第44話影
隠れ家の移動が終わり、主人の間にある椅子に腰掛け待っていた。
「キリウスが戻るまでの間に5人の配下をここに呼びなさい」
「は!」
キリウスの配下が即座に動き転送魔法にて目の前に次々と姿を現した。
「キリウスが来ると言うのは本当か?」
「ああ、今しがた連絡が入ってもうじきここに来る」
「かなり時間がかかったようだな」
「それに関してもキリウスから説明されるだろう」
そんな話をしているとキリウスが姿を現した
「ただ今戻りました」
「お疲れ様!?」
「どうしたのその格好は?」
「詳しく話をこれからいたします」
「その前に、やることがあるわ。水浴びが先よ、体の疲れをとってからでも遅くないわ。話は明日にする解散」
「ですが」
「聞こえなかったかしら?」
「いえ」
「急ぎの話だけでも」
マリーはムッとしながらも背を向けて隠れ家に戻るのを思いとどまった。
「なに?それを聞いたら残りは明日にするのでしょう?」
「それはもちろんでございます」
マリーを怒らせるわけにもいかないのだが、せめてこれだけはと思い言葉に出したのだった
「ウーゴがやられました」
「やられたとは?」
「はい、やったのは私です」
「!?」
「お前、なにをやらかしたのかわかっているのだろうな?」
「わかっている」
「それで、伝言を預かりました。これより先に来るなら容赦はしないと」
「そう、それだけかしら?」
「はい」
「わかったわ、残りの話は明日。今すぐにこの場から離れ体を休めなさい、いいわね」
「は!」
そう言うとすぐにキリウスは姿を消した
「マリー様」
「言わなくていい。明日全てを聞きます。皆も体を休めなさい。いいですね」
「は!」
「それとエブァンここに残りなさい、話があります」
「わかりました」
「他のものは、今彼に接触するのを禁止します。これは命令です」
「何故ですか?」
「それを説明するのは明日に全てします。今は従いなさい」
魔力がどんどん増えて行くのがわかって、配下達は冷や汗を流し出し始めていた。
「申し訳ありません」
跪き頭を下げ、各自の部屋へ戻っていった。
「マリー様いつまで魔力を出し続けるのですか。このままだと耐えきれなくなりますのでどうか抑えてください」
「あらやだ」
やっと収まった。本気になると耐えられなくなる。
「マリー様お話と言うのは?」
「エブァンは気がつかなかった?」
「なにがですか?」
「そう気がつかなかったのね。キリウスの配下は気がついたみたいよ」
「いるでしょう?」
「ここに」
「キリウスが服従の刻印されていたわよ」
「なんだって」
「貴方は気がついていたのでしょう?」
「はい、ですから接触は避けました」
「闇の時間に私がキリウスの刻印を破壊します」
「それとキリウスが来ていた服あれには追跡魔法と盗聴魔法が施されているから、やたらに話せなかったのよ」
「え、今は?」
「大丈夫よ、この中に
「ここからが本題、キリウスは、刻印をなんとかしたくてもがいているの。それが限界に近づいているから体を休めさせた、ここまではいいわね」
「はい」
「二人には服の方をなんとかしてもらいたいの」
「服の魔法ですね」
「そう、失敗は許されないから心して取り掛かって」
「わかりました」
「2人に教えるから上から魔法を覆って欲しいのよ」
「魔法を魔法で覆うってことですか?」
「その通りよ、そうすることで相手の思惑通りに事が進んだと捉えてもらうように変換して聞こえるようにしてくれる魔法よ」
「それは便利ですね」
「ええ、それとキリウスの配下」
「話の途中で申し訳ないのですが、名前あるんでそれでよんであげられないのでしょうか?」
「あるの?」
「あります」
「名は?」
「私の名はヤクブです」
「ヤクブ貴方には追跡魔法を利用して逆に追跡して欲しいの。そのやり方を教えるから、私がキリウスの刻印を破壊している間にしてね。頼めるわよね」
「勿論でございます」
「それでは、時間もないからすぐに2人に教えらわよ」
「は!」
2人に教えている頃、キリウスは
不覚にもこのザマだ。これでもダメか。ここに戻ればなんとかなると思ったのだが無理だ。他の者達には気がつかれなかった。それでもまだ望みはあるか。あの2人なら、きっと気がついた筈だ。
お湯に浸かると体から疲れが出た。
お湯から上がり用意されていた服に着替えると着ていた服を持って案内された部屋に入った。
「ベットか」
久しぶりに横になると、疲れていたせいかすぐに眠りについた。
「これでよし、2人とも必ず成功させてね」
「任せてください」
「では行くわよ」
3人はキリウスの元へ行くのだった。
ーーー時は街を作る頃に戻るーーー
キリウスは入り口を調べていた。
ここにはないようだな。移動した痕跡が見られるな、痕跡から追跡魔法が使えるか?………いけそうだ
追跡の後を追い地下へと伸びているのがわかった。
また、ここに戻ってくるとはな。マリー様が来た場所と少しずれているのか。誰か来る。
とっさに空中漂う水分の中に隠れた。
「おい、見張りをたてておけ。もう少しで結界が貼れるからな」
「!?」
「そこにいるのは誰だ」
「どうしたの?」
「今そこに人影が」
「仲間を呼ぶ。お前は警戒していろ」
「わかりました」
辺りを警戒しながら待っていると仲間がやって来た。
「おい、どの辺りだ?」
「この先です」
「わかった、お前は引き続き警戒していろ」
「わかりました」
まずいな、結界が張られる前に中に入って置かないと入らなくなる可能性があるか。
キリウスが建物の中に潜り混んですぐに結界が張られた。
「本当にここに人影がいたのか?」
「間違いないです。この目でしっかりと見ました」
「結界が張られた。これでこの中に潜りこむ事はできん。だがもしかしたら、もう潜り混んでいる可能性もある。警戒した方いいな」
「ですがここを通った者はおりません。警戒魔法にも引っかかっておりません」
「念のためだ、一応彼の方に報告をあげるぞ」
「わかりました」
仲間はその場から立ち去ってあのお方の所に戻っていった
おかしいな、たしかにいた筈なんだけどな。まあいいか、あの人達に任せれば
「あれ本当にいたと思うか?」
「居たさ。お前たちではわからないだろうな。とにかく急ぐぞ。この建物の中に紛れているからな」
「わかった」
バレたか。仕方ない一度戻るとするか
結界から出ようとした時!?
くそ、やられた。ここから出られないのか。指定魔法が施されていやがる。マリー様なら解除するだろうが俺ではこの高度魔法は無理か。
次の手を考えるか。お!いい物がある。それならあの手を使うか。
これを着て普通にしていればいいな。
衣服に着替えて建物の中を散策していると
「お前何をしている?」
「すいません、新しく入ったばかりで」
「そうか、お前か。それならこっちだ」
うまくいったな。
「ありがとうございます」
「ここは広いからな。お前も大変だな」
「?」
「聞いていないのか?」
「詳しい事は」
「実験だよ。お前もその1人って事だ。でも安心するといい、家族には金が入るようになっているからな」
そういうことか。
「はい」
「大金が手に入る代わりに実験台に志願は俺には無理だよ」
「仕方ないんですよ。俺にも色々あるんで」
キリウスは話を合わせた
1つの部屋に通されると、目の前に巨大な魔法陣が姿を現した。その先に目をやるとウーゴが捕らわれているのが見えた。
ここにいたのか。殺されているだろうと思ったがよかった。
「ここで待っていろ」
「はい」
待たされることになったキリウスは、辺りには見張り以外居ないかを確認し水を利用してウーゴに接触を図った。
(ウーゴ様聞こえますか?)
顔を上げびっくりしていた。
気がつかれる。その前に
(そのままだと気がつかれます。顔を下に戻してください)
ウーゴは顔を下にした
(頭で言葉を浮かべてくれれば話せます)
(こうか?)
(そうです)
(なぜここに来た?)
(助けに来たのです)
(助けにだと)
(そうです)
(俺のことはいい、ここに来てはダメだ)
(そう言われても俺も出られないのですよ)
(なんだと、これでは私が捕まった意味が無いではないか)
(自分から捕まったのですか?)
(そうだ、影の存在が消えていなかったのを知ったわしは何かいい方法がないかを探りながら色々と城の中を見て回って秘宝庫を見つけたのだ。そこに脱出できる物がある事を見つけた。それならば捕まり危険になったらそれで脱出する筈だった。予定が狂ったがな)
(なぜそれを配下に言わなかったのです)
(無理だな、配下にも手を回していた。だからこそ言えなかった。信頼はしても信用はできんかったよ)
(事情はわかりました。とにかくここを脱出しなければ話しが進みませんので、これからウーゴ様を助けるための刻印を施します。これをすると20時間後、餓死状態になりますから、私が助けるまでの間我慢してくださいね)
(20時間もかかるのか?)
(はい、それぐらいの時間があれば私が刻印をしたことがバレにくいので時間をずらしてあります)
(わかった、とりあえずやってくれ)
(はい、もしその前に見つかった場合は、ウーゴ様が持っているそれで脱出してくださいね)
(わかった)
水の刻印を骨に刻み込んだ。
(これで、しばらくは死んだと見せかけができます、誰か来ました)
「おいお前、あの方がお呼びだから付いて来い」
「はい」
(しばらく待っててくださいね)
(ああ)
後についてあのお方の所に案内された。
「へえー君が侵入者なんだね。かなり使えそう」
「なんのことでしょうか?」
「とぼけても無駄、ここに新しい実験台を用意した覚えはないからね。その時点で君が侵入者となるんだよ」
「そうですか。貴方は誰ですか?」
「君から名乗るのが普通じぁないとないかな?」
「私の名はキリです」
仮の名を用意出来ず頭頭文字をとった
「キリ、君は何しにしたのかな?」
「貴方の名を私は知らない。知らない奴に教えるつもりもない」
「度胸座っているね。その度胸に免じて答えてあげる」
「よろしいのですか?」
あの方の隣に立つ男が発言した途端地を吐いて倒れた。
「!?申し訳ありません」
「わかってくれてよかったよ」
「僕の名はカリド全てを手に入れる為に動いているのさ」
「全てですか?」
「そう、その為には犠牲はやもえないと僕は考えるよ」
「そうなんですね」
「僕は答えた、君の番だよ。キリはどうしてここに来たのかな?」
「私も世界を見てみたかったのです。その為には、ここに潜り混んで見たくなったのです」
「どうやってここを突き止めた?」
手のひらサイズの魔方陣を出しておいた。本当は霧と同じ程の魔方陣を出せるのだがそれを隠しておく必要があったからだ。
「これはすごいね。こんなに小さくなるんだね」
「はい。苦労しましたが」
「気に入った、僕の配下にならないか?」
「私がですか?」
「そうキリがあれば追跡が簡単に出来そうだ」
「そう思うだろ?お前達」
「そのようで」
「それなら、配下になった証にその服に付与してあげるよ。それとここに来て」
「はい」
近づくと胸に手を当てられ刻印を施された。
「くっ!」
膝まずかずには居られなかった。
くそがなんてことしやがる、防御がはじかれやがった。
仕方ないしたかったふりをしておくのが無難だな。
「これからよろしくお願い致します」
「こちらこそよろしくね」
くそが。マリー様以外従うつもりなんてないんだ。胸くそ悪い。
「それとキリがちゃんと従ったかテストだね。あそこにウーゴいたよね。殺してきて」
こいつふざけやがって人をなんだと思っていやがる。吐き気がする。こんな奴が全て手にするなどあり得ん。そんな事するぐらいなら滅んだ方がマシだ。
「はい、場所がイマイチわからないので連れて行って欲しいのですが」
「来たばかりだからね。案内してあげてよ」
「かしこまりました」
部屋を出て歩いていた。
「聞きたい事があるんだが構わないだろうか?」
「なんだ?」
「カリドは!?」
「おい、呼び捨てにするなよ。あのお方の前でもだ」
「わ、わかった。すまない」
「わかればいい」
様なんてつけてたまるか。死んでもつけないぞ
「あのお方はいつもああなのか?」
「そうだ。全てを手にする為だ」
「何人も死んでいるんだろうな」
「確かにそうだ。だがあのお方にも慈悲はある。幹部まで昇りつめれば一度なら許されるな。次がないけどな」
「そうか」
「なんだ怖気付いたか?」
「そうではない、ただなんとも言えない気分になるだけだ」
「なんだそれ」
「いやな、世界を見たかったのにここで足止めと思うとな」
「バカだな。あのお方が見せてくれる」
「そう言う考え方もあるな」
「そうだ」
話を合わせながら、結界の扉が開く。
「さあ、あいつがウーゴだ。俺の目の前で殺せ」
「わかった」
水を利用し、わからないように接触した
(ウーゴ様、状況が悪くなりました。予定変更です。これから刻印を発動します。それで餓死になってもらいます)
(わかった。キリウスうまく乗り切れよ)
(はい)
特大魔法を発動し、別に刻印を同時に発動。殺しにかかったように見せかけた。
「これでいいか?」
「なんかあっけないな」
「そうですね、特殊魔法がかけられていたのでそれもついでに貫いてみました」
「特殊魔法だと」
「はい、ここですね」
刻印から目をそらせるために餓死刻印の上から別の刻印を上に乗せた。これはマリー様が教えてもらったもの。みやぶる事など不可能だ。
「これか?よく貫いたな」
「俺のこの魔法は刻印ごと貫いて死ぬ」
「俺にもそれを教えろよ」
「自分でやれよ、苦労したんだから簡単に教えるわけないだろ」
「ケチが」
「言っていろ」
「とりあえず戻るぞ」
「こいつはどうするんだ?」
「そいつは埋めるさ」
「そうか」
追跡魔法をウーゴにつけてその場を後にした。もちろん霧サイズにしてあるからバレる事はない。
彼の方待つ部屋に戻ってきた
「約束通り、殺してきたぞ」
「俺もこの目で確認した。もちろん魔法でもな」
やっぱな、そうだろうと思っていた。先手をしておいてよかった。そのものが望むように見せる魔法をウーゴの体に施しておいて正解だったな。
「こちら側にようこそ」
「はい」
「最初の仕事をお願いするよ」
「僕の調べでは君は、川の向こう側の主に使えていたようだね」
「それがどうしたのです?」
「動揺するのかと思っていたのにな」
「驚くことはないと思いますよ。俺はあそこから抜け出して欲しいと頼んで抜けた身ですからね」
「抜け出した?」
「そうですよ。世界を見て回りたいと言ってね。いつでも戻ってこいとも、言っていたので戻ることも可能ですがね」
「それなら好都合だね。今回の仕事はその川の向こう側に潜入して情報を得て欲しいんだ」
「わかりました」
「それとあそこの情報を提供してもらうよ」
「あそこのですか。それなら配下が大勢いるぐらいですかね」
「それだけか?」
「それだけですね」
「配下に強い奴はいないのか?」
「いましたよ」
「?今はいないと聞こえるが」
「今はいませんね。しばらくすると戻るようですが、俺が出る時に一緒に出たので」
「その名は?」
「俺たちに名で呼ぶ事はなく番号で呼んでいました」
「番号?」
「はい、1から6で呼んでいました」
全部出鱈目を並べていた。こんな話を信じるのもどうかと思うが真実の魔法を喉の中に施してあるから真実に聞こえる。騙すことなど俺にかかれば朝飯前だ。
「お前は何番だ?」
「俺は6番です」
「それは入った順につけられているんだろう?」
「いいえ違いますね。強い順に並んでいます」
「お前でも6番なら他の奴らはもっと強いという事になるが」
「それであっています」
「何てことだ。もっと強くならないとダメのようだな。何とかなるさ」
「それで行ってくれるんだろうね」
「もちろんです。お任せを」
「キリに任せて作戦会議と移ろうか」
「かしこまりました」
「俺はすぐに行っていいのですか?」
「何か欲しい物があるなら、揃えよう」
「いえ特にはありません」
「なら、すぐに向かってくれ。それと主にあったら伝言を頼む。これより先に来るなら容赦はしないと」
「わかりました」
川の岸に近づき
「聞こえるか?」
「どうだった?」
「これからそちらに向かう。連絡を頼む」
「わかった、伝えておく」
エブァンはキリウスの様子がおかしい事に気がつき、それに合わせるように答えたのだった。
ーーーーーーーーーー
全くキリウスにはもう少し鍛えて教えてあげないとダメね。防御がまるでダメダメよ。
マリーがキリウスの部屋の前に立ち魔法を発動し始めた。
「形を成すもの我に答えよ 主の思う通りに変え伝えよ リチーテ」
「マリー様、今何をしたのです?」
「今したのは、彼らが思う通りに状況を伝えてくれる魔法をこの部屋に施した。彼らが望むものは今は彼が寝ている事実のみ。それを知っているのだから、そのままを維持してもらうようにするだけ。私達が中に入ろうとも寝ているだけ。私達がここに入った真実が、隠される事になるわけよ。ついでに防音魔法もつけておいたから安心よ」
「そうでしたか」
「中に入って始めるわよ」
3人はキリウスが寝る部屋に入るのだった。
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