第20話戦いへ

ファティマは建物前に立っていた。配下10人引き連れて。


「みんなよろしくね」


「ファティマ様、ここでお待ちくださればお連れいたします」


「そうはいかない、マリー様より直々の命令、私が行かなくて誰が行くの?」


「申し訳ありません」


「行きましょう」


ファティマは、ゆっくりと歩き出した。

ファティマが歩くだけで魔法が全てを拒絶した。

魔法陣が破壊されている様はまるで花が散っていくように、辺りを砕けた魔法陣が舞っていた。


(ファティマ様かなりご立腹ですわね)

(本当に、久々にファティマ様が怒っているのを見ますわ)

(ここの人たちは、何をなさったのかしら?)

(普段あまり怒られることがないせいか、怖いわね)

(ああなっている時に話しかけたり、反論したら私達までとばっちりを喰らいますわよ)


「貴女達、無駄口叩いていないで、建物内に入るわよ」


(ほら、来ましたわ)


「は!」


建物内に入ると、余計に怒りがこみ上げてきた。

中は研究をしている施設のようだけど、培養液につけられている死んでる死体が並んでいた。

マリー様から情報はもらっては、いたけど酷すぎよ。

魔女でもこんな扱いしない。

死への葬いのかけらなんてここには存在していないわ。

どんな残忍なやつであっても、死は等しく平等。だからこそ葬いもまた平等でなくてはならないのに。


魔力が体から漏れ出でしまうほどにファティマは、怒っていた。

せめて私だけでも、ここにいる死体達への葬いを。次生まれてきた時に素敵な体に生まれ変われるように。

ファティマは、魔法を発動。


「魂なき器よ 悲しむことなき器 我悲しみとともに  リーベファション」


ファティマの手の平に全ての器が小さくなりながら集まってファティマの魔力に包まれた。

悲しむ者がいない器を悲しむかのように世に解き放たれた


(なんて美しいのかしら、ファティマ様は悲しんでおられるのですね)

(ファティマ様の代わりにわたくし達は、怒りましょう)

(そうですわね、決して許してはいけません)

(参りましょう、家族の元に返すために)


貴女達は、私の為に怒ってくれるのですね。

この悲しみは器への贈り物。

魂には祝福の贈り物。

みんな素敵な出来事なはずなのに、ここはそれすらも無いがわかってしまう。

私も悲しんでばかりはいけない。

どこにいるのかしらね。


配下が行った時には全てが手遅れの状態だった。


「君達は、なんだ?部外者がここに入れるわけがないんだ」


「そうですわね、ここは酷い場所。決して許されない行為をしている事をわかっているのかしらか?」


「そんな事は分かっているが、研究には、犠牲が必要だ、その知識が他の者に役立つのだ。お前達には、わからないだろう」


「わかりたくないですわね、非道な人の事なんて」


「言っていろ、お前達も研究材料だ」


攻撃を仕掛けてきたが、すでに建物内は、ファティマのテリトリーとかしていた。


「魔法が通用しないだと」


「当たり前でしょ、ここの建物内は、わたくし達のテリトリーにしてあるのだから」


「そんな事が出来るか」


「してるじぁない?」


「それを理解できないから、こんなことになるんですわ」


「さっきらか何をわけがわからない事を言っているんだ」


「無知は罪、罪は罰しなければなりません」


ファティマの配下達は、目の前にいる者たちに罪を植え付けた。

許される事なき罪を。


「やめろ、俺は悪くない、みんなの為にしているだけだ」


「ぎゃゃあ……」


これできっとしなくなりますわね


(ファティマ様、見つけましたが間に合いませんでした)


「そうでしたか、今行きます」


目の前には、3体の器が横になって、魔女達が悲しんでくれていた。

大丈夫、きっとマリー様がなんとかしてくれる。


「貴女達どきなさい」


「ですが……」


「大丈夫よ、きっとマリー様がなんとかしてからます」


ファティマは、魔法陣を発動保護を行い腐敗しないように悲しみに包み込んでいく。


「さあ、私達も集合場所に移動します」


「ファティマ様………はい」


集合場所には、すでにイブリースがいた。


「早いわね、イブリース」


「当たり前だ、俺は悪魔だ。そういうのは慣れている」


「そうだったわね、つい忘れがちになってしまうわね、その格好が余計にそうさせるなよ」


「何を言う、この体はマリー様がくださった物だぞ、文句をつけるならマリー様を侮辱してると同じだからな」


「そうなの、貴女だけずるいじゃない、マリー様からもらうなんて」


「そこかよ、文句はどうした」


「そんな事はあったかしら」


「お前な」


「そんなことより、見つかったの?」


「こっちは見つかったが、とりあえず生きている」


「そっちは?」


「私の方は、間に合わなかった」


「マリー様が言っていた通りにはしてあるわよ」


「それなら問題ないな」


「いや〜なんでこんなことに」


「大丈夫だ、マリー様がなんとかしてくれる。だから落ち着け」


「そんな事は言っても無理よ、仲間がその状態だったら嫌でしょ」


「そうなのか、悪魔はそんな感情を持ち合わせてはいないからな。覚えておくとしよう」


「そうね、その方がいいわね」


「他の奴らは大丈夫だろうか?」


「たしかに、助けに行った方がいいかもね」


「イブリースがここを守るなら、私行ってくるけどどうする?」


「いや、ファティマがここの方がよくないか?結界とかがうまいだろ」


「その辺に関したは、イブリースよりはね」


「俺がいく」


「ここは任せて」


―――――――――――――



クオンが建物の前にいた、配下を15匹ほど呼んでいた。

結界をどうしたものかと考え、爪で切り裂くのが簡単だな

爪だし切り裂いたが弾かれてしまっていた。

このままではいかんな。どうしたものか?

何度か色々試したはしたのだが全く破壊できずにいた。


「苦戦しているようだな」


「イブリースか、魔法は、得意ではなくてな、破壊出来れば、問題がなかったのだかな」


「俺がそれを破壊してやるよ」


「悪いがそうしてくれ」


魔法陣を破壊した

「爪とかに破壊できるように出来ないか?」


「ファティマがそれ得意そうだぞ」


「今度聞いてみるか」


「その方がいいな」


「行ってくる」


「ああ」


クオンが中に入った時クオンの怒りが爆発しそうになった。

同胞にこんな事をさせるためにここを守らせてるのではないぞ。

半分が人間半分が猛獣になっているもの達が4体ほどいた。


「くそが」


「お前は誰だ」


「お前が同胞をこんな風にしたのか?」


「同胞?」


「ああ、それがどうした?この者達が地ウォンを守るんだよ、その為に研究しているのだ、すばらしいだろ、お前にもわかるだろ」


「どこが、すばらしいものか。その者望んでなっていないではないか」


「何を言っている、泣きながら喜んでるの間違えだろ」


「お前は猛獣よりカスだ、泣きながら助けを求めてるのがなぜわからない」


「そんな事はわかるか、そもそも泣いているのだってわかるかよ、話すことが出来ないのだからな、解釈の違いだ」


「そうか、お前には聞こえないのだな。悲しいことだ」


「お前も俺達の研究に役立たせてやる」


魔法がクオンを襲ったが、少し焦げただけだった、炎か。次のがきたがマッサージ程度にしかならなかった。


「これで終わりか?」


クオンは、元の体に戻ることなく、その場に立っていた。土砂がクオンを襲ったが問題はなかった。


「土に埋めるならもっとちゃんとやれ、効かないぞ」


「なんなんだお前は、化け物」


「俺にはお前が化け物に見えるぞ」


猛獣化して殴った途端大人しくなった


「お前達、ちゃんと直してやるからな、マリー様がきっと」


「イブリースすまなかった。助かった」


「それはいいが終わったのか?」


「終わった」


「なら、戻るぞ」


クオンと、イブリースは集合場所に移動した。


「ファティマ、今戻った」


「随分かかっていたわね」


「それが魔法が苦手でな、結界をイブリースに破壊してもらったのだ」


「クオンできるでしょ」


「たしかにできるが、ここで元の姿となるとウォンが破壊されてしまうその為に破壊ができなかったのだ」


「なるほどそう言うのは事ただったよだな」


「仲間は連れ戻せたから、あとはマリー様にお願いをする」


「俺達もそうだ」


「予想通りに事が進んでいる」


「あとは………」


―――――――――――――



アイシェ戻った配下を10人ほど呼び出していた

結界ね、植物達に破らせましょう。

パリンという音と、共に結界が壊されていった。

みんなには眠ってもらう方がゆっくり探せるわね、植物達に睡眠の花粉をばら撒いてもらった。


「どこかにいるはずです、みんな探して」


「はい」


配下達が探し回っていた。

アイシェが辺りを見回しながら建物の中に足を踏み入れた。ここも研究施設として動いていたらんだね、そう思いながら進んでいった、他の施設より内部は、広く探すのに結構かかりそうね。歩きながら左の奥にある部屋に入った。

そこで目にしたのは、緑のものならば誰でも知っていて、母とも呼べる植物が目の前にあった。


「なぜここにこれがあるの」


人間がそれを見んことすら許されない植物。

フロンンツメー


緑の植物は、ここから生まれてくる、その植物は人に見つからないようにフロンツメー自身が隠れる性質を持つのだ、だからこそ見つからないのだが、目の前にあるのは正真正銘のフロンンツメーだ。


1人の研究員が話しかけてきた。


「その答えを知りたいかね」


「お前がフロンツメーを取ってきたのか?」


「そうだ、目の前にあるのは、一枚の葉から大きくしたのだよ、苦労したがようやく植物を生み出す仕組みが解き明かされてきたのだ、すばらしいだろ」


「そんな知識いらん、フロンツメーは、返してもらうぞ」


「それは困るな、君達がしていることは、知識を知る事がいけないことだと、いっているんだぞ。そんな事もわからないのか?」


「こんな形でフロンツメーの意思に関係なくやる行為が、知識を得る事ならそんな知識なんて要らない、フロンンツメーの意思がそれをいいと言うなら話は別だが、そうではないじゃないか」


「フロンツメーに意思があるわけないだろう、話す事が出来るなら話は別だ、話さないではないか」


「お前の耳は節穴か、今喋っているんだぞ、よく耳をすませてみろ」


(お願いです、森に返してください。皆んなが心配しています、どうか)


「!?話しているだと」


「だから言っているだろう、フロンツメーの意思が森に帰りたがっているではないか、フロンツメーはずっとお願いし続けていると言っている」


「そんなの今まで聞こえていなかったぞ、お前が仕組んでいるんだ」


「お前は、バカだな。植物の声は耳を植物に負けない限り聞こえない、そんな事常識だぞ」


「バ、バカだと!!お前死ね」


殺すと言われている植物で、私を攻撃してきた。私には効かないよ。


「なぜ死なないのだ、こんなに協力な植物だというのに」


「当たり前でしょ、緑なのだから」


「ふざけやがって、これでどうだ」


植物の花粉をばら撒いた、これは猛毒の花粉ね。これ、かなり甘いわね。美味しいかも。

アイシェは植物のあらゆる部質を物に出来てしまうのだ。


「痛いだけで効かないわよ」


「ば、化け物ヒィィー」


「ひどいわね、私そんなんじぁないのよ」


勝手に失神してるし

フロンツメーを仲間の元に帰してあげた。あとはここでの研究を全て無効にするためにはデータを消さて終わり。


(ファティマ様、発見しました。みなさん無事です)


(今行きます)


「みなさん無事でなによりです、これより家族の元へお送りますわ」


「僕お母さんに会えるの?」


「ええもちろんですわ、これもマリー様のおかげなのですよ」


「マリー様?」


「そうですよ、マリー様に感謝してね」


「うん、あとお姉ちゃん達だね」


「ありがとう、みんなで帰りましょ」


「はーい」


「アイシェ、帰ってきたか」


「ウォンは、ひどい所ね。目を背けたくなるほどに」


「そうだ、悪魔の俺でもここまではひどくないぞ」


「我々に対しての扱いが酷いのは事実、これでしばらくは大人しくなるんではないか」


「それはどうかしら」


「ファティマ、どう言う事だ」


「ここは学ばない民だと言っているのよ」


「なるほどな、放置ができないと言うことか」


「そう言うことになるわね」


「厄介だな学ばない民とは」


「それを導こうとなさっているのだろうな、マリー様は」


「他の者達は?」


――――――――――


エブァン配下を引き連れてやってきた。

警戒はされてはいるようだがお粗末なものだな。

結界に手を触れると砕けて警告音が流れ出した。

これは急いだ方がいいな。


「お前達、いけ」


「は!」


建物の中に入ると地下に繋がって一本の道が見てた、この先か





2日前


「おい、ミストいるか?」


「久しぶりだかな、ケリ」


「頼みごとがあるだ、聞いてくれないか」


「来て早々、どうした」


「急ぎで悪いが、ここを離れないといけないんだ、頼む」


「わかった、他でもないお前の頼みだ聞く、借りだな」


「悪い助かる」


「これを…」


「これは?」


「これはある人物を探すアイテムだ」


「これを宙に浮き上がらせて光らせると、探していると人物の胸元が光るそうだ」


「もし、見つけたら、伝言を頼む」


「わかった」


「約束を果たしに来たと」


「それでいいのか?」


「それでいい、それを言えば言われたやつが理解するそうだぞ」


「わかった」


「それと、もしあの施設に潜入するなら、明後日にしろ」


「なぜだ?」


「助けにくるやつがいる」


「詳しい事は言え言えないが助けてくれるんだ、従ってくれ」


「わかったよ、あとで説明してくれるんだろうな」


「多分な」


「多分かよ、あてにならん」


「とにかく、頼んだぞ」


「仕方ないな、わかったよ」


「俺はもう行く」


「そんなに慌てて何かあったのか?」


「追われているとだけ言っておく」


「逢った時にでも話をするさ」


「他に手伝える事はないのか」


「今はそれだけだ、必ず会えるさ、またな」


「気をつけろよ」


「わかっている」




―――――――――




月日は流れ、1日前の夕方


建物の中の牢屋の中


「中に入れ」


「痛いだろ、俺をどうする気だ」


「実験台になるんだ、大人しくしていろ」


「そんな事言いとは言っていないだろ」


「お前達の許可などいらん」


「どうせ死ぬのだからな」


「ふざけやがって、覚えておけ、お前らあとで痛い目に会うんだらな」


「それはお前達だろ」 笑いながら去っていった


「おいお前、あいつらを煽るな」


「いいだろう、助けにくるやつがここにくるんだ、あんな奴らの言いなりになる方が間違ってる」


「助けにくるだと」


「そうだ、俺の友人が教えてくれた」


「無理だな、ここにきたら最後二度と家族にも会えなくなる、ここにいる奴らは覚悟が出来ている、疲れたんだよ、昔から続く惨劇に」


「それは俺もそうだからな」


こいつら首元に………


「おまえら、その刻印…」


首元の刻印に目をやった、学民ならば全員が刻まれる刻印。

刻印が見えるのは学民だけだ。仲間とわかる唯一の目印、生まれてくると、浮かび上がってくるものだ。


「これがお前見えるのか?」


「見えるさ、学民だからな」


「もしかして、ここにいる奴ら全員か?」


「ほとんどだ。そうでないものもここに何人か混じっている」


「そうだったのか、この牢屋にいる者達が家族の元へ帰れるのは事実だ、俺の友人が教えてくれたんだ、友人が知り合いを探して欲しいと頼まれたが、探しただけだ。だが外にはいなかった後はここだけだからここに来た」


「お前は、自らここに来たと言ったのか?」


「そうだ、一つ試したい事があるから待ってくれないか?」


「突然なんだ」


「少し待ってくれ」


手のひらから玉が出てきた。玉は宙に浮き光り出した。

その光は暖かく優しさで皆を包み込んだ。

胸の光る奴はいないか。その時。

いたってお前!


「お前だったんだな」


「胸が光ってるぞ」


「これはどう言う事だ」


「これは、お前に伝言だ」


「俺に?」


「そうだ、俺はお前を探す為にここに来たんだ、それが友人との約束だからな」


「お前は何故そこまで友人の言うことにを聞く、帰れないかもしれない場所に来たのだと思わないのか?もしかすると嘘をついているかもしれないと考えない?」


「俺の友人は、今まで一度も嘘は言った事がないし、裏切られたこともない、ましてや来ると言ったのに来ないことなんてありえないな。そんな事を考えることなどない」


「人間は、嘘の塊だ」


「お前の周りはたしかにそうかもしれないが、俺の友人だけは、嘘は言わないな、俺自身を犠牲にしたいとも思う人間ではないのが分かっているからこそ、俺はここに助けにくると信じられる」


「…………」


これから出会う事など思いもよらなかった

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