うるみんズチエチエ♪
ポンポンを持った途端私の中から高揚感が溢れてくる。
姿もキラキラしているらしくサキュラ、ケンジ、ギョロがおお…と感嘆を上げる。
「チエチエ♪ポンポン持ったらうるみんもだんだん見違えて来たで!ほな応援しやすいように音楽鳴らすで!曲名は「阿波爛漫」や!」
千恵さんはどこから取り出したのかはわからないが、一つのDAP(音楽プレーヤー)を
因みに阿波爛漫とは華爛漫と言う曲を徳島調に替え歌した曲で一般の徳島県民に人気がある。
千恵さんがかざしたDAPからは明るく元気な曲が流れだした。
「うるみん何しょん!早よ踊りや!!」
千恵さんが声を上げだす。
「え?でもどう踊ったら良いかわからないよ!?」
私は恥ずかしながら抗議する。
「徳島言うたら阿波踊り踊るやろ?うるみん阿波踊り出来んの!??」
なんで阿波踊りの話になるのよ!
県外に移った時は徳島と言ったら阿波踊りとか踊れるんじゃないの?
と聞かれる事もあるけど…。
私は自慢じゃないけど踊れない!
それに流れてる曲も可愛くはあるけど阿波踊りの曲じゃない。
「あーもう!とにかく適当で良えから早よ踊りや!アテナ様が押されよるで!!」
千恵さんが言葉を荒げる。
私は千恵さんの言う通りアテナ様を応援しながらポンポンを振りながら曲のように軽快に踊った。
阿波爛漫ーーー♪
しばらく軽快な曲が流れ続け、歌う前の始めのテンポのが流れ続ける。
私は「アテナ様頑張って!!」と適当に踊りながらアテナ様を応援した。
そして女性の歌う声かDAPから流れ始める。
緑色絵巻模様 賑わう町鮮やかに
季節はお盆爛漫 此処は阿波華小路
吉野川の上にすだちの華が咲き
広い川へと想い馳せる
ふわり ふわり 舞い踊る様に
ふわり ふわり 阿波踊り
ふわり ふわり すだちの色に
ふわり ふわり 染まる阿波小路
心沈みし時は 此の町へ来てみないで(来てみてよ)
下を向く事無いじょ 此処は阿波華小路
陽気な掛声に弾む笛太鼓
十も踊れば阿保になる
ふわり ふわり 渦潮の様に
ふわり ふわり 回る踊り
ふわり ふわり 藍色湛え
ふわり ふわり 美麗な藍染
初めは恥ずかしかったけど…気がつけば私は踊る楽しさ、皆に見られる快感を覚えて夢中に踊り出してた。
ポンポンを振る度光が放たれ、その光はアテナ様に集中して集まる。
「トドメだああぁ!!!」
デジェウスがトドメの一撃に強烈な鉄拳をアテナに浴びせようとする。
ガシッ!!
アテナはなんとデジェウスの鉄拳を片手で受け止める。
「何っ!?」
デジェウスが狼狽えだす。
私は皆の目も、恥も忘れてただ踊り続けた。
踊る度体が熱くなる。
アテナ様の勝利を願いながら、私の溢れる力をアテナ様に送り続けながら…。
目立つように踊り続ける私は変なのかも知れない。
でも良いんだ、元々変人、今更恥ずかしがる事は何も無い!私はこの前もそうだが、皆に見られる事で熱くなる子だってことがわかった。
だから嫌われてたんだ!
と言う事は私は異端児。
蓮香ちゃんは異端児…確か今は偉人であるキリストや一休ぜんじも異端児として蔑視の対象だった。
私もその部類、異端児は嫌われがちだが目立つ分だけ大義を残せば何かしら名を刻む事は出来るんだ!
その道のりは大変だけど。
サキュラSIDEーーー
あの潤実が激しく踊っている。
身体と一緒に髪も踊り、汗が体から滲み出て、それは光沢となって美麗さを増す。
足を上げ、ポンポンを振るい、光を放つ踊りの妖精。
妖精の放つ光は戦女神の元に送られて、戦女神の戦闘能力を飛躍的に向上させる。
戦女神、アテナはデジェウスに押されていたのが再び形勢を逆転させた。
アテナはデジェウスの豪腕を何と片手で受け止め、もう片方の腕からは激しい闘気が渦巻き、デジェウスに狙いを定めていた。
アテナの細腕から放たれる凄まじい衝撃波を纏った拳。
岩をも粉砕する程のその拳でデジェウスの巨体は弾き飛ばされる。
「
アテナの凄まじい威力の
「ぐおおっ!!」
ズドォン!!
デジェウスはアテナの衝撃拳にぶっ飛ばされて建物に打ち付けられ、打ち付けられた建物は崩れる。
「ああデジェウス様!!」
「あ、あの女!!」
デジェウスを案ずると共にアテナを応援しながら踊る少女に目を移す女子ギャラリー達。
女子ギャラリーは潤実が軽快な音楽と共に激しく踊っているのを見て嫌味を口々にぶつけた。
「何あの馬鹿みたいな踊り!恥ずかしくないの??」
「見られて喜んでいるのよ!キチガイね!!」
しかし女子ギャラリーによるメンタル攻撃も何も無かったように弾き飛ばしてしまい、潤実は踊る踊る。
私と共にいたギョロとケンジは卒倒してしまう。
潤実の恥を捨てた踊りにイチコロにされたからだ。
私でさえ熱くなるような踊りだった。
「私達もあの女に負けずデジェウス様を応援するのよ!!!」
「「おおぉっ!!!」」
女子ギャラリーも潤実に対抗心を燃やすようにデジェウスに声援を送り続けた。
そしてエールだけでは無駄と女子ギャラリー達も合唱を送り出した。
カチューシャの唄ーーー♪
林檎と梨の木が咲き誇っていた
霧が川面に漂っていた
カチューシャは川岸に歩み出た
高く険しい川岸に歩み出て
その少女は歌い始めた
草原の薄墨色の鷲のことを
彼女が愛したあの人のことを
大切な手紙をくれたあの人のことを
ああ、歌よ、少女の歌よ輝く太陽を追って飛べ
そして遠い国境にいる兵士に
カチューシャから想いを伝えて
彼に一途な少女のことを思い出させて
彼女が歌うのを聞かせて
彼に祖国の地を守らせて
愛はカチューシャが守る
ロシア民謡の軽快で力強い歌を女子ギャラリー達は歌い、一方のデジェウスに絶大な力を送る。
「来た来た来たァ!!!」
デジェウスもまた、女子ギャラリーから送られた力により自身の闘気を飛躍的に放出させる。
「
「うごぉ!!?」
ズドォン!!!デジェウスの凄まじい闘気の掌底を喰らいアテナもまた弾き飛ばされ、勢いよく体を打ち付けた建物が粉砕される。
「うるみん!ウチも踊るで!一緒にアテナ様を応援や!!!」
「うんっ!」
潤実、そしてアテナとデジェウスの戦いを見守っていた千恵もまた潤実と合わせるように踊りながらアテナ様にエールを放ち続けた。
海溝潤実SIDEーーー
例え 今宵 彷徨う霊が
みっつ よっつと現れど
明日も此の町のお盆には
百萬の夢 亂れ溢れる
ふわり ふわり 舞い踴るように
ふわり ふわり 煌きながら
ふわり ふわり 緑の夢に
ふわり ふわり 染まる阿波踊り
あわわ あわわ 行き交う
あわわ あわわ 阿波踊り
あわわ あわわ 行き交う
あわわ あわわ 阿波踊り
踊りながらポンポンを激しく振り汗と光をふりまく私と千恵。
パラパラパラパラと。
私と千恵は生温かい雨を降らしながら大地を潤わす。
陸ばかりでは命は育たない。
海があるからこそ命は生まれる。
そして海が無ければ雨は降らない。
私は海溝潤実!
大地を実らせる海になるんだ!
そして生温かい雨が大地の女神に力を与え天空の支配者に勝利の鉄拳を与える。
しかし天空の支配者も向こう側の力強いエールと踊りを受けて更なる力を増し嵐と雷を放ち大地の女神を裂かんと限りな粉砕の雷を落とす。
大地の女神アテナ、天空の支配者デジェウスは異能を纏った鉄拳を互いにぶつけ合う。
そこに男性と女性、兄と妹、正義と悪の区分けは無い。
ただ生々しい勝つか負けるかの戦いがあるのみ。
そこに向かい側の妖精達は戦士の勝利を願い、エールを送り続ける。
アテナとデジェウスから放たれる衝撃波は時折潤実達や女子ギャラリーを襲う。
それを辛うじて食い止めている漢達がいる。
ギョロとケンジだ。
「ウォーターバリア!!!」
ギョロは女子ギャラリー達の前に立ち、アテナから発された衝撃波を食い止める。
バァンと言う破裂音と共にバリアは破かれるがまたギョロは一つバリアを付け足していく。
「絶壁の壁!!!」
ケンジも潤実と千恵の前に立ちデジェウスから放たれる衝撃波を食い止める。
やはりバァンと言う破裂音と共にケンジも苦しそうに食い止めるが女子達を守る戦いをギョロやケンジも扮していた。
「魚敵なのに私達を守るの?やっぱりデジェウス様の味方なんだ?」
『わいはアテナ様の味方や!守るんに敵も味方も無い!敵であっても女守るんは漢の仕事や!!』
ギョロは女子ギャラリーを守りながら見かけによらない男前な台詞を放ち衝撃波から敵の女子達を守る。
「ケンジさん!ありがとう!!」
フリフリさせながら感謝を述べる潤実に少し頭を赤らめるケンジ。
そしてアテナとデジェウスの戦いはいよいよ佳境へ迫っていた。
「ぐおっ、ぐふっ!」
生温かい雨を浴びて潤おわれた大地の女神は天空の支配者に快進撃を繰り出していた。
サキュラSIDEーーー
アテナの力がデジェウスの力を上回り、矢継ぎ早にデジェウスの懐を粉砕するアテナ。
ズドォン!!!デジェウスは大地に打ち付けられ、「がはっ!」と血反吐を吐く。
「トドメです!!!」
アテナがトドメの攻撃を放とうとした所、『こらお嬢ちゃん!そっち行ったらあかん!!』と声がした。
そこにはデジェウスとアテナに割り込もうとしている女性ギャラリーの一人、そしてそれを止めようとするギョロの姿があった。
あの子!デジェウスとアテナの戦場に入ろうとするなんて自殺行為よ!一体何を考えてるの!?
もしや本当に死のうとしているの!??
しかし少女の狙いはそれでは無かったようだ。
「トドメですデジェウス!!!」
アテナがデジェウスにトドメの一撃を放とうとするのを女子ギャラリーの一人が割り込み、デジェウスを庇うように立ちはだかる。
!!!
私、潤実、千恵、ケンジ、ギョロ…そして女子ギャラリーの中の時が止まった。
「駄目ぇ!!」
潤実が動き出す。
瞬間が瞬間だからか、潤実の口調が行動がスローモーションに感じる。
しかし私は思考が全く働かず、その場を見守るしか出来ない。
ピタッ!
アテナの放たれようとする拳が少女の鼻先に当たる寸前でアテナ自身の手で止められた。
ホッと肩を撫で下ろす私達。
そこでケンジがボソっと一言。
「アテナ様…成長なされましたな…」
「え?」
踊り疲れて汗だくとなっていた潤実は間の抜けた表情をして息を整えながらボソっと何かを思ったのか呟きだしたケンジに問う。
「アテナ様は戦いや勝負ごとの際は手のつけられない問題児ぷりを発揮します。無差別に暴れて命を落とした者も数知れず…
しかしあのように寸でのところで拳を収めたアテナ様はやはり成長したと言わざるを得ないのです!」
アテナ様はいつもは冷静で分別のしっかりした方だが、敵には容赦の無い一面を見せる。
またリア充や幸せそうな人達のいる場所には耐えられないらしく、そこに行くや否やその周辺をその場の怒りで爆風に巻き込んでしまったと言う事もよく聞く。
潤実は何も言えないでいて、心の奥底でアテナ様を恐怖しているのが伺えた。
「心配いらないわ潤実、アテナ様は優しい人よ」
私は潤実の手を握りそう囁く。
「うん…怖がってちゃいけないね…」
潤実は罪悪感に苛まれる…良いのよ、そんなに自分を追い込まなくても、貴女には貴女しかない取り柄があるじゃない!
しかし潤実をこのままにしちゃ潤実も可哀想だしアテナ様と合わせるのも気まずい。
私は顔を差し出してと潤実に言い、潤実の汗ばんでひやりとする額に手を据え、潤実のその瞬間を忘れさせた。
「あれ?何か忘れてるような?」
「なんでもない、なんでもないですぞ」
ケンジ様はさっき自分で言った事に後悔し、密かに私に感謝を述べる。
ケンジ様のような賢者にだって誤る事はある。
まああまり説教くさい文章になってもいけないので続きを書いてもらう事にするわ。
そして一人、一人とデジェウスに駆け寄り、デジェウスを庇う者、デジェウスを介抱する者と駆けてきた。
アテナは拳を収め、何も言わずデジェウスとデジェウスを庇ったり無事を呼びかける女子ギャラリーを見守る。
そんな時デジェウスがふと優しくアテナ様に微笑みかけた。
敵のデジェウスがアテナ様に笑顔を向けるなんて…。
「アテナよ…成長したな…!」
「兄さん…」
デジェウスとアテナは元のあるべき仲に戻り、兄妹愛を確かめ合っていた。
デジェウスもやはり私達と同じ事を思っていたようだ。
デジェウスはアテナに優しく語りだす。
「お前が破壊の巫女と呼ばれるようになったのは丁度わしがルルイエの皇帝になった頃の事だったな」
女子ギャラリーや私達に見守られながら語り合う兄妹。
「はい、それで私はルルイエの地下に神殿を構え、俗界を離れざるを得なくなりました。しかしいま考えれば、それが正解だったのかもしれません」
「ふっ、そうだな」
ケンジSIDEーーー
俗界を離れて過ごさざるを得なくなる。
常人には不都合な事だが超人的な力と不安定な性格のアテナ様には確かに正解かも知れない。
何故なら外ではカップルや家族連れを見なくて済む日なんて無い。
それを一日アテナ様が平静を保って過ごせる事があるだろうか?
例え一日保てても溜め込んで溜め込んで爆発する危険もあり、地底の神殿で過ごす方がアテナ様にとって丁度良い環境だった。
アテナ様は嫌われ者…嫌われ者だから幸せそうな人達の所に身を置く事が如何に危険なのか、アテナ様と過ごす内にわかった。
常人に俗界を離れて過ごさせると常人は情緒に異常を来たすがアテナ様の場合は逆である。
それがアテナ様が異端者、そして破壊の巫女たりえる所以なのかも知れない。
デジェウスSIDEーーー
アテナは儂らの為にソドムの街を守り続けていた。
街の皆に嫌われ続けていても…。
儂はそんなアテナをその当時は本当に可愛がり、愛していた。
儂はアテナとは逆で周囲に持て囃されていたし、儂が少しでも泣いたりグズったりすると必ず皆が儂を擁護して助けてくれた。
そしてアテナには働きの割に何も与えられない一方、儂は従者が付き、欲しいものがあれば何でも与えられた。
それがかえってアテナに不安定な性格を与えてしまった。
アテナが成長しいつものようにソドムを守って帰って来た時悲劇は起こった。
その時丁度ソドムは祭りや催し物が行われていて嫌でもカップルと家族連れが集まってしまう日…。
アテナは自分は必死にソドムを守っているのに何故嫌われ続けてコイツらは遊んでいるんだと言う日頃の鬱憤が蓄積してしまう。
そして女子達をはべらせて歩いている儂を確認してしまったのがそんなアテナの不安定さに火を着けた。
絶大な力を生まれ持っていたアテナは我慢出来なくなり、このソドムを一瞬にして灼熱地獄に変えてしまった。
儂はその時アテナに生まれて初めて恐怖してしまった。
儂はアテナから逃げて何も言わず引っ越して行った。
アテナへの恐怖は夢にでも出てしまう程だった。
(これで兄と呼べるのか?嫌われ者のアテナを唯一家族として愛しようと誓っていたのに…)
儂はアテナへの恐怖を少しでも克服しようとどんな事でもやった。
儂は当時は虫を殺す事も出来ない程優しい少年だった。
アテナへの恐怖心を無くす為には鬼になろうと、アテナを凌駕する残酷さを身につけようと従者などで特訓したりした。
見た目も美少年だったから如何なる魔物をも怯ませるほどの体躯を身につけようと強化剤や呪いの秘術を使って今の姿に敢えてなった。
そして努力を重ねた結果、儂はアテナへの恐怖を克服した。
しかし、恐怖の代わりにアテナへの憎しみが肥大化してしまった。
恐怖の代わりに憎しみが肥大してしまい、アテナを散々追い詰めてしまおうと思った儂はアテナの現在位置を突き止め、勇者を捨てて巫女になっている事を知る。
儂はアテナがゼウスの神殿に仕えている事を怪物の姿を得てもカリスマを捨てる事が出来なかった故のカリスマを利用してアテナを「破壊の巫女」と仕立て上げ、民衆を利用してでもアテナを追い込んだ。
儂はそれからルルイエの皇帝となり、アテナは儂と対立する事になった。
かく言う儂もアテナの事をとやかく言える筋合いは無い。
何故なら儂も街を占領し人を幾人か殺戮して来た。
もっとも自分の手を汚さずにだが…。
アテナは自身の手を汚し元々嫌われ者としての宿命も相まって益々嫌われ者としての座を不動のものとした。
儂は姿と性格こそ醜く歪んでしまったが人望は生まれついてあったので自身の手を汚さずとも支配したい街、気に入らない者がいれば取り巻きを利用してでも思うがままに出来た。
違って見えても儂と妹…似た者同士なのかも知れんな…。
「デジェウス様泣かないで!貴方は何も悪くない!」
「私達はデジェウス様の味方だから!」
女子ギャラリー達は儂にすがり一緒に泣いてくれる。
この境遇を少しでもアテナに分けてあげれば良かった…。
「許せアテナよ…」
「いいえ、これが宿命なら…私はそれに甘んじるのみです」
アテナの表情には迷いが見えなかった。
そうだな、お前にはケンジ、ギョロ、そしてガニメル兄妹とそして海溝潤実がいる。
お前はもう独りでは無い…兄離れ出来なかったお前がよくここまで大きくなったものだ…。
儂は踵を返して歩くアテナの後ろ姿は何よりも立派で、美しく見えた。
これで嫌われ者とは…天は何と残酷な使命を我が妹に与えたものか!
海溝潤実SIDEーーー
なんだかよくわからない展開だけどとりあえずアテナ様とデジェウスさんが無駄な戦いをせずに終わらせてくれて良かった♪
私はタオルで汗を拭き取りジュースを飲む。
このままにしてたら風邪引いちゃうからね。
アテナ様が帰ってきた。
「アテナ様!今傷の手当てを!」
『椅子用意するけん座りや、グラグラはするかも知れんけどな!』
ケンジ様が手早くアテナ様を気遣い、治療魔法をあける。
ギョロもどこから出したかわからない椅子を潮の竜巻で移動させ、アテナ様のすぐそばに置く。
「ありがとうございます」
アテナ様はそれに甘え、椅子に座ってそこにギョロ君が持ってきたすだちジュースを受け取りそれを飲む。
手慣れてるなぁと言うか「海」の力ってこう言う用とにも使えるんだ…。
私は関心してアテナ様の身の回りの世話をする男の人達を見守っていた。
「チエチエ…なんか予想とちゃう結果になってもうたけんどとりあえず戦いが終わって万々歳やな、ウチは帰らせてもらうで♪」
千恵がこう言い踵を返す。
「あれ?帰っちゃうの?」
「ウチはWNIのキャラやけんクト雨におるわけに行かんのんよ。
登場人物になれたら嬉しいけんどウチにはKEI作品での仕事も溜まっとるけん、メタな話はおいといてあんさんに武器与えに来た役割は果たしたけん帰るな♪」
千恵ちゃんはWNIと書かれたドアを持ち出しWNIの世界へと帰っていった。
ともあれアテナ様とデジェウスの戦いは何とか幕を閉じたようだ。
どちらが死ぬかの戦いをするものだと思ったけど犠牲は出さないに越したことは無いよね。
だがアテナ様が改まった様子で話しかける。
「潤実さん、貴女は思った通り…いえそれ以上の「陽」の力を持っていると確信しました、それで頼み事があるのですが…」
「頼み事…ですか?役に立てる範囲なら…」
全知全能のアテナ様が平凡以下の私に頼み事なんて…とはいえ出来ないと言ってしまうと駄目っぽいので話だけでも聞いてみる事にした。
この後二択の選択を迫られる私…。
これが大事な人生を左右する事になるとは。
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