第28話 歌姫直轄部隊?



「突撃〜!!」

「た、隊長!ダメです!何か壁のようなものがあり前進出来ません!」

「ええ〜い!貴様らそれでも帝国軍人かっ!」

「隊長!第6部隊全滅です!」

「第8部隊も全滅しました!」

「うぬぬぬ……いったい何だと言うのだ?王国の秘密兵器か何かなのか……」



『オラオラ〜ソニックブレード(刃無し+麻痺付き)!』

『残影剣(峰打ち+睡眠付き)!』


『やってることはいつも通りですけど、イマイチ迫力がないですね』

『それは仕方ないですよ。姫様は無益な殺生は好みませんからね』



 わたしと冒険者さん達に騎士団の皆さんは真っ直ぐに帝国軍の本陣を目指して歩いていました。


「なぁ、これって俺たちいらなくないか?」

「今更何言ってんだよ?いつものことだろ」

「そりゃそうなんだけどよ……」


 わたしの行く手には次から次へと帝国の軍人さんが襲いかかってきます。


「あの〜多分無駄ですから……お願いですから帰ってもらえないでしょうか?」

「帝国軍人を舐めるなぁぁ〜〜あぁぁぁ……」

「ここは意地でも通さ……zzz」


 襲ってくるそばから、麻痺するか寝るかどちらかなのですけど。


「動けなくなった方には手出しはしないで下さいね」

「はい!歌姫様!」

「でもよ、後続の王国兵はどうなんだ?アイツらやっちまうじゃないか?」

「そうか……後から来てる連中もいるんだよな」

「ええっ!どうしましょう……」


 わたしは困って上空を見上げました。

 そんなわたしの気持ちをわかってくれたのでしょうか、いくつかの魂さんが後ろに向かって飛んでいきました。



『後ろからくる王国兵もまとめて麻痺らせてきてください』

『いいんですか?味方ですよ?』

『姫様を困らせる連中は味方なんかではありません』

『それもそうですね、じゃあちょっと行ってきます』



「隊長!帝国軍はどうやら魔法か何かで動けないようです!」

「何だと!よし!積年の恨み晴らしてくれよう!1人残らずころ……ろろろろ」

「た、隊長っ……zzz」



『ここいらは片付いたかな』

『みたいだな、ん?』

『おっ、あれはいつぞやの王子様の軍か……』

『あれは通してやるか、戦争の終結を宣言してもらわないとな』

『そうだな、王子様なら姫様のこともちょっとはわかってるだろうしな』



「王子!行く先々で帝国軍が壊滅しています!」

「どう思われますか?王子」

「おそらくは……あのお嬢さんだろうね」

「……でしょうな」

「動けない帝国軍は捕虜とせよ!他の部隊にも無駄な殺生はせぬようにと!」

「交渉の材料は多いにこしたことはありませんからな」



 後方は先程の魂さんに任せておいても大丈夫そうです。

 わたし達の進む先に、帝国軍の本陣らしき部隊が見えてきました。


「歌姫様!帝国軍本陣です!」

「無駄だと思いますけど、一応降伏勧告してみますか?」

「はい!お願いします!」


 戦わずに済むのでしたらそれが一番です。


「帝国軍に告ぐ!我々は歌姫ミィス様直轄部隊である!」

「……え?」

「これ以上の抵抗は無駄である!武器を捨て投降するのであれば諸君らの安全は保障される!……と歌姫様は仰っておられる」

「……え?」

「5分待つ!それまでに答えをだされよ!さもなくば諸君らも他の軍同様、深き眠りにつくことになるだろう!……と歌姫様は仰っておられる」

「……あの……はい?」


 えっと、どうしてわたしが出てくるのでしょう?

 いや、あの……皆さん?そんなキラキラした目で見ないでください。


「隊長〜!ナイス演説!」

「いよっ!大統領!」


 え〜っと?

 ちょっと違うくないですか?それ……



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