世界編

第12話隠れ家

 準備は整ったようね。


「行く前に、キリウス貴方、調査得意だったでしょ」


「私の得意は、確かに調査です」


「それなら、一つお願い、この世界の街全て調査して欲しいのよ、出来るかしら」


「たやすい事です」


「では頼みましたよ」


 キリウスは、水がある所ならばどこにでも潜り込めるのだ。

 もちろん調査をするにはうってつけなのだ。

 水、あらゆる生物、植物、建物に至るまで、存在するもの。

 水を操り、人の会話、監視、探し出すことなどが出来きる。

 見る、聞く、探す、潜り込むが出来る優れもの。

 これで調査をようやく進める事ができる。


「特に中央都市は、念入りにね」


「仰せのまま」


「イブリース、カミラはどうなったの?」


「はい、私がスルトにしたように、カミラも今スルトが鍛えております。ですが今回私ではないので時間がかかると思われます。ただ今、第1段階が終了し、第2段階へとあっております。第4段階まで行くと、取り込んだものが反応を示してくれるとは思うのですが、そこまで来ればあとは、カミラに同化をしてもらえればほぼ完了し、動作、能力などの確認のみになる思います」


「まだ、遠そうね。気長に待つわ」


「マリー様1つ聴きたい事がございます」


「何かしら」


「スルトや、カミラが宿している物は何なのですか、スルトの時から気にはなっていたのですが聴きそびれていまして、もしよければ教えて頂きたく思います」


 イブリースは、慎重に怒らせないように気をめいいっぱい使って聞いてきた。

 そこまで、私怖いかしら。

 イブリースからしては確かに恐ろし存在なのかも、出会いからしてそうだったからしかたないかな。


「いいわ、答えてあげる」


「マリー様、宜しければ私が説明いたしましょうか」


「エブァン、気が効くじぁないの、お願い」


「では、私が説明をします」


「まず、悪魔が宿したのは、水晶の小さな物に漆黒が宿った物が、宿無しを探して、宿したのが、スルトやカミラなのです。

 他にも、緑を宿した物、光を宿した物、水を宿した物、火を宿した物、土を宿した物、闇を宿した物、無を宿した物、これら、7つを大量にマリー様が作り出し解き放ったのです。それは、水晶達が宿主と認めない限り宿る事がなく、それは宿主が現れるまで、探し続けるようにマリー様が命じています。水晶そのものに意識を作り出し、宿主となったものと同化、同化と同時に水晶の意識は、帰るのです。それまでは宿主と、水晶の意識が2つあるのですが、ある程度の力をつけないと水晶が同化を認めず、同化を阻みます。逆を言えば、力をつけてしまえば、同化が可能になり新たな力が手に入るのです。ちなみにスルト、カミラが宿したのは漆黒と言いましたが、闇です。勿論漆黒が本当なのですが、属性と言いますか、それが闇に当たるのです」


「わかったか」


「何となくだが、要するにマリー様が作り出した物が意思を持ち、強い魂に、のみ宿り、力がついたら作り出した物が力を与える、で合っているか」


「その通り、まだ仲間が必要なんだが、宿主が見つかっていない。だから宿った順に、迎えに行っている。今回は、違うみたいだが、ここからはマリー様に説明をもらう、私も今回は、どこに向かうか聞いていなからな」


「次向かう場所は、地下アウンダーグランね、まずそこに向かうには木の根元に沿って南にくだらないといけないのとにかく遠くて仕方ないから、一回隠れ家に行こうと思うのよ、こそからの方が近いの」


「みんな私に捕まって、隠れ家に行くわよ」

 みんなが捕まったと、同時に魔法発動、移動したのだった


「ここで、少し休憩、ベットで横になりたいし、水浴びもしたいわ」


「は!では準備いたします」


「みんなはその辺でくつろいで」


「エブァン、ここ狭くなってない?」


「それは、人数が増えたせいではないでしょうか、そうかしら、木は、まだ倒される気配ではないし、なんか小さいようなって、エブァン待ちなさい、皆をここへ、テーブル椅子じぁまね」


「は!でもどうされたのですか、いいから早く」


「私の前に皆跪きなさい、急いで」

 言われるがまま配下はマリーの足元で跪いた


「この空間に存在するすべての物達私の声は聞こえる?」


(マリー様、どうしたの、そんなに慌てて、ここはいつもと変わらないよ。そんなに怯えないで)


「私の可愛い物達、大変よ。あの子がどっかに行ってる。いいえ、連れ出されたわ」


(え、だってさっきまでここで私達と会話してたよ、そんな連れ出すことなんてできない、ここはマリー様が認めた者でないと入れないじぁん、連れ出す隙なんてないよ)


「いいえ、いないわ、連れ出された事は間違いない、泣いている声が聞こえるの」


(マリー様、今探すして、連れて来るからまってて、マリー様がこんなにも慌てるの久しぶりに見た。絶対見つけるから、慌てないで、怯えないで、悲しまないで、泣かないで、マリー様の側には私達が付いているから)


「ええ、わかったわお願いね」


(任せて、あと20分もすればわかるから)


「私の可愛い物、早く帰ってきて。決して許さない、目にもの見せてやる。私の物に手をかけた事を後悔させてやる」


 このままでは、マリー様の魂が色をなくしゃうよ。綺麗な色をしているのに。かわってしまったら、元に戻すのにどれだけの時間を費やすことか。


(マリー様、怒らないで、どんな事があろうとも、私達は、マリー様だけよ。マリー様は、こないだガラクタと私達に言っていたけど、言っていたマリー様自身の魂が壊れそうになっていたのをみんな知っている。だから、私達はここにいるし、これからもだよ)


「あの時はごめんなさい、心にもない事を言ってしまった、本当にあの時の私はいけない子だった」


(わかっているよ、だからそんなに魂に、悲しみ、怒りをを流し込まないで、そんなにしたら魂が本当に砕けてしまうよ。砕けてしまったら私達は、マリー様と話す事も感じる事も出来なくなっちゃう。だから私達を信じて)


「私信じる、だって私の可愛い物達の言葉だもん、待つね」


(うん、まっててねマリー様)


 配下に目をやる。


「みんな、ごめんなさい、もういいわよ」


「マリー様、もしかして」


「ええ、持ち出された、私の物に手をかけた事を許さない、でも物達が探し出してくれるって、ここに連れてきてくれるって言ってくれたの、それに、エブァン私はいけない子、大事な私の可愛い物達にあんな事を言ってしまうなんて」


 まずい、マリー様の魂にヒビさらに酷くたって来ている。このままですべてが無になる。それは避けなければならない。




 時を遡る事1000前、マリーが幼い頃の事だ。マリーが物達と会話をエントランスでしていた時、謝って物が下へ落ち、壊れた事があった。

 その時のマリーが魂が光を放ち、魂が見えるまでに浮き上がっていた。その魂に、修復出来ないほどのヒビが入っているのを見てしまった。

 それ以来魂が見えるようにはなったのは良かったが、その後が最悪だった。

 マリーが怒り、悲しみ、泣き、その結果全ての街に大災害を引きを越した。

 地は割れ、空は引き裂かれ、中央で嵐が吹き荒れ、地下は壊落、川が流れを止め、闇が漆黒を生み出した。


 あれはひどかった。今思い出すだけでも寒気がする。


 幸いにも直す術を、物達が知っていたお陰で直す事が出来た。

 直した物をマリーに渡すと笑顔が戻り、歌を歌い始めた。

 その歌が大災害を止め、引き裂かれた街を元に戻したのをよく覚えている。

 あの時は、まだ幼かったから良かったものの、もし今それをしたら、それこそこの世界そのものが無くなる可能性が高いのだ。

 その時のその爪痕は、各街にいまだに残っている。

 余計な事をしてくれたものだ。

 学ばない民がここには大勢いるからこそ、過ちを繰り返すのだ。

 学民でなければマリーの魂が安らかでいられなくなるのだ。

 許さん、マリー様の魂にヒビを入れた奴らを絶対に俺は許さん。

 その前にマリー様を止めなくては。





「マリー様、物達はちゃんとわかっているはずですよ、マリー様と物達は、魂でのみ語り合う存在なのですから、それ以外で会話は成立しない事も物達は知っている。言葉に魂が宿っていない事も、マリー様ならお分かりなはずです」


「それでも…」


「喜怒哀楽をしてる暇はありませんよ、まずは私が配下に説明をしておきます、そしてマリー様が配下にした者達を信じてください。きっと、マリー様に変わり怒り、悲しみ、涙して、あざけわらって、飛ばしてくれます、マリー様は、心穏やかに魂に安らぎを持ち、我らに癒しをお与えてください」


 ヒビが少し戻ってる。これならいける。


「エブァン、ありがとう少しは、落ち着きました。エブァンの言う通り、私も配下を信じます。私は癒しを担当すればいいのですね」


「そうです。私はマリー様の歌を聴くのが昔から、楽しみなのですから」


「エブァンたら」


 頬を染めながら下を向いたのだった。


「それでは、皆に説明を始めますね」


 事のてんまつを話しをした。

 他に、最初に跪かないといけない理由


 物達にマリー様の配下である証として、マリー様の前で魂がこもった跪きがないといけない、ここにいていい理由なのだ。

 それをしなかった者には、魂での跪きがなければ、お前たちは、ここにはいない。

 もちろん私もだ。嘘など決して通用しない場所になるわけなんだがな。

 偽物がいたら、ちりになり始めているよ。


 なるほど、それほどまでにここはマリー様を守る為だけにある空間なのね。

 それにしても、物達とは恐ろしいのね。マリー様を主人としている限りそんなことはないわね。

 マリー様の配下にで良かった、学民はそう思っていた。


「マリー様、私がちゃんとマリー様の変わりに悲しみます」


「俺は悪魔だ、だから怒りくるってやる」


「猛獣の俺も怒ってやろう」


「学民は水に愛されている、マリー様の為に私が泣きます」


「では、のこりは私が嘲笑ってやりましょう」


「みんな、ありがとうとても嬉しいわ、こんな私についてきてくれた事を感謝して、歌を。私の為に怒り、悲しみ、涙まして、あざけ笑ってくれる配下に」


「♩♩〜〜〜〜♩〜〜〜♩〜〜♪♪♪」


 とても悲しくて、切なくて、暖かさを感じる歌声が異空間を包んだ、物達も魂にそれを焼き付けていた。


(マリー様、見つかったよ。今迎えに言ってくれてる。もう時期会えるよ)


「ほんと、早く会いたな」


「エブァン、聞こえた、早くあの子に会いたいよ」


「マリー様、そんなに興奮なさらなくても、物達の帰る場所はここなのですから」


「エブァン、何を言っているの、興奮もするでしょ。だって帰ってくるんだよ、待ちきれないよ、迎えに行っていい?」


「マリー様が、迎えに行ってしまわれたら、誰が、帰ってきた物に"おかえり"と言ってあげるのですか。私でよければ構いませんが、私なんかよりも、物はマリー様に言ってくれる方が喜ぶと思いませんか?」


「いいじぁん、待ちきないからねーダメ?」


「ここまで待ったのです。あと少しだけ待ってあげてください」


「エブァンのケチ」

 そわそわ、うろうろ、行ったり来たり、とにかく落ち着かない。早く。



 マリー様が子供の頃言葉づかい戻っている。エブァンは、物達に聞いた。


(それはね、マリー様の魂を私達が守っているの、あの子が帰ってきたら元に戻すから今はこのまま、さっき少しヒビ戻ったでしょ。あれ、実はヒビが大きくなる前兆なの。だから、急いで私達で守ったの。それには子供の頃のマリー様に戻さないといけなかったのよ。それに今戻すとそれこそヒビが大きくなってしまう。私達の声すらも届かなくなってしまうから)


 待つこと10分後


(マリー様〜〜〜〜〜〜〜〜)


「おかえり、寂しかったずっと会えないかと思ったよ、ダメだよ、変なのに連いて行ったんでしょ。抱きしめたら、すぐわかった」


(それが変なんだ、マリー様の声が聞こえたから外に迎えに行ったんだ、そしたら変な奴が紙を持っていてマリー様は、ここだと紙に書いてあるのを地面に置いて去って行ったんだ。だからマリー様に何かあったんだって思って慌てて飛び出したんだよ。そのあとすぐに罠だとわかった時には遅くて、マリー様に会えなくなると思ったら悲しくて悲しくて泣いてたんだ。でもマリー様が気がついてくれたのがわかってきっと助けてくれるって信じていたんだ。

 マリー様、グリグリ、グリグリ〜)


「ちょっと痛いよ」


(嬉しくてつい、さあ、みんなマリー様の魂を守っていたのを解除するわよ。解除しても今なら大丈夫。私達のマリー様だもの)


 魂が元の光を取り戻した。

 ヒビもすっかり治っていた



(これでいいね、やっぱマリー様の魂は、子供の頃マリー様も、好きだけど、今は、もっと好き)


「照れるから、やめてちょうだい恥ずかしい」


 顔を真っ赤にして、手で顔を隠してしまった。


(((マリー様、顔真っ赤見せて見せて)))


((どれどれ))


「みんなからかわないでよ」


 よかった。いつものマリー様に戻っている。微笑ましい見てるこっちまで赤くなりそうだ。

 暖かな眼差しで配下の者はマリーを見ていたのだった。

 それが落ち着いてマリーは、物達と、楽しい会話を楽しんでいた。


 その後ろで、マリーの代わりに怒り狂うほどの魔力が、悲しみを表に出す魔力、涙するような魔力、あざけ笑うかのような魔力が異空間を満たしていた。


「「「「許さん、我らの主このような仕打ちあってはならん」」」」

「そうだ我らは常に主人とともに」


 彼らは、そのものの元へ向かうのだった。


「怖いわね、私の配下怒らせたらダメなのよ」


(マリー様が、それ言うの、ここの中で一番怖いのマリー様だよね)


(そうそう、でもそれよりも優しいマリー様の方がいっぱいいるよ)


(いっぱい、いっぱいマリー様だね)


「好き勝手に言ってるんだから、でもみんな大好き」


(私達もだよ、ずっと一緒に居たし、これからもずっとだよ)


「もちろんよ、ここには私のお友達がいっぱいなんだから」


(ねーマリー様、あの人達どこに行ったの?)


「それは、中央都市に住んでる、ある人物と、その配下の所。捕まっていた場所は、他のものだからその者は関係ないのよ。だからちゃんと張本見つけ出してあるのよ」


(マリー様、探すの上手)


(私達と会話してる間にしてたんでしょ)


「正確!それを配下に魔法で知らせたのよ、そしたら怒ったわよ、ここの魔力回復したし結果はいい感じ」


(マリー様、悪い顔してるよ)


「そんなことないでしょ」


(してる、してる)


(あ!ふてくされた)


「もー、そろそろじぁないかな」


(何が何が)


「きっと半殺しにされて、ここに来る頃かなって」


(えー、要らないよ。私達許さないよ)


「それが聞いてよ、その中の1人宿してしまっているのよ、壊すのもできるんだけどね、見つかるのにすごく時間がかかってるから、あまり壊したくないんだよね」


(なにそれ、タイミング悪くない)


(そうだ、マリー様、あの子使ったらどう?)


「あ!いたわね、今寝てるでしょ」


(大丈夫、マリー様が呼んでるよっていうと飛び起きてお飛んで来るだよ、マリー様大好きだからねあの子。私達の言うこといかないくせにマリー様の言うことだけは聴くんだもんマリー様に焼きもち焼いちゃう)


「私はみんなのわきあいあいの会話に入れてないのが焼きもちなんだけどな」


(えーマリー様、私達に焼きもち焼いてくれてる、ヤッホー)


「そんなに飛び回ったら壊れちゃうよ、壊れたら泣くよ」


(そ、それは困る)


 お!止まった。今のは面白かった、ピタッって止まるから思わず


「ふふふ」


(マリー様からかったわね)


「そんなつもりないの、でも今のは面白かったのよ」


 配下が捕まえに行ってある間、物達と、楽しい会話をたのしんでいたのだった。

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