第42話完成

1万の学民達が作業を進めていた。

ファティマが張った結界の中で着実に家が出来上がって行った。そこには1万の民以外にもクオンの配下やファティマの配下、エブァンの配下達が総出で家を建てているおかげでかなりの数が次々と出来上がって行ったのだった。




その頃マリーは、4個目の異空間を無くしてから3個目の異空間へと移動したのだった。使わなくなった異空間をそのままにしておいても魔力を消費するだけなので消してしまったのだ。


「ようやく貴方達の事ができるわ」


「貴様は誰だ?」


「皆さんはじめまして」


「さっさとここから出せ」


「その前になぜ捕らわれているのかわかるかしら?」


「ごたくはいい、ここから出せ」


「せっかちは嫌われるわよ」


「ふざけるな、俺たちが何をした?」


「したわね。してはいけない事、手にしてはいけない知識を使ったからよ。魂だけを現代に送るだなんてしてはならない。お互いの世界の干渉となりうる物はダメなのよ」


「!?、お前はどこまで知っているんだ」


「それに答えてあげるけど知識を頂くわ。その知識を知ってはいけないし、使ってもダメ。それはお互いの世界を崩壊する行為なのだから。貴方達、世界なくなってもいいのかしら?」


「世界がなくなるだと、馬鹿げた事だ。我々に嘘など通用しない。それにだ、知識は探求をするものだ」


「探求は素晴らしいわ。でも、ここの世界の探求が全て終えたのだとしたらそれもいいわね。でも貴方達は、ここの世界の知識を少ししか理解していない。そんな事も分からずに探求だなんて笑わせないで」


「俺たちは、全てを手に入れた。だから次へ進んだまでだ」


「そう、これを見ても同じ事が言えるかしら?」


極限魔法を彼らの前で出した。決して一人で出す事ができない魔法を。今出しているのは火。


「お前はそれを一人で出したのか?」


「そうよ」


「そんなの最初っから仕込んでいたに過ぎない」


「それなら、同時に出したらどうかしら?」


火、水、土、緑、光、闇全てを並べて宙に浮かべて見せた。もちろん究極で。


「ありえん、これだけの魔法を出すのに何人もの術者が必要だ。どうやって仕込んだ」


「あら?貴方達は、全てを知っているのでしょう?それならこれの出し方も、維持も、もちろん全てを出す事もできるのでしょう?」


「馬鹿げた事を言うな。そんなのできるわけがない」


「貴方達は言ったわよね、"全てを知った"と。嘘は良くないわよ。それにこの子達なら知っているわよ」


(みんな悪いけど少しだけ集まってもらえるかしら)


(いいわよ)


(いいよ)


(わかった)


(今行くね)


(どうしたの?そっちに行けばいいんだね)


(マリー様何かあったの?)


そう言うと、目の前に人魚が姿を現した。


「ごめんね、そこで浮いててくれるだけでいいんだ」


「そうなのわかった」


「………お前それをどこで」


「そんな事もしらないの?」


「火の人魚は滅んだのではないのか?」


「あらあら、これも知らないときましたか。何が全てを知ったよ。笑っちゃうわね」


「バカにするのもいい加減にしろ」


「バカに?違うわね。知ったふりをするからでしょ。何が全てを知ったよ。何も知らないじぁない。物達の言葉は理解できる?その前に見えているの?時の旅の存在は?貴方達が持っている時計の大きさが違う理由は?貴方達は何も知らない。ふざけないでよ」


「マリー様、魔力抑えて」


「マリー様お願いだよ」


「私たちのマリー様を怒らせないで」


「お前達は、マリー様の手の平の上なんだ。自覚しなよ」


「マリー様を怒らすな。マリー様が怒るなら僕が怒る」


「ちょっとみんなが冷静にならないでどうするのよ」


目の前にエブァンが急に現れた。


エブァンは、建物の見回りをしながら進み具合を見ていた。

キリウスもまだ調査から戻ってないしな。子供達は相変わらず元気だな。

こっちは、警戒してるようだ。特に異常もなさそうだ。一度マリー様に報告を………!?なんだ急にマリー様の魔力が増大したぞ。これはまずい量だ。


余りにも魔力が増えたせいで慌ててエブァンが駆けつけたのだった。


マリーの前に立ち、目の前で跪いた


「マリー様、ご報告がございます」


「なに?手短にして」


「は!大変申し上げにくいのですが、マリー様の魔力が多すぎて人魚達が苦しみ出しております」


「え!」


後ろを振り返ると、地面にうずくまっていた。


それぞれが言葉を発した直後、さらに強力になった魔力に当てられて耐えられなくなり、地面に落下したのだった。


慌てて魔力をしまい、人魚達の側に駆けつけた。


「みんなごめん、本当にごめんね。怒りで貴方達の声が聞こえないなんで貴方達の主失格。今回復するからね」


涙を目に溜めながら回復を行った。


「よかった、いつものマリー様だね」


「僕たちは大丈夫だよ」


「マリー様は泣き虫なんだから」


「マリー様笑って」


「元気を出してよ」


「僕たちはいつもマリー様の味方だよ」


「みんなー」


全員を抱きしめて泣いていた


「マリー様いたいよ」


「あったかいね」


「ほら涙拭いて」


「僕平気だよ」


「僕も元気だから」


マリーの手から人魚達が飛び出して宙を泳いで"笑って"と言いながらマリーの周りを泳ぎまわっていた。


「マリー様、顔を上げてください。人魚達が心配していますよ」


顔を上げると人魚達が顔を覗き込んで笑ってと笑顔を見せてくれた


「うん」


笑顔で返した。




なんて量の魔力を出すんだ。


結界にヒビが入っているのを見て全員が青ざめ、固まっていた。


「気を取直して、作業開始ね」


「その域だよマリー様」


「貴方達の知識を頂くわね。いいえ返してもらうといったほうが正しいわ」


「返す?」


「物達現れなさい」


「は!」


マリーの背後に見た事もない者が姿を現した。


「それはなんだ?」


「貴方達には答えない」


「物達、私が欲している知識を全て奪ってちょうだい」


物達がそれに答えるように姿を消した。


「マリー様?」


「なに?」


「物達はどこにいったのですか?」


「私の命令を遂行しているのよ」


「姿を消さないとできないのですか?」


「見てなさいよ、すごく綺麗な光景が見れるわよ」


「わかりました」


しばらくするとオーロラのような光が結界内を覆い尽くした。


「マリー様なんと美しい球体なのですか」


「エブァンもそう思う?」


「もちろんです」


「そうでしょ!今ね結界の中で必要な知識だけを抜き取ってくれているのよ。私でもできるだけど、それよりも物達は知識が手に入るほうがいいのよ。知識を物達が有ると他の民には決して漏れることがないのよ。その方が一番でしょう」


「それではマリー様もわからないという事になりますね」


「残念ながら、わかっちゃうのよねこれが」


「どういう事ですか?」


「それはね」


本を異空間から取り出した。


「マリー様それは!」


「そう、今はなにも書かれていない本。これに全てが乗ってくるのよ。外に出してはいけない知識だけがここになってくるの。今回もその一つってことね」


「そういう事だったんですね」


「話変わりますが、あの部屋またぐちゃぐちゃになっていませんよね?」


「えっと、うん」


「なっているんですね?」


「少しは片付けているわよ」


「少しはって」


「頑張っているんだけどね、最近、物達がせっせと物を私にこれがいいと運んでくるものだから、だんだんめんどくさくなって、部屋広げたの最近の話なのよね。あれどうにかならないかしらね」


「マリー様」


「ひぃ、ごめんなさい」


「後で片付けにいきますから、扉作っておいてくださいよ」


「わかったわ」


「そろそろ終わるみたいよ」




ーーー結界内ーーー



結界内に入った物達が作業に取り掛かる。


(みんな、この中にはものすごくいい知識があるわよ。これをいただき私たち王へ返上するわよ)


(おうー)


(そうそう気を付けて、魔法の付与あるみたいだからね)


(じぁみんな取り掛かりましょう)


そう言うと物達は各結界内で作業を始めた。頭の中に入り込み伝達経路をたどって知識の泉にたどり着くと、そこから魂の転送に関わる知識を汲み上げて、物達が持つ本へと流し込んで行った。


(これ、かなり多いいわね)


(本当だ、これだけの物達がいるから大丈夫。みんなの本へとどんどん流し込んで、いっぱいになったら、次の物達の本に流せばいいわよ)


(そうだね、どんどんやっちゃおう)


(いらない知識はとらないでよ)


(わかっているよ)


大量の知識が物達へと集まっていった。消してしまうことすら許されない知識、民に与えてはいけない知識どんどんと抜かれていった。


(これで終わりね、取り残しないかみんな確認して)


(僕たちのほうは取り残しないよ)


(私達のほうもないわ)


(こっちもないよ)


(なら戻るわよ)


全ての知識を取り終えてマリーの元へ戻ったのだった



ーーーーーーーーー


「マリー様ただいま戻りました」


「みんなお帰り、どうだった?」


「全てを回収し終えました」


「みんな、本を出して」


「は!」


一斉に本を出す光景はすごかった。宙に本がずらりと浮かんでいるのだから


マリーも本を取り出し、開くと虹色の光がマリーの本へと流れ始めた。

神秘的な光景に周りは息を飲んでいた。


本に流れた知識は全てを回収するとマリーの手元で閉じた。


「これで完成ね、かなり多かったわね」


「マリー様、知識そのものが30年分となりますのでどうしてもそれだけの量になってしまうたようです」


「そんな時からだったなんでね、仕方ないわね。後で頭に入れて整理しておくわ」


「それがよろしいかと思います」


「みんなご苦労戻っていいわよ」


「マリー様、今度遊んでくださいね」


「そうだったわ」


「みんな散れ」


物達は姿を消した


「みんな気分はどうかしら?」


「お前、何をした?」


「魂を送り込んだことを覚えているかしら?」


「何のことを言っている、その前に何故ここに俺たちは閉じ込められているのだ」


「成功したようね、貴方達がここに捕らえられた理由は、知ってはいけない知識を手にしてしまったから、だから私がそれをもらった。それと貴方達を量していた奴を捕まえるためよ」


「どう言うことだ」


「知ってはいけない知識それを使うとこの世界が全て崩壊する、それをさせないようにしたのよ」


「そんなこと有り得ないだろ」


「貴方達にも見せてあげる、知識を使っい続けた結末を」


現代と異世界がぶつかり干渉しあい混ざって消えてしまった結末。それは私が望んだ結末ではない。干渉を続ければいずれそうなり、一から世界を作り直さなさればならない、それは今この世界とは別の物。そんなことされたくはない。それは予測であって未来ではないからこそ阻止するべきなのだと思う。


その光景を目の当たりにした、民は地面に座り込んでいた。


「これでわかったかしら、消して知ってはいけない知識、使ってはいけない知識なのだと言うことが」


「お前はこれをどこで」


「木よ」


「木だと、あいつはもう話すことすらないと言うのに教えることなどできないだろうが」


この世界の常識、昔木は民を導く際話をしていたと皆が知っている、受け継がらてきた事実


「そう、木は話さない。私が木の全てを引き継いでいるのだからね」


「なんだと、お前が木だと言うのか?」


「少し違うわ、私は木であって木ではない存在よ」


「理解に苦しむぞそれ」


「簡単に言うと、木の知識を全て手にした存在ね」


「人?ではないのか?」


「一応人と言っておくわ」


「一応ね」


「それで俺たちはどうなる?なにかをしてしまったのだろう?」


「そうしたわ。私から選択を2つ出す好きな方を選べばいい」


「選択か、それしか道はないんだろう?」


「その通り」


「わかった、受け入れるしかないか」


「理解が………もしかして貴方達学民?」


「なんでそれを知っている。それを知っいるのは学民だけだ」


「お前も学民なのか?」


「ふふふ、なんの因縁なのかしらね」


「答えろ、学民は外に出てはいけないのに俺たちは外で暮らしている。だからこそ、それを禁句とし今で隠してきたと言うのに」


「学民が外に出れば災いが降り注ぐ。そうかもしれないけど、私はそうとは思わない」


「答えろと言っている」


「私は学民を生み出した木を嬉しく思う。そして私は学民ではない」


「俺たちがしてきた禁句は意味をなしていないと言うのか」


「それは違うわ、私が知っていたのは木の知識全てが私にあるだけの事。他の者が知ることはない。今はね」


「今だと」


「私達は、ここで学民が外で暮らせるようにしている最中なの、だからこそ私からの選択を選んでほしいの」


「なら、言ってくれ、その選択とやらを」


「ええ、1つはここに残り、自分達の家を作り住むこと。

もう一つは元の場所に戻り私達の事を全て忘れて暮らすこと、その2つよ」


「そんなの決まっているだろう、どちらかを選ばなければならないのであればここにいた方がいい」


「そう言ってもらえて嬉しいわ」


「家族はどうなる?」


「貴方達がここに来るのであればここにきてもらうわよ」


「家族に説明は自分でしてね。本人の許可なしでここに強制的に連れてくるのだから」


「先に言っておくけど家具類の道具や物は全て置いてきてもらうことになるからね」


「わかった、仕方ない」


「それとここにもし服を作れる者がいるならさらに助かるのだけどね」


「それなら俺の妹が作れる」


「助かるわ、その人に他の者にも教えて作れる様にしてほしいのよ」


「わかった、話しておく」


「話はそれだけ、ほかにないのならみんなの家族を呼び寄せるわよ」


「今からか?」


「そうよ、ここでは呼び寄せるのが大変だから外で行うけどね」


「わかった」


捕らえていた結界を解除し、外へ出た。


「これからみんなの家族を呼び寄せるからね」


「よろしく頼む」


次々と現していった。


「これで終わりね」


「エブァン、この人達が落ち着いたら、頼みます。私は部屋で少し休みます」


「は!」


自室に戻りゆっくりと過ごした。


今度こそゆっくりするわよ。


ベットに体を沈め目をつぶった途端、バタバタと足音がここに近づいてくる。


いい加減にしてほしい。


コンコン


「マリー様入ります」


「どうしたの?」


「今すぐに来てください」


「行くわよ、そんなに慌てないでよ」


エブァンが連れられて向かった先は川岸だった。


「え!」


「釣りをしていたのですが、でかいのが連れたのは良かったのですがその変なのが付いてきてマリー様を呼べと聞かなくて」


巨大な魚の上にいたのは人魚が大量にいた


「みんな急にどうしたの?」


「どうもこうもないわよ、メアルがマリーに合わせるっていったから待っていたのに全然来ないじぁない、だからこれに乗ってきたのよ」


「みんなに迷惑だから行くと言ったでしょ、なんでわからないのよ」


「待って、私に会いにきたのでしょう?メアルには、私が待ってもらっていたのよ。責めないであげて」


「マリー様」


「とにかく私に用だったのでしょう」


「そうよ、メアルをいいように操っているんだから」


「操る?私が?」


「そうよ、簡単に信用するとでも?」


「そう、私は何をすればいいのかしら」


「勝負よ」


「何ですればいいのかしら?」


「泳ぎで勝負。水の人魚と泳ぎ勝ったら貴方の勝ち。なんでも言うこと聞くわ。もり負けたら、メアルは返してもらう」


「いいわよ」


「マリー様そんな簡単に」


「負けないから大丈夫よ」


「言っていなさい、メアルは返してもらうだけよ」


マリーは激流の中に入りその場で待っていた。


おい、嘘だろあの中で流されないで平気でその場にとどまっていられるものなのか?


「ここから水脈を通ってここに戻ってきた方が勝ち」


「わかったわ」


「用意はいい」


「いつでも」


「では始めるやーい、ドン」


人魚が勢いよく泳ぎだしていった。それを見送っているマリーがいた


「マリーはいかないの?」


「もうすこししたらね」


「余裕ね」


「余裕よ」


「人魚の方が早いんだから早くいかないとまずいわよ、もう半分まで行ったわよ」


「そろそろね、行ってくるわね」


潜ってスタートし、30秒後


「ぷはぁー、ただいま」


後ろで声がした


「え!」


「なに?その間抜けな声は」


「今行ったのでは?」


「ええ行って帰ってきたわよ。今ちょうど人魚が水脈から出てここに向かっているわよ」


「そんな嘘よ」


「嘘ではないわよ。私嘘つかないから」


ちょうど帰ってきた人魚が顔お出し話出した。


「みんな聞いてよ、水脈のところですごいスピードど泳ぐなにかがここを通らなかった?」


「それ、私よ」


「はぁ!」


「貴方まで、それで私の勝ちね。言うことが聞いてもらうわよ」


「わかったわよ、それにしてもなんでそんなに早いのよ」


「水の原理がわかれば泳ぐことも早くなるのよ」


「わからない」


「まあいいわ、とにかく貴方達は自分の家に帰りなさい」


「メアルも一緒に帰ってゆっくりするといいわ」


「いいのですか?」


「いいわよ、ちゃんと話してきて」


「わかりました」


「お魚持って帰るわよ」


「は!」


今度の今度こそ横になるー


ようやく本当の意味でゆっくりできるのだった。


月日は流れ半月が過ぎた頃ようやく家が揃ったのだった。



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