第3話 死者達の日常
ミィスに付き従う死者達の1日は忙しい。
深夜はミィスの住まう小屋の周りの警備。
これは交代制で行われる。
死者故に寝る必要もないのだが、たまに夜中にミィスが起きて窓から外を眺めることがあるため不公平のないように交代制になっている。
早朝、ミィスは規則正しい生活をしているので6時には基本5名が小屋の玄関が見える位置に待機している。
1名は水汲み。ミィスは毎朝井戸水を汲みにくるので必ず先に水を汲んでおく。
万が一井戸にでも落ちれば大変だからだ。
ちなみにこれを怠ると会長より【マッチョの刑】に処される。
1名は庭掃除。ミィスの住まう小屋には小さいながらも慎ましやかな庭がある。
毎日の掃き掃除はもちろんのこと、雑草の草抜きや花壇の水やりを欠かすことは出来ない。
ちなみにこれも怠ると会長より【マッチョの刑】に処される。
1名は洗濯。当然洗濯は井戸水を利用して行われる。冬の寒い日などミィスに冷水で洗濯させるなどもってのほかだ。霜焼けにでもなれば大変だ。
夏も当然日射病や日焼けなど、充分に気をつけなければならない。
尚、この業務は女性のみが行う。
ちなみにこれも怠ると会長より当然【マッチョの刑】に処される。
残りの2名はミィスが仕事場である酒場に向かうときの警護である。
これは主に生前ある程度名を馳せた剣士や魔法使いが任務にあたる。
ミィスは可愛い。
それはそれは可愛い。
誰が何と言おうと誰が見ても可愛い。
声をかけてくる輩や暴漢、人攫いなどから確実に守るために怠慢は許されない。
ちなみにこれも怠ると会長より当たり前の様に【マッチョの刑】に処される。
ミィスが出掛けた後は小屋の中の掃除である。
仮にも主人の、それも麗しいレディの部屋の掃除であるからこの業務も女性が行う。
又、決して屋内の物品の配置を無断で変えてはならない。あくまでさりげなく「あれ?掃除してないけど汚れてない」と思う程度にすることが望ましい。
ちなみにこれを怠ると…以下略。
ミィスが酒場に到着すると警備の交代が行われる。
酒場内では基本的にミィスを手伝うことは禁止されている。他人から奇異の目で見られないためだ。
例外的に何かしらの失敗によりミィスが店主に叱責を受ける可能性がある場合は許可されている。
例えば落とした皿を受け止める等である。
ちなみにこれを…以下略。
日中から夕方にかけては警備の10名を除いて各自自由行動である。
自由行動であるが大抵の場合は酒場内でミィスを眺めていることがほとんどである。
夕方5時からは酒場が忙しくなるので警備10名と酒場内でのフォロー5名を配置する。
ミィスちゃんファン倶楽部定例会議が行われるのもこの時間だ。
ミィスは本人の希望もあり冒険者としての一面もある。冒険者として活動する際はファン倶楽部全員でフォローにあたる。
冒険者として活動する際の事項についてはまた後日改めて説明するとして今回は割愛しておく。
酒場が閉店するとミィスの帰宅に合わせて警備が30名配置される。
夜遅くに麗しいレディの夜道の一人歩きなど危険以外の何者でもない。故に半径1㎞以内に不審な人物がいないか警戒しながら帰路につく。
尚、不審者を発見した場合は会長に報告、指示のもと排除するかを決定する。
排除する場合は強制転移魔法により500㎞以上離れた場所にランダムで転送することになっている。
又、小屋に入る前には屋内に不審者がいないかの確認も欠かさず行う。常時小屋には3名が常駐しているが万全を期すために怠慢は許されない。
ちなみに…以下略。
ミィスが小屋に帰ると今度はお風呂を沸かすために専属の火魔法使いの出番となる。もちろんこれも女性が担当する。
又、ミィスの入浴中は覗きの危険を無くす為に空間魔法により小屋全体を異空間に一時的に隔離する。
この時、浴室から見ることの出来る風景を完璧に異空間内に再現することが求められる。
入浴が終わると就寝時間になる。
騒音や雑音等は魔法により完全に遮断され、睡眠に適しているであろう虫の鳴き声やさざめく風の音は再現することにしている。
万が一睡眠不足になろうものなら会長よ……以下略。
このようにして我々の1日は回っているのである。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます