来ない代わりに流れを遅くする事だけは出来るの。もちろん早める事も出来なくは無いかどそれにはかなりの魔力を使うのよね。する気は無いわ。それに今はもう一つの異空間と繋いでいるから魔力は豊富にあるからできる事であって普段は出来ないわよ」
「そもそもなんで遅くしたんですか?」
「これからウーゴを中央都市に戻さないといけないのよ。その後出来たら私たちがいる場所を整えておく必要があるのよ」
「ここを?」
「そうよ。ここが出来ればきっと学民を迎える事ができる」
「学民ですか?」
学民ならここにもういるのでは?イブリースの疑問に答える事なく会話は進んだ。
「とにかくやるわよ」
マリーは漆黒のドレスに着替えた途端、マリーの周りから闇が姿を現し出した。
「マリー様どこから闇が………」
「不思議かしら」
「はい、いつも闇の中だったのでよくわかりませんでしたがここは闇のかけらもない場所、まさかマリー様から闇が出ているとは思いませんでした」
「この漆黒のドレスは着た途端に漆黒の闇が広がり始めるの。もちろん闇であろうとそうでなかろうと関係ないのよね」
話している最中でも闇が異空間を覆い尽くしていた。
「これでいいわね」
「イブリース、胸借りるわよ」
首を傾げたイブリースをよそにマリーは胸に手をあてる
このままイブリースに漆黒の闇を入れ込む。
「マ、リー様?」
「これでいいわよ」
その言葉を聞いた途端にイブリースの体が漆黒の闇に包まれた。
「頑張ってね」
その言葉がイブリースに届く事はなかった
何が起きている。
イブリースは辺りを見回すが何もない
ただ闇が広がっている
待てよ、ここ闇は闇でも漆黒の闇の方か。マリー様は一体ここで何をさせるつもりなのだろうか。
しばらく待ったがマリーが現れる事がなくしびれを切らしたイブリースはキョロキョロした。
いつまで待てばマリー様は来られるのだ。
待っていても仕方がないか
イブリースは歩き出したが特に変わった事はなく歩いていた。どこまで行っても闇が広がっているだけで何もおこらなかった。
一方マリーはというと、そろそろ現れるからかしら、イブリースはどう対処するのかな。殺すか、殺されるかで全てが決まるから帰ってきたらどうしたか聞かないとね。
真っ黒になっているイブリースを目にしながら、考えていた
くそ、どうやってマリー様に会うんだ。かなり歩いているのだが何もない。そう思った時
ん?奥に何が動いたような。
イブリースは動いたであろうと思う場所に足を運んで辺りを見回す。
トントン!イブリースの肩を叩く
《誰だ》
振り向いたイブリースの前に黒い人型が立っていた。
黒い人型は振り向いたイブリースに向かって急に攻撃をし始めた。
《痛ってーな。何しやがる》
黒い人型は答える事なく攻撃を繰り出し続ける。
《聞いているのか?無闇に殺すのは出来ないんだよ》
イブリースは攻撃を避けなが叫ぶが答えない
《おい、このままだと本当に攻撃をしないといけないんだ頼むから聞いてくれ》
いくらイブリースでもマリー様の指示なしで簡単に殺しては後が怖い。頼むから答えてくれ
《お、》
!?
答えた
《お!》
《お、れ、を………こ…………ろ……………せ》
《なんだってなんでお前を俺が殺さなければならないんだ》
《こ、ろ、せ》
それ以外答えない
くそ、殺すか。それも骨が折れるんだよな、なんせ強い。攻撃は防いではいるが少しず攻撃をくらっている。
《こ、ろ、せ》
こいつそれしか話せないのか
《おい、いい加減にしろよ。殺す気は無いと言っているだろうが、聞けよ》
また、だんまりだよ。
マリー様は無闇に殺すのを好まないお方だからこそ、イブリースは言っている。普段なら間違いなく殺している。
《聞け》
攻撃を防御し、避けなが言う
《攻撃をやめろ。俺はお前の敵では無い》
《て、、、きでは、、、な、い》
攻撃が止んだ。
やっとだ。とりあえずはこれでいいとしてだ
《そうだ、俺はお前の敵では無いし、戦う気も無い。話をしたいだけだ》
《は、な、し》
《ああ、お前は誰だ》
《お、れ、は、お、ま、え、だ》
《意味がわかないぞ》
《お、れ、は、お、ま、え、だ》
《俺だと》
《そ、う、だ》
黒い人型は俺だと言うがなら今喋っているのは誰だって事になる。いやいやそいつが俺なわけがない。
《俺の偽物か》
《お、ま、え、だ》
考え混んでいると瞬時にイブリースの目の前に立ち、顔を覗き込んだ
《うわー》
思わず後ろに下がる
《びっくりさせるな》
《お、れ、は、お、ま、え、だ》
それの繰り返しかよ。こいつが俺なら今考えているのも俺自身って事なのか。たしかに闇は何が起きてもおかしくはないが、それでも聞いたことがないぞ。もう一人の俺なんて言われてもピンとこないが、実際は目の前にいるこいつは俺だと言っている。だとすれば俺は2人いると言う事になる。認めたくはないな。もしかしたら、マリー様が何かしたと考えるべきか。ここに来ていない事実から考えると、それが自然だな。なら目の前にいるやつが本当に俺だとしたら、俺の闇と考えるべきなのか?
その答えに達した時
《ようやく気がついてくれたか》
めっちゃ流暢に話しだしたぞ、さっきの片言はどうした?
《は?》
間抜けな声をかげたので口を押さえた。
《そうだ、俺はお前の闇だから考える事もわかる。それに気がついたのであればこの後どうするかはわかるだろ》
《わかるかー》
《俺はそこまで馬鹿ではないはずなのだが?》
《いいか、お前は俺だと言うがそもそもなんで流暢な話になっているんだ》
《そこを疑問にするのか俺は》
なんかややこしくなってきたぞ。俺が俺に疑問視してきたぞ。って俺もこいつを俺と認めた表現をしている何故だ。
頭がおかしくなりそうだ。
《そこまで悩まなくていい。受け入れればいいだけなのだがな》
《お前がそれを言うなー》
とうとう説教までしてきたぞ。
頭を抱えて座り込む。
《受け入れれば、全てが終わる。ただそれだけなんだかな》
《お前な、簡単に言うけどそう簡単に行けば悩んだりしていない》
《そうか、俺はやはり馬鹿たったのか》
《なぜ、その結論に達する》
《受け入れとは自分の闇を制すると言う事。お前には無理だったようだな》
!?
《なんだって、お前今なんて言った》
《もういい、俺はいく》
黒い人型は闇の中へと姿を消した
今あいつなんて言った。自分の闇を制すると言ったか、俺の闇………そうか、そうだったのか。
《受け入れる事が出来たようだな》
突然足元から顔が出てくる
《うわー、なんでそこから出てくるんだ。さっきといい今といい》
《なんだ受け入れる事はやめたのか?》
おい、こいつ俺の話し聞いているのか。
《どうするんだ》
《あーもー受け入れればいいんだろ》
《そうだ》
黒い人型はイブリースに近づき中へと入って行った。
《うわー、なんか気持ち悪い気がするぞ》
鳥肌を立てながら立ち上がると視野がひらけてきた。
戻ってきたようね。どうなっているのかしら。
視界が全て開けると目の前にマリーの姿が目に入ってきた。
「お帰り」
「マリー様、お、れ?」
「もう1人の自分どうだった?」
「え!」
「え!じぁないわよ。いたでしょ。もう1人」
「あ、はい」
「それで?」
「それが受け入れろって言われてやけくそで受け入れたんですが」
「そう、それなら良かった」
?
「それがね、もしもう1人の自分倒したら漆黒の闇が手に入らなくて少し強くなるだけだったのよ。だから受け入れられて良かったわ」
「え!え、じぁ黒い人型って本当に俺だったんですか?」
「そうよ。あれ?信じてないみたいね」
「そりゃ疑いもしますよ。そもそもマリー様が最初から説明してくれれば俺はこんなに悩まずにいたんですからね」
「それでは意味をなさないのよ。漆黒の闇は認めたものでなければ使うことは出来ないからこそ、そのまま送り込んだの。もし説明していたら漆黒の闇を操るどころか出られなくなるんだからね」
「最後の一言は今聞いて良かったです」
「それなら、イブリースにも漆黒の闇が使えるはずだから体から出してみて」
「待ってくださいよ。どうやってすればいいかわかるわけないんですよ」
「不思議ね、イブリースの中に漆黒の闇があるはずなんだけど」
「はぁー」
「だから体の中の闇と向き合ってみて」
「わ、わかりました」
俺の中だとうーん!よくわからないな。
(お前俺を受け入れたのではないのか?)
!?
(なんで声が聞こえる?)
(俺だからな)
(そうじゃなくて)
(簡単な話だ。お前が俺を受け入れてないだけの事。ちゃんと受け入れていれば俺はお前なのだから消える)
(そうか、マリー様に会うまで信じきれていなかったからな)
(わかればいい)
(それでどうすればいいんだ。受けるつもりはあるんだ)
(なら、お前の胸に手を当ててみろ)
(わかった)
イブリースは胸に手を当てた。
(これからよろしくな俺)
(こっちこそ)
その言葉を最後にイブリースの手を伝い全身に漆黒の闇が行き渡った。
イブリースの周りから漆黒の闇が漂い始める。
「出来たようね」
「え!」
自分の周りに漂う漆黒の闇が見えた。
「俺出来たんですね」
「ええ、よかったわ」
それ以来俺の中で話しかけてきた俺は姿を消し、話すことはなくなっていた
俺が思うに姿を消したのではなく全身にいるもう1人の俺がいると考える方が自然に思えた。
「これで修行は終わり、後は自分で扱える漆黒の闇を増やせばいいのよ」
「わかりました、でも…いえ。大丈夫です」
「気がついたようだから頑張って」
こうしてイブリースも異空間から出たのだった。
異空間から出たマリーはファティマのもとを訪れていた。
イブリースは約束通りエブァンの元で準備に取り掛かる為向かっていった。
「ファティマ」
「マリー様、終わりました?」
「ええ、ファティマに修行をつけるつもりだったのだけど次の機会にしてもらいたくてね」
「いいですよ。だって私の方が多く教えてもらっているもの」
誇らしげに言うファティマを微笑みながら見ていた。
「それなら良かった。私そろそろウーゴの元に行かないと行かないから」
「え!ウーゴですか?」
「そう」
「ウーゴでしたらさっき体が回復したからと言って出かける準備に取り掛かっていましたけど。そろそろ出る頃じぁないかしら」
「えーちょっとまってー」
「マ!」
あーあ行っちゃった。せっかちなんだから。せっかくウーゴは挨拶してから出ると伝えるつもりだったのに。まっいっか、どのみちウーゴに会うしね。
ウーゴはあそこね
「ウーゴ出て行くのはちょっとまってー」
ものすごいスピードで来たので止まることなく建物にぶつかっていく。
「止まらないわよー」
ドン!
「いったーい」
「あのーマリー様大丈夫ですか?」
「ウーゴ貴方が出かけるって言うから全力で来たのはいいけど止まるのに距離がたらなくて突っ込んだじぁないの」
マリーが通った後がわかるほどに土煙が上がっていた。
「ゲホゲホ!マ、マリー様?ゲホ」
「キリウスいたの?」
「いましたよ。そんなに慌ててどうしたんですか?」
「ファティマからウーゴが出るって言われたから急いで止めに来たのよ」
「え!マリー様ファティマから聞きませんでしたか?」
「何を?」
「出る前に挨拶に行くと」
「そういえば、何かいいかけてたような」
「多分それだと思いますよ」
早とちりもいいとこだね。
「それ、もっと早く言って欲しかったよ」
「それ言う前に、マリー様の早さで言う暇なかったのではないですかね?」
「うっ!」
「やっぱりそうでしたか」
それを言われると言い返せない。前にエブァンから言われたことがあった。
[マリー様は早すぎる。追いつく奴を見てみたいですよ]
そんな事を木から出た時に言われていた事を思い出す
「とりあえず、ごめんなさいね。ここ直しておいて」
周りにいた配下に頼むのであった。
見るも無残な姿の建物を横目に城に向かった。
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