ゼウスの像

海溝潤実SIDEーーー


その内マグマに行き着くんじゃないかって言うほど降りている。


でも特別な金属で作られたこの壁…私達のデパートでもそう言うのあるけどやっぱりルルイエの技術って凄い…ルルイエの人達も私達の所に来て凄いとか思ったのかな?


「ねえサキュラ、徳島に初めて来た時やっぱり凄いとか思った!?」


私は初めて来た時の反応とかどうだったとかは聞かされてないのでそれが気になり、サキュラに聞いてみた。


「別に…」


何だかいつも通りの素っ気ない返事が返ってきた気がする…。


『サキュラは感情そのものが無いんやけんどう思ったか聞いてもいけんよ…』


ギョロが耳打ちしてきた。


そんな事ないよ、サキュラはちゃんと感情がある、ずっと一緒に過ごしてきてわかったんだ。

ただ感情出すのが下手なんだなって…。


でも人の事言えないけどこんなじゃ嫌われ者になっても仕方ないのかな。


そんなサキュラとずっと仲間でいる私って本当に変わり者なのかもね。

これからも一緒だから…ね♪


私はサキュラに微笑みかける。

サキュラは私の心内を読んでしまったのか照れたように視線を反らす。


私もちょっと恥ずかしくなったのでアタフタする。


『どないしたん二人とも…』


ギョロはそんな私達を不審そうに見る。


「着きましたぞ」


そこでケンジさんが知らせる。


するとチーンと言う物音と共にエレベーターが立ち止まり、その後シャッターが開く。


シャッターの先にある光景に私は更に驚く。


基本真っ暗な広場なのだが、暗い広場の中をたった一つの逞しい男性の像が淡い緑色の光を放ち建てられていた。


「凄い…あれがゼウスの像…」


初めて本当のゼウスの像を見た私は息を飲み込んだ。

ほぼ半裸の男性の像なのだが、その雄々しさ、リアルな男性の骨格まできめ細かく見事に掘られている。

まさにゼウスと言った感じだ。


でもその像に向かって何をすれば良いんだろ?

ガニメルとサキュラの像があった時はそれに触れて彼らの記憶に辿る事が出来たけど…。


「さあゼウスの像に触れなされ、ゼウス様から課題が下されよう…」


そこでケンジ様が恭しく私に述べた。


「は、はい…」


私は恐る恐るゼウスの像に手を差し出す。

触ると祟りがありそうな見事な像なのだが本当に良いのだろうか?


それをサキュラ、ギョロ、ケンジさんはじっと見守る。


やがてゼウスの足に手をつけると私の目の前が光に包まれた。


「うわっ!」


私は目を覆ってしまう。


「…ちゃん、朝よ、起きなさい!」


誰かの声が聞こえる…でも布団の中があまりにも気持ちが良くてしばらくはこうしていたい。


「ゼウむす始まっちゃうわよ!」


え!?ゼウむす??そう言えばしばらく見てない!どうなってるんだっけ??


私は思わず飛び上がる。


「あはは♪お目覚めね!」


私は笑う女の人に顔を向けた。

え?彼女の顔を見た私は思わず熱い思いがこみ上げる。


「ど、どうしたの潤実ちゃん?」


私は何も見えない…ぐすぐすと泣いているから。

どうして私がこうして泣いているのか…。


私を心配そうに見つめる若い女性は紛れも無い…

奈照さんなのだから!


「うわーん奈照さん!」


私は思わず奈照さんに飛びついた。


「何よ騒々しい…」


部屋の戸を開けて現れたのはサキュラだった。


「何してるの?朝ご飯食べたら特訓よ!」


そう言ってサキュラは階段を降りた。


「さあ行きましょ♪」

「は、はい」


奈照さんは私と手を繋ぎサキュラについて行った。

奈照さんの温もり、温かい笑顔が懐かしい…。


てことは今までの事は夢だった?

いや私はゼウスの像に触れたんだった。

そしたら夢が覚めたようにベッドの中にいて…。


違う、私は自己啓発しようとしているのだった。

今私の目前にはパソコンの画面でデカデカと自己啓発の教えと文字が映っている。


私は自己啓発の受講を受けているのだ。

あ、お金は二万と高い…しかし何もしないよりは良いだろう。


「私が講師を務める高城愛羅です、よろしくお願いします」


巻き毛の綺麗な髪の高城愛羅という女性が私達に挨拶を交わす。

高城愛羅…何処かで聞いた名前…まあ良いや。


受講生の中には様々な年齢の人、え?この人が!?と思われる人も授業に参加している。


そして高城愛羅さんから受講を受ける私達生徒。

よーし自己啓発するぞ!

しかし愛羅さんは不可解な事をチョークで黒板に書く。


「人前で全裸になりなさい!恐れてはなりません、そしてその姿を晒して町を駆け巡りなさい!そうすれば貴方がたは天の境地へ昇る事が出来ます!」


愛羅さんはこう力説した。

で、出来るのかそんな事…もしやったらその時点で警察行きでしょう!?


私は愛羅さんの話を聞くたびあり得ないし恥ずかしい事だと、そして話が中々入って来ないような心理状態となった。


その時いつのまにか愛羅さんが私の前に立っていて私の肩に手をやっている。


「では海溝潤実さん、一番授業を真剣に聞いている貴女に人前で脱いで貰います♪」


「え、ええー!?」


私は服をつねられて黒板の前に立たされる。

みんなの見てる前で裸になるの!?

こんな事出来ないよ!!


私は自分でもわかるほど胸音が響き、これからしなければならない事に気が向こうへ行きそうになる。


「何を恐れているの?こんな事ではいつまで経っても変われませんよ!!」


愛羅さんが怒気を交えて私に言う。


授業を聞いてなかったからこうなったに違いない、でもこれは警察にも訴えられるレベルよね?


「なんなら警察に言ってみても良いのよ?徹底的なアリバイが無ければ貴女の敗訴で終わるのは目に見えている♪」


愛羅さんは怪しい笑みで私を睨む。

受講生もマジマジと私を見つめる。


「貴女も変わりたいんでしょう?脱いだ方が良いですよ?」


「プロポーションも素敵ですし、きっと素敵に変われますわ♪」


そう口々に私に説得する受講生。

男性、女性に限らず私に言ってくる。


「そう皆様も仰ってるわ、悪いようにはならないから裸になりなさい!」


愛羅さんはさっきの剣幕とは嘘のように優しく私に諭す。


「愛羅さんの言う事に間違いはありませんよ、さあ裸になって!」


皆にそう言われ、私は本当にそうしなければならないのかと思い始める。


「このままだと貴女はやられっぱなしヒロインのままで終わってしまうわ!」


愛羅さんの一言で私の何かがプッツリと切れた。


「うがああああぁ!!!」


私はついに皆の前で服を脱いだ。

今まで頼まれてもやった事のない事、そしてやりたくもない事…。


これをついにやってしまった私。


ーーー

『オギャーオギャー!』

『あははめんこい、お前の名前は潤実だ!』

3歳児の頃、風呂の中にて

『うるみおおきくなったらお父さんのお嫁さんになるの!』

『おお可愛いなあ潤実は!』

ーーー

男の前ではおそらくそれ以来だ…。

今目前にいるのは女だけでは無い、男もいて、男は特に熱い眼差しで私を見ている。


女の人はざまあみろみたいな眼差しで見ている気が…。


「よくやりましたね、立派ですよ潤実さん、この勇気を忘れないで、外でも裸になりなさい!そうしたら貴女は人間として一段階上へ昇る事が出来ます!」


そう言われ私はホッとする。

私は愛羅さんの教えを頭に刻み込んだ。


「さあ海溝潤実さんに盛大な拍手を!」


愛羅さんがこういうと受講生達は聞き心地の良い拍手を私に浴びせてきた。


ーーーそれから。


私は自己啓発には全裸と言うのを頭に叩きつけ、外で服を脱いだ。


幸いな事に寒い時期では無いので服を脱いでちょうど良いくらいの温度だった。


しかし人の視線が襲いかかり私は咄嗟に身を隠しそうになった。


「何を恐れているの?こんな事ではいつまで経っても変われませんよ!!」


私は愛羅さんの言葉を思い出した。

そうだ!恐れてはならないのだ!!


塾でも皆の前で裸になれた、ここでも出来る筈だ!

私の心臓がバクバクと高鳴る。

服だってすぐそばに…私はそこにあるはずのものが無いのに顔が真っ青になった。


え!?服が無い?

服は一体どこに??


私は身を覆いながら服を探した。


「ここよ!」

「愛羅さん!?何故ここに!!」


私の目前には愛羅さんがいた。

愛羅さんは私の服を大事そうに持っている。


「私は貴女に期待しているのよ、きっと誰よりも変われるに違いないと、だから貴女を塾生達の前で服を脱がせたのよ!」


愛羅さんはこう諭す。


「でも服を脱いだ時点で恥ずかしがるようなら私の目は節穴だったってわけね…」


愛羅さんは哀しそうな表情でこう漏らす。

駄目だ…愛羅さんの期待を裏切っては…!


「私…やります!」


私は肌をさらけ出し宣言した。


「やってくれるのね潤実さん!」


愛羅さんの顔がパアッと明るくなる。


「はいっ!愛羅さんが期待してくれているのなら、それに答えなければ!」


私は期待に答えるように声が上ずっているにも気にせずに宣言した。


風が吹いているのに風を感じない。

いつもより暑く感じる、何より視線が刺さる。


そう、私は愛羅さんの言う事を実行していた。

一皮剥くんだ!恐れてはならない!


「な、何あれ!?」


「すっげ♪」


「見ちゃいけないよ!!」


私は羞恥心を堪えながら走っていた。

これでコミュ障脱出!やられヒロイン脱出!


サキュラも見返せる!


私は走っているうちに自分に自信が着いた気がしてきた。

このままなら何処へだって走って行ける!

人の視線も怖くない!


もう、何も怖くない!


「そこの少女!止まりなさい!」


警官が追ってくる!?


ガシッ!

私はついに捕まってしまった。


「わ、私はこうしろって言われて!」


「出まかせを言うな!」


私はいきさつを説得するが警官は聞く耳持たない。

ああどうしよう!?


その時の事、警官が魂が抜けたように眠りこけてしまった。


「な、なんだなんだ!?」


周りの野次馬達がどよめく。


『フフフ、みんな、この子は魔性の女よ、警官を眠らせたのがその証拠、さあその子を煮るなり焼くなりしなさい!』


そんな時女性の声が…てその声は愛羅さん!?


人々が私を襲いだす。

「来ないでー!!」私は悲鳴を上げて逃げる。


しかし人々は飢えた獣のような形相で私を襲いだす。

私はクトゥルフに変身し、トライデントを構える。


「クトゥルフになっても無駄よ!」


愛羅さんが台の上に立ち私を見下ろす。

「メイルストローム!!」


私は異能を放ったその時、人々はなんと魔物となってそれをスルリと躱した。


躱した異形の魔物は触手を出現させて私を襲いだした。


「キャアァ蓮香ちゃん助けて!!」


私は触手に襲われ悲鳴をあげる。

悲鳴が功を成したのか、夜空から一筋の光が射す。


「な、あれは!?」


愛羅が見上げたその先はある者が地上に舞い降りて来ていた。


ポニーテールの藍色の髪に鎧を纏い、ペガサスに乗った美しい戦女神が…。


「貴様は蓮香!!」


愛羅が鋭い怒声を上げる。

蓮香…!?あの…ゼウむすの!?


私が見た彼女は神々しく、とても嫌われ者ポジションにあるような女の子には見えなかった。


「海溝潤実、ゼウむすの世界から貴女の様子を見守っていましたよ!」


蓮香は透き通るような声で私に囁きかけた。

その笑顔が眩しい…。


光をたたえたうら若い女性の姿、絵にでも描いたように美しく、凛々しかった。


そして蓮香は剣をかざす。


蓮香ちゃんが剣をかざすと私の前に虎、黒豹、あとギャラ○スのような動物が現れた。


え?蓮香ちゃんの動物って犬の突然変異種のレミとロップイヤーのロピとピカライオンのライよね?

どうして別の動物が?


「この動物達は貴女の出会った動物達の化身です、残念ながら私はこの戦いに干渉する事は出来ません

、しかし貴女ならこの危機を乗り越えられると信じています」


ここはゼウむすワールド!

そうか、ここでは動物を使って戦うのが主流になってるわけか!


私は動物に号令を下した。


「トラテツ!でんげ…ひゃあ!?」


私はトラテツと名付けた虎に電撃を放たせようとしたが触手が勢いよく私を襲い言葉を発するのが困難を極めた。


「あはは!見てなさい!動物を与えても潤実は触手に捕らわれてて命令を発する事さえ出来ないじゃないの!」


愛羅が高らかに笑う。

蓮香はそれを悔しそうに見守る事しか出来ない。


「それしか力を貸せない私をお許しください、私はゼウス様から試練の為に最小限の手助けしか出来ない事を約束されているのです!」


蓮香さんは触手に襲われ命令を発する事が出来ない私に唯々無事を祈った。


虎、黒豹、ギャラ○スは襲われている私を人形のように固まったまま見つめている。


サキュラSIDEーーー


ゼウスの像に手を触れて瞑想に落ちていった潤実が突然ブルブルと身を震わせた。


『どないしたんうるみん!』


ギョロが声を出す。

うるみんはガクンと腰を下ろすと素足にキラキラと光るものが。


(ゼウスのいたずら…ゼウス様は美女に対しては不埒な試練を与えると言うが…)


ケンジさんが声を漏らす。

一体どんな試練を受けているのか?

私は覗こうとしたがゼウスの力が働いて中を覗く事が出来なかった。


しかし潤実の逆上せたような表情、荒い息遣い、滴る汗はどんな目に遭ってるか何となく想像出来た。


「全くお父様ったらまた変ないたずらしているのね!」


その時後ろから女の人の声がした。

私達はその女の人に顔を向ける。


その女性は美しい純白のドレスに身を包んでいてきめ細かい肌に宝石の装飾をあしらい女神と見違う姿をしていたがより特徴的な特徴は潤実が今夢中になっているあの美少女とまるで被っていた。


「あ、貴女様は!?」


ケンジさんも目を見開き、恐るようにひざまつく。

「これ!お前達も膝をつかぬか!」

ケンジさんはゼウスの像に触れ、試練を受けている潤実以外の私達に命じる。


私達はケンジさんに言われたまま女神のようなうら若い女性に膝を付き、礼を交えた。


「顔を上げなさい」


女性は私達にそう言い、私達はようやく顔を上げる。

その女性の姿はあのゼウむすの主人公の蓮香と被っていた。


「アテナ様、お目覚めになりましたか!」


ケンジさんが恐る恐るといった様子で聞く。


「私は向こう側の世界を見ていました、あそこは今大変な事になっています!」


アテナと呼ばれた女性は顔をしかめて伝えた。


そのアテナ、藍色のポニーテール、輝きを灯した瞳に整った顔立ち、透き通った肌と男性がほっとかなさそうな容姿をしていながら、神々しくて触るのも恐れ多いと感じさせるオーラさえ放っていた。


同じような容姿にゼウむすの蓮香と被っているが嫌われ者イメージのいかにも近寄りがたい捻くれた性格の同ポジション、偽りの勇者のベリアルとは似ても似つかない。


まあ似ていると思しき点は近寄りがたさか…?


「この大変な時に何てしょうもない遊びをしているのかしらお父様は!」


そのアテナはほおを膨らませ怒っているがその姿はさっきまでの雰囲気と裏腹に少し愛嬌のようなものを感じた。


意外と感情豊かなのかも知れない。


「あの…海溝潤実と言う少女はお父様から試練を受けているのですが彼女自身ではとても荷が重いような試練を受けています…だからこその試練なのでしょうが…」


アテナは美しい顔を歪ませて私達に伝う。


おそらく試練をクリアしない限りあのままと言う事ね。


「海溝潤実を出してやりたいのですが残念ながら私でも潤実さんの試練に干渉する事は不可能です、そこで貴方達の手助けが必要になります」


アテナは真剣な眼差しに変える。


海溝潤実SIDEーーー

触手から激しく責められる私。

それを瞬きもせずにジーッと見つめる三匹の動物。


そしてクスクスと笑いながら手を組んで見守る愛羅。


悔しそうに見るだけの蓮香…。

「た、助けてえ!私が私でなくなっちゃう!!」


私は悲鳴を上げ続けていた。


『潤実!早く出てきなさい!!』


その声はサキュラ…どこにいるの??


『どんな目に遭っとんか知らんけど地上が大変な事になっとるって!』


そ、それ聞いた…こんな時に急かさないで…。


『海溝潤実様、聞こえますか!??』


ケンジさんね…今の私はとても見せられない…なんかまた獣化しそうだから…なんとなく…。


私は触手に悶えながら向こうから語りかける仲間達の声を聞いた。


『今まで貴女が見ているのは幻覚です!何とかここから脱する手立てはここが幻覚だと念じる事です!』


すると別の若い女性の声が聞こえた。

蓮香ちゃんと声が被ってる気がする。


当の蓮香ちゃんは心なしかしまった!と言う表情をしているように見受けられた。


そうか!私は念じた!ここは幻覚だから何も怖くないと!


するとどうした事だろう…触手が私から離れていく。


その隙に私は矢継ぎ早に動物達に指示を下した。


「トラテツ!ライジングボンバー!!」

「ドッシュ!シャドウハリケーン!!」

「ギョロ!ドラゴンズサイクロン!!」


因みに動物達の名は私と間近に出会い、冒険した動物達だ。

あと技は適当…。


「そ、そんな馬鹿なー…!」


愛羅が姿を消す。

そして蓮香はある者の姿に変わっていった。


『よく試練を乗り越えた…』


「貴方は…!」


蓮香と言う美少女が変えたその姿は立派な体つき、整った顔立ちの壮年の男、藍色の髪はやや長めでわざと荒れたたせている。


半裸の姿だが彫刻の石像のような立派な体つきの為か壮年でありながら仄かな色気を醸し出していた。


『我の名はゼウス、試練を越えたそなたに真のクトゥルフブレイクリーを授けよう!』


そしてゼウス様は私にクトゥルフブレイクリーを授け私の意識を現実に飛ばした。


ーーー


「はっ!?」


私は目覚めた。

私の周りに微かな綿のような光球が…。


「良かった…ゼウスのいたず…試練から乗り越えられたのですね♪」


「蓮香…さん?」


私の目の前に蓮香さんが現れ私に微笑みかけた。


「蓮香…?私はアテナです、ゼウスの娘として遣わされた巫女です」


蓮香…いやアテナと名乗った女性は答えた。


「貴女の体には見違えるように不思議な力に満たされている、おそらく今混沌の元となっている皇帝デジェウスにも太刀打ち出来る事でしょう…しかしデジェウスの力はとてつもなく強大、それでも行くのですか?」


「はい、前世との決着をつけなくてはいけませんから!」


前世のガニメルの記憶を辿り、私は答えた。


「前世…ガニメルね…地上の平和を委ねられるのは貴女しかいません、サキュラさん、海溝潤実、いやガニメルをしっかりサポートしておあげなさい!」


「はい!アテナ様!」


いつも無表情で誰にも媚びないサキュラが恭しくアテナに礼を述べた。


やはり思った通りとてつもない影響力を秘めた人だ…。


「気をつけなされ!」

『無事に帰ってきいよ!』

「ご健闘をお祈りします!」


私はギョロ、ケンジ、そしてアテナ様に見送られ今大変な事になってると言う地上にサキュラと共に戻った。

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