第50話建物内部

マリーは建物内へ足を踏み入れていた。


「おかしいわね、ここにはかなりの数カリドの配下がいたはずなのだけれど、誰1人としていないわね」


「そんなはずはありません」


「事実よ、魔法で逃げた奴は1人だったのはわかっている。なら、魔法以外で脱出した事になる。探しましょう」


部屋を開けては探しを繰り返していると12個目の扉を開けた。


「あっわよ」


「わかりやすいですね」


目の前に大きな穴が掘られていた。


「なんかありそうですってところよね」


「それもそうですが、罠ありますの方がしっくりくるような」


「それもあるわね」


「こっち見てもダメですよ。入らないですからね」


「え!」


「いや、え!ではなくてですね。間違いなく罠なのにわざわざ入る人はいませんよ」


「なら、私が………」


「いやいや、待ってくださいよ」


マリーの腕を掴むと引き止めた


「どうしたの?」


「だから、わざわざ入るなんてしないでください」


「どうして?面白そうじぁない」


「面白くないですってば」


「そうかなー面白そうだけど?」


「あーもー、わかりましたよ。いきます。俺がいきますからここで待っていてくださいよ」


「そこまでエブァンが言うなら譲ってあげるわよ。本当は私がいきたかったんだからね」


「はいはい、そうですね。とにかく待ってくださいよ」


「わかったわ」


あ!はめられた。


にやけて笑うマリーの顔が見えた。


こう言う時のマリーは修行に持ってこいだとでも思っているに違いないのだ。


エブァンが中に入っていく事になりマリーが外で待機していた。


中に入っていったエブァン。


やれやれ、中は暗いな。罠とかはなさそうだが魔方陣はありそうだから結界を張っておく方が良さそうだな。


奥へ奥へと進んでいった。





エブァンはいったようね。


「いるでしょう?」


「呼んだ?」


「中に入っていったエブァン守ってあげてね」


「いってくるね」


「頑張ってね」


手を振るマリー


レデーに頼んだのだった。


「どうなるかしらね、こういう時本当にワクワクするのよね。やっぱり私が行けばよかったかしら。でもエブァンの修行にはもってこいな場所だしな。そうだ、後ろからそっとついていけばいいんだわ」


ふふふ。遠足を楽しみにしているかのように中へルンルンで入っていった。




ここが最深部のようだがここから先は崩れたか、通れなくしただな。他にはないか。


戻ろうとした時、エブァンの足元でなにかが光った。その瞬間土がエブァンを襲ったのだった。


くそあの魔方陣一度通って再度通ると崩れるように貼ってあったのか。


土の中で考えていると


「エブァン引っかかってる。マリー様が助けてあげてって言っていた通りになってるし。おもしろーい」


「レデーか、そこで楽しんでないで助けてくれないか?」


「そうだったね、今助けるね」


土をどかしながら、戻るとマリーが土の中から顔を出した。


「うぁー!?」


「あれ?間違ったかしら?おかしいわねもう少し先かしら?」


首が引っ込んだ。


「おい、なぜマリー様がここにおられるのだ。あれほどあそこで待つように言っておいたのに」


ボッフ!!


また別の場所から顔を出す。


「何か言わなかった?」


「うわぁー、だからですね戻りますよ。えーせっかくこの先に何かあるの見つけたのに戻るのいやよ」


「何かあったのですか?」


「そうなのよ。何かピカピカ光るやつを見つけたの。レデーエブァン連れて戻ってて、それ持って戻るから」


「ちょっとま……行ってしまった」


「戻って待つか」


「その方が良さそうだよ。もうかなり先に行ってしまったよ」


「マリー様に追いつけるわけがない。戻るぞ」


エブァン達は穴の入り口で待っていた。



あったこれよこれ。なんだろ?星に似ているけどちょっと違う、星は5つのでっぱりがあるのだがその星のへっこんでいる部分に丸いのがくっついて光っている。


不思議?でもどこかで見たことがあるような。うーん。戻ろう。




「ただいま」


「それでありましたか?」


「うん、あったよ」


マリーの手のひらに乗っているのを見てた


「あーそんな所にあったんだ」


「レデー知っているの?」


「知っているも何もそれ私の」


「マリー様はこれ昔見たことあるはずだよ。だってこれの破片かげたんだから」


「えっと…………あー」


「思い出した?」


「ええ、あれ飴玉だと思ってかじってしまったやつ」


「ええー、せっかくあげたのに」


「そうよ、私忘れていたわ昔貴方にあっていたのね」


「それも忘れていたの?」


「あまりにも昔すぎてね。それに私一度眠りについて記憶失くしている部分多くて」


「記憶ないの?」


「部分でね。眠りについて、次に起きた時には幼い時の記憶をなくしてだいぶ戻ってはいるんだけど部分的に戻っていない事が最近わかってきたのよね」


「マリー様大変だったんだね」


「そうね、それでもここにいるみんなよりはマシと思ってはいるけどね」


「レデーのなら返すわね」


「いいよ、それマリー様にあげる」


「でもこれがないと困らないの?」


「困らないよ。それはね土とお友達になれるやつだから」


「お友達?」


「そう、それがあると土を操ることができるんだよ。あとはねこれを見ることが出来るのは土に愛された者でなければ見ることも触る事も出来ない物だから、他の人には見つけることができないんだ」


「なるほどな、俺は見えているから愛されているってことだな」


「当たり前でしょ。緑は土がなければ育つのに苦労するでしょ。緑と土は切っても切れない関係なんだから見えて当然」


「説得力あるな」


「えへへ」


「2人とも、ここから逃げて結界の外で魔法陣展開して逃げたみたいね。その痕跡もあったからとりあえずは他を見に行きましょう」


「はーい」


「わかりました」


他の扉を見て回っていた奥から4番目の扉に手をかけると


「離れて!?」


急にマリーが叫んで2人は即座に後方へ下がった。


マリーを覆う魔方陣


「マリー様」


「大丈夫よ」


マリーが魔方陣陣に手を触れた途端粉砕した。


「ね!大丈夫だったでしょ」


「近づいても」


「もういいわよ」


「一体何が」


「この魔法陣は相手を拘束するだけではなく全てを乗っ取る魔法陣一度かかると死ぬまで奴隷になるわね」


「そんな魔法を一体誰が」


「そうね。もしかしたらカリドだったのかもね」


「ここが最深部にあたるのであれば司令室って所になるのかしらね」


「そうですね、中に入って見ますか」


「ええ」


マリーは中に入ろうとする前に


「2人共私の背後にいてよ。決して前に出る事は許さないから」


「ですが」


「聞こえなかったのかしら」


「は!」


「はい」


扉を開けると目の前に無数の魔法陣の数々が一斉にマリー達を襲った。


「こんな事だろうと思ったわよ。流石は学ばない民といったところかしらね」


余りの衝撃に言葉を失う2人


「ぼーっとしてないで進むわよ」


攻撃が止むどころか増していった。


マリーは一つ一つ魔法陣を破壊しながら前に進んでいった。


「ここに何があるのかしら?こんなに厳重に魔法陣を貼るという事は何が大事な物があるってことでしょ。ワクワクする」


マリー様はこんな状況なのに顔が笑ってるぞ。ある意味怖い。


「マリー様」


「ちゃんついてきてよ」


「わかっておりますが、怖いですよ笑いながら魔法防御しながら破壊しているわけですから」


「ワクワクが止まらないのよ。何かしらね。どこにあるのかしら」


あーダメだ。止める事は不可能だな。諦めマリーの背後を進んでいた時イッタ。


その瞬間マリーが防御魔法を2人にかけた。

2人の周りにドーム型防御魔法が展開されていた。


「レデー大丈夫?」


「うん、何か飛んできて」


「見せて、これはまずい。そのまま動かないでよ」


「うん」


どうしたのかな。


マリーが唱え始めた。


「優しく包みその者 守る寄せ付けくる者破壊せよ スピーリトゥ サクドゥマ」


「ふぅー間に合った」


「どうしたのですか?」


「精神破壊の魔法が打ち込まれたのよ、早く処置しなければレデーがレデーではなくなるところだったのよ。間に合って本当に良かった」


「そうだったの」


「お前自覚ないのか?」


「うーんないよ」


「この魔法は一度精神にくっつくと本人の自覚なしで進行するのよ。しかも破壊が始まったら止めるのは私でも無理だったのよ、だから精神にくっつく前に破壊しないといけなかったからね」


「そんな恐ろしい魔法だったの」


「震えなくても大丈夫だよ。もう破壊したからね」


「うーマリー様ー」


泣き出したレデーをあやし泣き止んだのを見てエブァンに渡した。


「エブァン、この結界から絶対に出ないでよ」


「マ、マリーさ、ま……」


魔力か上がっていく。


「お願いです。それ以上は怒らないでくれますか」


「頑張ってみる、とりあえずはその結界が壊れないようにね」


!?


レデーを傷つけたやつ死んだな。


どんどんと増していくマリーの魔力に耐え切れずに息を潜めていた奴が出てきた。


「お前達か、レデーを襲った奴は」


目の前に数名の輩が現れた


「くっ!」


魔力が強すぎて話す事も出来ないでいた。


「答えろ」


まただ。マリー様の口調が完全崩れてしまっている。今回は流石に無理だ。普段は優しいマリーなのだが理不尽に傷つけられると怒り出す。


なんとかしてやりたいのだがな。何かいい方法はないものか。辺りを見渡しても何か思い当てる方法などなく途方に暮れていた。


「どうした?答えないのか?それなら無理矢理にでも聞き出すだけだ」


瞬時にそいつらの元に行くと首に手をかけ魔法を展開した。


「なるほどな、お前死ね」


その瞬間には首の骨を折られ即死する。


あれが木が言っていた残忍さなのだと思い知らされた。


「次はお前だ」


「ま、ま、、っ、、てく、、、れ」


途切れ途切れに言葉を発した


「なんだ、聞いてやる答えろ」


マリーは魔力を抑えるどころか増している。


「お、れた、ちは、や、と、われて、い、ただ、、、け、だ」


「それがどうした?雇われているからと言って精神破壊をする奴に報いをやらないでどうする。お前達にも同じ魔法をくれてやった方がいいな」


「や、、め、、、てく、、、、れ」


「お前達が嫌なことをレデーにもしたんだ。報いを受けろ」


胸に手を当て同じ魔法を放つ。


「くっ!」


「次はお前だ」


次の奴に目を向けた時だった


くそ魔力が強い。なんとかするか。体中に結界を貼り強化してからマリーの前に姿を現した。


「マリーどうしたんじぁ?」


「ロンか、ジァマをするな」


「ジァマはせんよ。だかなわしの言葉に耳を傾けてはくれぬか?」


「なんだ」


「マリーよ、ここに何しに来たのか忘れては折らぬだろう」


「ああ」


「なら、後ろに控えている奴らはお前さんの姿に心配をしている事も気がついてやらねばならぬのではないか?」


!?


慌てて後ろを振り返ると、そこには確かにエブァンとレデーが心配そうに見ていたのがわかった。


ふぅーマリーが呼吸を整えて魔力を抑え始めた。


「気がついてなによりじぁ、わしは行く。ほどほどにな」


「ロン、ありがとう少し頭に血が上ってしまったようね」


「わしはな、アメールに頼まれて来たんじぁよ。あやつ、マリー様がマリー様がと騒ぎおってな助けてほしいと泣いてすがるからのう」


「アメールにも心配されてしまっていたのね。ごめんなさい」


「いいんじぁよ。それにマリーお前さんのことを心配しているのはそれだけではない。マリーの配下になった者達は全てお前さんを心配している事を忘れるでない。どんな風になったとしても心配はするもんなんじぁよ」


「うん」


にっこりと笑いロンを見つめていた。


「その顔ならわしがここに来た甲斐はあったようじぁ、わしは行く」


1人の輩がマリーに向かって魔法を繰り出そうとしたが阻止された。そこにはロンの姿がいた。


「だかな、こういう輩は許さなくてもいいとはわしも思うから、大いにやるといい」


一撃跡形もなく溶かされてしまっていた。


「あら、ロンも同じ意見だったなんて意外よ」


「そうか?不意打ちは元々好きではないからな」


「なら、似た者同士ね」


「そうじぁな、でもマリー少しは怒りで魔力を放出するのをコントロールしないとダメだぞ。年寄りからの忠告だと思って聞いてくれると助かるんじゃがな」


「そうだね、それは一理あるわ。忠告聞いておくね」


「そうしてくれ、今度こそいく」


「ありがとう」


ロンはその場から姿を消した。


それを見ていた2人


「よかった、いつものマリー様に戻った」


「あれは流石に俺でも止めることはできなかったから助かった」


「エブァンでも無理だったの」


「当たり前だ。マリー様が怒っていなかったら俺が行っていたぐらいだから、止められる自信なかった」


「それじぁ無理だったわけね」


「そういうことだ」




「これで話せるようになったでしょ?雇われていただけと言ってだ奴がいたけど、そうなのかしら?」


「そうだ、俺たちのスキルは精神のスキルだからな。それ以外に攻撃魔法と防御魔法を得意とする奴らが集められた」


「それでまだやるつもりなの?」


「俺たちに選択の余地はない。死ぬか、殺されるかしかないだろうな」


「雇われた奴の所には戻る選択はないの?」


「ない、ここに集められた奴らは死ぬ覚悟でここに残れと言われた奴らだけだからな」


「ことはれなかったの?」


「その選択はない、少しでも生き残る方法はここに残る他はないし、今目の前にお前がいる時点で俺たちの命はないのがわかった。殺せ。それが俺たちに残された最後の選択だ」


「もしここに残らずに逃げた場合はどうなるの?」


「質問の多いい奴だな」


「最後なんでしょ。答えてくれてもいいと思うけど」


「腹はくくってる。答えてやるよどうせ死ぬんだからな。最後に気持ちよく死にたいからな」


「その方が気持ちも楽になるわね」


「勝手にいっていろ。さっきの答えだったな。その答えは、俺たちの背後に転がっている死体が答えだ」


「死ぬのね」


「そうだ、死体の先に行こうとすれば死ぬ」


「それなら一つ提案よ」


「提案だと」


「ええ、もし貴方達が私に服従するというならば助けてあげる事ができるわ。ただし、服従が切れた時死ぬ事になるから結果としては今とあまり変わらないけどね」


「服従したからといって裏切らないとは限らないぞ」


「そうよ、裏切りも服従から外れるから死ぬわね」


「それならいっそのこと殺してくれた方がマシだ」


「それともし服従したら貴方達の命は私の配下が守る。決して手出しができないようにね」


「そんな事無理に決まっている」


「そうかしら?貴方達の攻撃を防いだのは私、これ以上に強力な魔法結界をまち全て大いに尽くす結界を張っているといっても?」


「バカな。そんな事あり得ない」


「マリー様が言っている事は本当だ。俺たちのまちに今現在も張られている。中に入る事は出来ない、出来るものは配下になったものでなければ出入りは出来ない」


「そんな信じられるとでも思うか?」


「そうね、それなら貴方達私の結界がある所まで連れて行ってあげるわそうしたらわかるわよ。それでも殺せというならば、その望みを叶えて殺してあげる」


「ここから出られないのに連れ出す事自体無理がある」


「ふふふ、それが出来るのよね」


「はぁ!」


「いいわ、まずは貴方達に結界張っておくわ」


手を振ると結界が張られた。


「そこにいてね」


攻撃も止んだし他の結界も無くなった事だから探しましょ。


ワクワクをジァマされたけど、気を取直して探し始めた。


うーん。ないわね。外れだったみたい。ここの部屋はハズレだったようね。


「2人共ここの部屋はハズレだったから、次の部屋に行きましょう」


「マリー様、こいつらは?」


「ここに置いておいて後で一緒に行くわよ」


「は!」


残りの部屋を見て回り他には重要な物は見当たらなかった


「ここが最後の部屋になるわね」


「そうですね」


扉のドアノブに手をかけ中に入るのだった。

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