第45話キリウス、刻印破壊

キリウスは疲れで眠りについたのがわかった。夢の中で刻印に無意識に意識を向けている


これだよな。何をやってもダメだった。組み合わせて試してみるか。


これとこれを編み込んで打ち込むと。


くそがまただ。弾きやがる、次だ


これはどうだ?


ダメか。胸くそ悪いのが増すだけだ。このまま死んだ方がマシだ。


あれを使えば刻印が破壊できるがその後が大変なんだよな。できれば使いたくないし、かといって使わないとダメなんだよな。


仕方ない、使うか。


ん?なんだ誰かいる?




ーーーーーーーーーー



「マリー様、寝ているようですね」


「そうね、お湯に眠気を誘う魔法を施してもらっていたのよ」


「いつの間に頼んでおいたのですか?」


「私が最初に帰ろうとしていた時よ」


「あの時ですか」


「始めるわよ、同時にやらないキリウスが繋がっているようだからね」


「繋がっているですか」


「あの服が刻印と繋がって伝達をしているのよ」


「面倒な事になっているんですね」


「始めて」


「「は!」」


マリーがキリウスの胸に手を当てた


どこにあるのかしらね。


キリウスの中に意識を向け身体中を特殊な魔力で覆い始めると同時に魔法を展開し始めた。


ヤクブが追跡魔法に施しを始め、エブァンが盗聴魔法に取り掛かる。


ヤクブはマリーから教わった通りに追跡魔法に霧の追跡魔法で覆うと全ての伝達機能に霧をまとわせた。




(この魔法は、追跡魔法が発動している間それを伝って逆に流れるようにしてあるの。霧は魔法を全て覆う事が出来るから全てが覆い尽くされると)


(そうか、場所が特定できるのですね)


(そうよ、だから頑張ってね)




エブァンもマリーから教わった通りに魔法を覆う。



(この魔法は相手が望んだように聞こえる魔法。例えば事がうまく進んで欲しいと望むそうすると会話もそう進んだように音声が変換されて相手に届くのよ)



マリー様は、またとんでもないものを開発される。我々が思いもよらない魔法を作るのだからすごいな。俺ももっと頑張らないとな。



体の外には無いようね。体の中か魂ってことよね。


特殊な魔力が中に入り込んでいくと、これね。また心臓に刻印って酷いことするわ。これでは死なないと破壊できないじぁない。他の者ならそう思うでしょうが、簡単ね。

それでも一度キリウスの体に入り込む必要があるわね。


「2人とも今からキリウスの中に入り込んでくるから、警戒を怠らないでよ」


「「は!」」



マリーの体が微粒子に変わり体の中に入り込んだ。体を小さく構成し、心臓の前に立つ。


私の大事な配下を苦しめているこいつを何とかしてやるわよ。


マリーが心臓を優しく労わるように抱きしめた。


よく頑張ったわね。今助けるからね、そう言う唱え始めた


「悲しみの中を漂う 魂の叫びを捉え癒す 悲しみと刻印と共に無へ エバニシェ」



キリウスの魂が癒されていた。それを見て微笑みながら優しく魂に手を触れ、魂に問いかけていた。


ーーーーーーーーーー



《マ、マリー様?》


そう思っていると近づいてきた。


《キリウスお疲れ様、大変だったわね》


《ここは俺の中だよな?》


《そうよ、貴方はあれを使うつもりだったのでしょう?》


《そうですが、なぜそれをってマリー様ならわかって当然でしたね》


《元気そうだからよかった。魂が消耗し始めていたから間に合ってよかった》


《心配をかけたようで申し訳ないありません》


《あれを使う前だったからよかった》


《よく分かりましたね。俺が刻印破壊魔法が出来ることを》


《ふふふ、あった時に気がついてはいたけど刻印破壊魔法を使わないで本当によかったわ》


《確かに、使用していたら魂の大半がなくなってしかばね状態になりますからね》


《そうよ、それを回復させるのが物凄く大変なんだからね》


《わかってはいたのですがそれしか方法がなくてですね》


《そうなる前に刻印保護魔法を教えてあげるわ。そうすれば刻印されても保護を解けば破壊されるから便利でしょ》


《そんなのがあったのですか》


《起きたら教えるわよ。それよりもこれからが大事な話よ。あいつらを騙して情報を仕入れてないといけないからキリウスちゃんと頑張ってよ》


《そのことですが、ここの話を少ししたのですが、少しだけ本当の事を後は適当な嘘で話してあります。内容はですね…………と言う感じに話しました》


《なるほど、6人を番号で呼ぶ事、名をキリと名乗っている事ね》


《それであっています》


《今外で、エブァンとヤクブがキリウスが着ていた服の施しをそろそろ終えた頃なのよ》


《よくヤクブの名を聞き出しましたね》


《?普通に教えてくれたわよ》


《ヤクブの名を知っているのは俺だけなんですよ》


《そうなの?それなら私とエブァンは知っているわね》


《あいつが人に名を知られるのが嫌で今まで話したことがなかったんですよ。最初俺も知らなくてあいつを呼ぶ時不便でしたよ》


《エブァンはなぜか先に知っていたようだけどね》


《そうなんですね》


《そろそろ戻るわ。私も長くここにいるわけにも行かないし、闇が晴れる頃だから離れないと怪しまれるのよ。ちゃんと操られている振りをするのよ。代わりの刻印をしてあるけど二重に刻印してあるからバレないようにしてあるからね》


《二重ですか?》


《心臓に刻印をされていたのだけど、キリウスの代わりに刻印保護魔法を施してその上から同じ刻印を施してあるのよ。後はキリウスが保護魔法を解除すれば上になっている刻印が破壊されるようにしてあるから、キリウスのタイミングで解除してね》


《わかりました。俺の維持で解除が可能なのであれば引き続き潜り混むことが可能なんですね》


《そう言う事になるわね、本当に行くわ。また後でね》


マリーはキリウスから離れベットサイドに戻ってきた。




ーーーーーーーーーー



「ヤクブそんなにウロウロされると落ち着かないからやめろ」


「ですが、あれから随分と時間が経ちますし、闇は深まるばかりでいつここにも闇が来るかわかりません」


「闇の時間でも心配するな」


「闇に飲まれては大変なんですよ。ましてやここは何が起きてもおかしくない場所なのですから」


「マリー様は漆黒の女王だぞ。闇がもし来ても俺たちを見つけ出すことなど造作もない。それにだ、イブリースもいるんだぞ、そんな事を心配するな」


「!?漆黒の女王?、イブリース?どう言う事です?」


「お前知らなかったのか?」


「何がです」


「闇を制しているのがマリー様なんだよ、それとだイブリースも闇の住人なんだからな」


「!?そうだったんですか。知らなかった。通りで落ち着いていると思いましたよ」


「そもそもここが闇に飲まれる事自体あり得ん」


「それを知っていればそうなりますよね」


「そう言う事だ座って待っていろ」


「わかりました」


それでも遅いな。何かあったのだろうか?マリー様に限ってあり得ないがそれでも5時間は長い。


「だから、座って待っていろと言っただろ、何がわかりましただ。後ろで結局ウロウロしているだろうが、こっちがイライラしてくる」


「闇の件はわかりましたが、あれから5時間経っているのですよ。心配しないのですか?」


「マリー様に限ってあり得ない。ウロウロするのをやめて座れ。必ず帰ってくる」


「そう言いますが、心配で気だけが焦りますよ」


「おまたせ」


「!?」


「お帰りなさいマリー様。どうでしたか?」


「うまく行ったわ、そろそろ闇が明ける頃だからまずは大広間に移動するわよ」


「待ってくださいよ。こっちは心配したいのですよ。連絡をくださればよかったのに」


「あら心配してくれていたのね。それは悪かったわ、でもね、連絡ができなかったのよ、魂のキリウスと話ししていたから無理だったのよ許してね」


「魂と会話?」


「まずは移動よ」


「エブァン、闇が明けると同時に皆を大広間に集めて5人には説明をしないとね」


「わかりました」


「俺の質問の答えは?」


「後だ、行くぞ」


「仕方ない」


3人は大広間へ向かったのだった。



みんなが集まる前に隠れ家の部屋で体を休めていた。


現代の方は今のところ異常はないがたまには魂を移動するのもいいと思い移動した。


特に変化はないか。あいつらは動きがないし、まだ異世界の方やってて大丈夫そうね。


「皆集まりました」


「今行きます」


マリーは大広間へと向かった。


大広間、中央の椅子に腰掛け皆を見渡した。


「みんなに伝えておく事がある。キリウスに会う前に話さなければならない事なの」


「キリウスに会う前にですか?」


「実わね………」


事の次第を配下5人に話した。


「そんな事があったんですね」


「これからキリウスを呼ぶけど皆には番号で呼んでもらうから、1番エブァン、2番イブリース、3番ファティマ、4番クオン5番イージス6番キリウスとします。絶対に名を口に出してはいけないから、心してかかってね」


「マリー様は?」


「そうだったわね、私は0ゼロ番でいいわ」


「わかりました」


「では6番を呼んでちょうだい」


「は!」


エブァンはキリウスを呼びに行くのだった。



ーーーーー中央都市に戻った頃に戻るーーーーー



「報告はまだなのか?」


「まだ報告はないです」


「わかった、すこし席を外す」


「かしこまりました」


何かいい方法はないものか。


建物内を散策し始めた。普段からあちこちに行く機会など無いウーゴは手当たり次第見た事のない部屋を開けていた。


ん?こんな所に部屋なんてあったか?


ウーゴは扉を開けようとしたが開かなかった。


どういう事だ?


辺りを見渡したが何か鍵になるものはなくドアノブも無い?扉なのは間違い無いが辺りを触りながら歩いていた時。


何か光ったぞ。光って先に目をやると扉に触れていた指先当たっていた部分が光っていた。


ここに手を置くのか?


手を扉に当たると、紋章が浮き出て扉が開いた。


こういう仕組みだったのか


早速中に入るとそこは秘宝庫だった。


なんだお宝満載の部屋だ。いろんなものがあった。剣、盾、弓、槍、鎧、鏡といった品が所狭しと並べてあった。その中でも一際異彩を放っていたのが奥にある壁だった。


なんだろう?ここだけが妙に異彩を放っている。他のものが霞んで見えてしまうな。


そこに手を触れると


(ようやく来たか)



(聞こえなかったかの)


「え!」


辺りを見たが誰もいなく壁に目をやるとそこにいたのが老人の姿が壁に浮き上がっていた


「!?こ、れ、がはなしたのか?」


(なんだ聞こえてあるでは無いか)


「やっぱりそうか、絵が喋るとかおかしいだろ」


(そうじぁろうな、普通は話せんよ)


「普通はでなく、話さない」


(動揺はわからんでもないがな)


「そもそもここはなんなんだ」


(おや?聞いてきたのではないのか)


「何の事だ」


(やれやれ、子孫にちゃんと伝え続けろといってあったのだがどこかで途絶えたようじぁのう)


「だから何の事だと聞いている」


(ここはのう秘宝庫かくほうこと言ったなここの主人だけが開くことを許される部屋なんじぁよ)


「そんなの聞いていないぞ、大体お前はいつその話を伝えたんだ」


(そうじぁな多分だが500年くらい立っていると思うぞ)


「500年だと、伝える奴が居なければ無理だろうが」


(なぜじぁ?死ぬ前に引き継がないのか?)


「死んでから次が決まるから引き継ぎなんてそんなもの最初っからなかった」


(やれやれじぁないとのう。いつのまにか死んで次が決まる風習になってしまったのか)


「とにかくだ、ここは宝があるようだがお前の方が異彩を放っていて他のものが霞んで見える」


(それは言えるの。それでお主はここに何しに来たのだ?)


「そうだった、奪回策がないかを探しながら歩いていたのを忘れていた」


(?奪回策じぁと)


「そうだ、面倒な事になっているんだ。時間もないし探し回っているんだが、いい案は見つからないわ変な部屋を見つけるわで頭がいたい」


(変な部屋とは何じぁ、お主この壁に手を当ててみるんじぁ)


「何てお前の言うことが信用できると思う?」


(それもそうじぁな。それなら、そこの鏡に手を触れてみろ。お主が知りたいことが映る。試してみるといい)


「だから信用できるか」


(まあ、騙されたと思って試してみるがいい。時間がないわじぁないとなかったのか)


このジジイは人の話を聞かないのか?


渋々鏡に手を触れると


!?


「どう言うことだ?」


(言ったじぁろ、お主が知りたい事が映るとな)


あれは影だな。やはりあいつらはまだいたんだ。そうだろうとは思っていたがこの目で見て確信した。連絡が途絶えたから何かあったとは思っていたが捕らわれていたとはな。あいつもかなりの腕の持ち主。それが捕まっとなればここに来るのも時間の問題という訳か。


(お主、聞いておるか?)


「すまない、聞こえていなかった」


(たく、わしはここを守る主ここから出ることは決してない。お主に力を貸すことはできぬがここにある物ならば力を貸してくれる。秘宝庫にある物はここの主でなければ使うことができぬ。例えばそこにある剣、それはお主だと持ち上がるが他のものは重すぎて持てない。武器は全てそうだ。鏡はお主だから辺りを映し出すが他のものが鏡の前に立っても景色すら映さない。ここにある物は全て主のみが使うことを許される物なのだよ)


「俺にとっては有難いが、今の俺に必要なのは奪回策だ。武器や装飾品に用はない」


(お主が考えている奪回策なのだが、1つ心当たりがある)


「なんだそれは?」


(お主の後ろの棚を見てみるといい。そこに一冊の本がないか?)


棚に向かい辺りを探した。


あった。多分これだろう。


「これか?」


(それじぁ、それにお主の奪回策とやらを示している記載が無いか見てみるがいい)


「これに載っているとでも言うのか?」


「定かではないが、昔その本に載っている策を試したところ成功したと言う話を聞いたことがある。その本は策の本と言ってな。今起きている出来事に対して策立ててくれる魔法の本なのだよ。ただしその本は1人に対して一度しか使えない。使った後は消えてなくなるのだがこれまた不思議でな、次の主人が現れるとまたその棚にその本が出てくるのだよ。これにはわしもびっくりしたのだが、この500年の間は使わなかったからすっかり忘れておったわ)


「一度だけでいい。今がこの本を使う時だ。いい物を教えてもらってすまない」


(なんじぁ、お主もちゃんとした礼を言えるのじぁな)


「人をなんだと思っている。とにかく使わせてもらう」


(役に立つといいのじぁかな)


「で、どうやってこれを使う。開いだが白紙だぞ」


(扉と同じように本の表に手を触れてみるといい。そうすればその本に文字が浮かび上がる)


「わかった」


表に手を触れてみると茶色い靄が本を覆い紙の中に吸い込まれていった


(もう良さそうじぁ、開いてみるといい)


本を開くと文字やら絵が記載されていた。


すごいな。さっきまで白紙だったのに。見とれている場合ではなかった。探さなければ。


必死に本を読み始めた。余りの量に2日も月日が経っていた。


「あった」


(ようやく見つけたようじぁな)


「ああ、これには俺が自ら捕まれと書いてある。それとだ、紋章の書いた紙を手のひらで読み解き体の中に入れ、真実を知った後脱出の際紋章を起動すればどんな魔法がかかろうとも脱出することができると書いてあるな」


(紋章の紙じぁな、それなら、その本の棚にたくさんあるから探すといい)


本には紋章の絵と紋章を起動する方法も書かれていた。


「多くないかこれ?」


(当たり前じゃ、その紋章だけでも1万枚はあるからの)


「どうやって探せと」


(本にかいてないかの?)


「そうか」


本の続きを読むとあったこれだななるほど


「ここにロウソクはある?」


(その棚にあるはずじぁ)


引き出しを探しすとすぐに見つかった


「えーと、ロウソクの先端に触れる」


火がついたが熱くなかった


「それで、紙の束にその火で燃やす?燃やすのか?そんなことしたら全部なくなるぞ」


(安心せい、その火も魔法だ燃やすと書いあるのなら、お主がわかりやすいように書いてあるのだろうな。ここにある物は必ずここに戻って来るから安心して燃やすといい)


「わかった時間が欲しい。とにかくやる」


火を紙の束につけて燃やした。燃え終わると1枚の紙だけが残った


「これだ」


すぐに本に書いてある通りにやってみると紋章が手の平の中に移って手の平に紋章が浮かび上がった


「これはすごい紋章だ。これを解析すればいつでも使えるではないか」


(それは無理じぁな)


「どうして?」


(解析をする為に使おうとすればその紋章は消えここに戻って来るぞ、紋章に限らず使用方法と異なる事をするとここに戻ってきてしまうのじぁ。しかも使用方法と異なる事をしてここに戻った物は次の主人ならない限り使う事をができなくなるこら気をつけるんじぁ。同じ人が主人をやめてもう一度戻ってきても使えない。主人が同じ人だと変わらぬようなのじゃよ)


「また、面倒な。それをやった奴がいたんだな」


(昔におったよ)


「まー、考えることはみんな同じと言うことだな」


(そうじぁ。ここの奴らは昔から変わらぬようじぁないとからな。だがお主は今までの主とはちと違うようじぁ)



(自覚しておらんのか?お主学民じぁろ?しかも誰かに仕えたがっているように見えたが気のせいかのう?)


「俺の心を読んだのか?」


(それはわしでも無理じぁな。なんとなくそう思っただけじゃ)


「学民を知っているのか?」


(大昔、ここにも学民はたくさんおったよ。だが学ばない民が学民を殺すようになった。学民は隠れて住むようになったのだがある日忽然と姿を消した。なぜ消えたかは分からん。だがわしはそれでよかったと思ったよ。あんな惨劇見たくなかったからの)


「学ばない民はなぜ学民を殺したんだ?」


(悲劇の始まりは些細な事だったんじぁよ)


秘宝庫の主は学ばない民と学民の悲惨な出来事を話し始めた。

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