第19話地下の闇
「マリー様連れてきました」
水の玉から10人が姿を現した。
「こんなにいたの」
「はい、ですがこの者と、この者は宿しのものでございますのでついでに連れてきました」
「キリウス、お手柄ね」
「いえ、まだ体が生まれ変わって、マリー様がつけた印の魂が未だに見つかっておりませんので、せめてこのぐらいは」
「気にしていたの、肉体の生まれ変わりは、いつ生まれ変わるかまではわからないのだから仕方ないのよ」
「キリウスも律儀なんだから」
「それで、貴方達は、私達の食事に毒混ぜたのかしら」
「…………………」
「答えられないのかしら」
「キリウス、答えられないわよ口水で覆っていれば」
「あ!忘れていました」
「キリウスらしいわね」
キリウスが口元の水を外すと一斉に話し出したのでやっぱ1人づつ外した
「なんで?」
「頼まれただけだ」
「誰に」
「それはわからない」
「知らない人に頼まれたら毒入れちゃうんだ」
「違う、妻を人質に取られたんだよ」
「貴方のはわかったわ、次」
「私も、子供を人質に取られたから、仕方なく」
「ここにいる8人全員そうなの?そうなら頷きなさい」
首を縦に振った
「そのもの達は、帰ってきたのか?」
「横に振った」
「おかしいではないか、ちゃんと成功させた風に装って、お前たちを泳がし報告に向かわせたのだぞ」
手をかげてる奴がいる
「キリウス」
口に付いている水を外す
「そうだ、報告して返してくれた頼んだんだ、だがあいつらは返してはくれなかった。帰ってくることはもうないだろうな」
「どういうことなのか教えてもらってもいいのかしら」
「どうせ話したところで帰ってくることはないからな」
「もしかしたら帰ってくるかもしれないと言ったらどうする」
「無理だ、一度あそこに捕まった者が外に出たことが今まで誰一人としていないからだ」
「ダメだとわかっていながら、それでも望みがあると思ったから毒を入れたのだろう」
「そうだ、それでもダメだった。お前たちに言っても同じ事だ、お前たち外の人だろ。他人に手を貸す奴がどこにいるんだ、いたとしてもお人好しもいいとこだ」
「そのお人好し私なんだけどな、聞かせてくれないかな?ダメ元でね」
「なんだかお前さん見てると、なんか戻ってくるんじぁないかって思ってしまうな、いいだろう。みんなを代表して話す。だから皆の口にあるのを外してほしい」
「構わないわよ、キリウス」
「は!」
「これから話す事は大昔の話だその話が今に至る内容になるんだ」
「そんなに昔なの」
「そうだ、民が受け継がれてきた真実と今だ」
「昔、この大陸が出来た頃に遡る、4つの大陸が分かれて、1500年の年月が過ぎた頃、地ウォンには、独自の魔法が確立していた、スキルを習得するとその性能や機能をまとめる者達が現れてその情報をまとめて知識として蓄えていた。
月日がなかられる事さらに900年の年月が過ぎだ。
ある日1人の女性が特殊なスキルを習得した。
そのスキルは動物と人間を合体させて大きな力を手に入れられるというスキルだった、もちろん本人はそんなの使うわけもなく幸せな家庭を築いていた。
自分の両親、夫の両親、子供達となかったまじく日々を過ごしていたが、地ウォンはスキルを習得したら報告をする義務がある。
それをすることによって民の安全が保障されていたからだ。これは今も続いている。
彼女は、それに従い報告をした。
それが悪魔の始まりだった、彼女は呼び出しの命令が下りそれに応じた。彼女は呼び出された建物に入っていった。
たが、それ以来帰ってきてはいない。残された家族は、必死に彼女を返してくれと頼んだが、ここには来ていないと追い返され続けたのだ。そんな中、その家族の子供達もまた同じようなスキルを習得した。やはり妻と同じになってはいけないと、黙っていたのだ。
だがそれもつかの間黙っていた母方父方の叔母、叔父が共に、連れていかれ処罰された。
殺されたのだ。
ほかの民に、黙っていればお前たちもそうなると見せしめにされたのだ。
上の子供も連れていかれた。父親は、母親と同じように頼みに行った。結果は同じ連れて行ったのに、ここにはいないと追い返された。
なすすべのないまま下の子供だけが残った。
父親は考えた末に、スキルさえ習得しなければいいのだと。
子供に言い聞かせた決して選ぶなど。
選べば嫌でも特殊なスキルを習得してしまい、連れていかれてしまうと言い聞かせていた。
それを守ったお陰ですくすくと成長して、大人になりまた幸せな家庭を築いていたが、大人になった子供は、スキルを覚えてしまった。
やはり同じことが起きた。父親は、泣き叫び続けたそうだ毎晩。こんな世界なんて要らないと、そう叫びながら亡くなっていった。残された子供と母親は、父親が帰ってくるのを待ち続けだが帰ってくる事はなかった。
母親は、無くなり子供は、それを胸に生きてきた。それがうちに伝わる昔と俺が今まで味わった事だ。
今ここにいる連中もまた、同じ目にあってきた者達だ。
これは今に始まった事ではなく100年もの間続いているし、今も何処かでそういう家族がいるんだ。
これでわかっただろ。無理なんだよ。どんなに頑張っても帰ってこない。それで、どうやって希望を持てと言える。慰めはやめてくれ」
「なるほど、事情は、わかりました」
「これは思ったより深刻です。ここには悲しみと苦しみ、怒り、やるせなさが多すぎるのです。だから私がムッとすることが多かったのですね」
「マリー様…………」
「これは急いだ方が良さそうですね。みんな忙しいかもしれませんが、配下に集まってもらう必要がありそうです」
「エバァン、キリウスどう思いますか?」
「私もその意見に賛成です」
「早く助けてあげたいです」
「それなら話は早いですね、その前にそこの2人、頭を下げて欲しいのだけどいいかしら」
頭横に振りまくってる。急いでいるのに、まただムッととしてしまう。ここは嫌い。
マリー様がまたムッとしている。
「お前達、マリー様がお前達を配下にすると言っているんだ、頭を出してマリー様が見せてくれるものが、受け入れられなかったら、やめるといいそれで構わない」
「マリー様もよろしいですね」
「ええ、私は殺したりしないわ」
「だそうだ」
頷いた、2人の頭に手をかざしてすべてを見て終え魂が壊れ構成され元どおりになった。
「それで私の配下になるのかしら」
頷いた、すんなりでよかった。
「キリウス、みんなの縛りと口のものを取りなさい」
「は!」
「本当なんだろうな」
また騒ぎ出した。時間が欲しいと言うのがわからんのか。
「皆黙れ、言い争っている場合か、お前らの家族を助けたくはないのか」
エバァンの喝で黙った。
「今から6人全員ここに集まってもらいます」
「私が皆を迎えにいっている間ここを2人で守りなさい」
「御意」
「お気をつけて」
「では行ってきます」
マリーが消えた途端、民は言葉を失っていた。目の前で消えたのだからな。普通ありえんからな。我々は、見慣れているからいいが普通こんなもんか。
「キリウス」
「わかってる。すべて配置済みよ、どこから襲撃されようとも防げる」
「それならいい、魔方陣を、貼りたいがここがバレる可能性が高いから、俺は緑を利用することにした。それならば気がつかれることはない」
「あとはマリー様が帰ってくるのを待つだけだ」
「ちょっといいか」
ようやく、落ち着いたようだな
「どうした」
「その、マリー…さ…ま…なのだが何者なんだ、助けてもらう者として知っておかないといけないといけないと思うのだ」
「お前達は、本当に幸運なんだからね。心して聞いて欲しいわね」
「マリー様は、木であり、木ではない存在、この世界の創造主でありながら、物達のおさでもあらせられるお方。
世界を導き、なくてはならない存在として日々を過ごされているのだよ」
「この世界の創造主?」
「そう、我々が生まれたのは、遥かなる前この世界ができてすぐの頃、マリー様が民を生み出した。マリー様の子供なのだよ、この方がわかりやすいでしょ」
「長く生きていてるって事になるぞ」
「そうだな、そうなる」
「どう見ても、14の子供にしか見えん」
「それをマリー様の前で言うなよ」
「殺しはしないが地獄は見るぞ」
「それは困る」
「言わなければいい、とにかくそう言う事だ。我々が立ち向かうなどおこがましいのだ」
「お前らの方が強そうだけどな」
「バカを言うな、お前達にわかるように言ってやる。幼い子供が母親に勝てるか?勝てないだろう。それと我々は同じだ。次元が違いすぎるんだよ」
「それなら私にもわかるわ」
「だから決して呼び捨てにするなよ、ちゃんと"さま"をつけろ、マリー様がお前達を守るとおしゃったからには守られるし、助けると言ったら助けられる、わかったら黙って待っていろ」
「エバァン、イライラしないで。魂穏やかによ、私が水で包んであげるから」
「イライラしないようにするからやめてくれ」
「あら、せっかく私の水で包んであげるって言ったのに、私の水は、癒しもあるのよ」
「俺はマリー様さえいればそれでいい」
「あら、エバァン、マリー様好きなの?」
「ば、バカなことを言っていないでちゃんと仕事しろ」
「赤くなっちゃって」
「…………。」
―――――――――――
マリーは、配下を次々と迎えに向かって行っていた。
「クオンいる?」
「ここに」
「ここ誰かに任せて今すぐ行くわよ」
「わかりました、少しお待ちを……………」
「おまたせしました」
「私に捕まって」
「は!」
「イブリースいる?」
「ここ誰かに任せて今すぐ行くわよ」
「わかりました、少しお待ちを…………」
「おまたせしました」
「イブリース、クオンに捕まって」
「は!」
「アイシェいる?」
「ここ誰かに任せて今すぐ行くわよ」
「わかりました、少しお待ちを……………」
「おまたせしました」
「私に捕まって」
「は!」
「ファティマいる?」
「ここに」
「ここ誰かに任せて今すぐ行くわよ」
「わかりました、少しお待ちを…………」
「おまたせしました」
「ファティマ左の肩に捕まって」
「わかりました」
「イブリース、カミラどこに行ったかの?」
「今闇の中で力を解放して定着中です」
「それなら後でいいわ、イブリース定着終わったら迎えに行くから声をかけなさい」
「御意」
「戻るわよ」
――――――――――――――
到着と同時に好きなんじゃの?と声が聞こえてきた。
「あら、私が急いでいるのに、そんな楽しい会話ずるいじぁない?誰が誰を好きだって」
「マ、マリー様…………」
「それはですね」
「キリウス余計だぞ、今は急を要する時にはしたないぞ」
「そうね、ではマリー様この件が片付いたらにしましょう」
「そうね、楽しみだわ」
キリウス目、余計なことを言いやがって。
それを言ったら俺達の配下男どもが黙っているわけがないのだぞ。
余計な問題が出来た。エバァンの頭を悩ませるのだった。
「急いで集まってもらったのはみんなに手伝ってもらいたい件があって集まってもらいました」
「どうなさったのですか」
「これより、ここにいる者達の家族を助けだしたいと思います、あまり時間がないので、詳しい話は全員に後で映像として脳裏に伝達します」
「救出する人たちは、ここにいる8人の家族、場所の特定が困難で全部で6箇所の場所を探し、見つけ次第、脱出、ここへ集合中央の城には私がそれ以外には各自が1人ずつ行くので各自の配下をここへ呼んで構いません、すべて完了したら全員で隠れ家に一度戻ります。
8人の人たちは、荷物をまとめ、家族全員でここで待機。
今の説明でわからないことはないですか」
「もし、死んでいた場合は?」
「その遺体を回収して保存し連れて帰ります」
「攻撃してきた時は?」
「攻撃無効にして捕獲回収」
「敵が攻撃してきた場合は?」
「攻撃を許可しますが、殺さない程度に留まること」
「ないなら、即座に行動開始!」
「御意」
一斉に散って行った。移動しながら、配下に映像を6人に送り城へ向かった。
8人は急いで自分の荷物持って、その他の家族をつれ、さっきの所に戻ってきた。
全員が8人の家族が揃った時。
辺りを透明な球体が飛び回っているのに気がついた。
「これなんだ」
「変に触って大変なことになったらいけない」
「そうだな」
「お前達も触るなよ」
「だってこの子達一緒あそぼって言ってるよ」
「透明な球体がか?」
「パパには、そう見えるの?僕たちには物に手足がついて目と口がついてるように見えるだけだな、パパ僕変なのかな?」
「いや、変ではないよ。大人になると見えなくなるものがあるんだ。子供時にしか見えん物があるんだ昔パパも子供頃見えていたのだが、いつの間にか見えなくなっていたな」
「なら、遊んでいいの?」
「構わないよ、ここの中だけだぞ」
「この子達が、ここの中で遊ばないとマリー様に怒られるって言ってるよ」
「そうか、それを守りなさい、きっとお友達になれるから」
「うん、遊んでるね、みんなも行こう」
「いくー」
子供達が遊んでいる姿がなによりも辛いことを忘れさせてくれる。穏やかになれる時なのだな。どんな時でも元気いっぱいに遊べる強さを学ばないといけないな。
――――――――――――
時を同じくして各自が行動開始を始めた。
イブリースは、建物に到着し、配下5人ほど呼び寄せていた。
「さっき説明した通りだ、最優先、救出、脱出いいな」
「では行動開始」
イブリースは、厳重結界を簡単に突破、中に進入した。
「散れ」
「どこにいる?ここから出たい奴はいるか?」
返事がないか。物陰から声を出す者がいた。
「お前達は誰だ」
「人に名前を聞くなら先に名乗るのが礼儀ではないか?」
「いいから質問に答えろ」
「質問には答えられないな」
「精鋭部隊は、どうした。なぜ助けに来ないのだ」
「簡単な話、しばらくの間寝ているだけだ」
「なんだと」
「貴方、実験台にする人はどこにいるんだ」
「そんなものはいない」
「答える気がないと、仕方ないな。少し見せもらう、その前に解除と」
「何をした」
「答えるつもりはない」
「では見せてもらう」
「何をするやめろ」
手を頭に乗せて映像を見た。なるほどこれはこれは、悪魔の仕事だなこれは。
「どこにいるかわかった」
「嘘を言うなよ」
「この建物東南あたりに地下通路があるその下にいるぞ、全員保護したら、移動開始し、到着後任務完了だ。気を引き締めてかかれ」
「御意」
君にはもう少し聞きたいことがあるのだけどきっと喋んないから、映像をマリー様に直接流した方が良さそうだな。
(物達いるか?)
(どうしたの?イブリースが僕たちに頼み事なんて初めてだよね)
(本当だ)
(悪いがあいつの映像をマリー様に直接流したいんだ、お願い出来るか?)
(いいけど、僕たちもイブリースと同じで見返りなしでは、動かないよ)
(何を望む)
(それなら、今度イブリースと遊んでみたい)
(そんなことでいいのか?)
(いいよ、いつも偉そうなんだもん。たまには思いっきり遊ぼうよ)
(私は構わないが、マリー様がお許しになるかだ)
(なるに決まっているよ)
(それなら俺は構わないぞ)
(なら、契約成立!じぁ始まるね)
(頼む)
「それでは移動開始、物達、映像が終わり次第拘束が解けるようにしてあるからな気をつけろよ」
(はーい)
集合場所に移動した。
「俺が一番早かったようだな」
「あなた」
「待て、触るな」
「今触ったら、お前達が滅びるぞ」
「どうして」
「この中と周りは全てを消滅させる魔法が施してある、中の者を守る為だ。この結界を解くと中にある者がいなくなるぞ、必ず解いてお前の元に戻す。今は辛抱してくれ」
「わかりました、今まで待ったのだから待てます」
「そうしてくれると助かる」
「その前にお礼も言わず、ごめんなさい」
「気にするな、マリー様がお前達を守ると言ったのだ。俺達は、それに従うだけだ」
「そうだとしても、ありがとうございます。このご恩は消して忘れません」
「完全に助かってからにしてくれ」
「はい」
イブリースは、最初に集合場所に戻ってきた。
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