e18「全角スペース問題」


 どうもこんばんは。引っ越し完了の薮坂です。

 いきなりですが、この引っ越し関係で私、普段は温厚なのに烈火の如く怒っています。もちろん引っ越し業者になんですけどね。


 具体的に言うと、契約外のお金を取られそうになったり、ベッドのネジをなくされてベッドで寝られない状態が今も続いてたり、その他にもいろいろあってかなり本気で怒ってんですよ。この温厚な私が。


 それでね、今日の帰り道のこと。とにかく一旦落ち着こうと言うことで自販機で梅ジュースを買ったんです。好きなんですよね、梅。

 そんでですね。お金を投入し、梅ジュースのボタンをぽちっと押すとですね。「売り切れ」のランプが付いて、ごとんとジュースが落ちる音がしました。「お、最後の一本かぁ、ラッキー」ってなもんで、ウキウキとそれを取り出したんですよ。そしたら。


 ……普段飲まない微糖の缶コーヒーが出てきました。


 あああ! せめて! せめていつも飲むブラックにしてくれよおぉぉ!


 ……すいません取り乱しています。ツイてない時はとことんツイない。不幸はお手て繋いで一緒にやってくるんですね。ははははは。



   ──────────



 さて、落ち着きを取り戻してまして。冒頭に戻りますが引っ越し完了です。まだダンボールハウスに住んでいる感が拭いきれませんが、ある意味での新生活。通勤は遠くなりましたが、そのぶん本を読んだり皆様の作品を読めたり、物語の構想をメモしたりと、有効な時間の使い方ができそうです。


 ところでメモで思い出しましたが。私、スマホはiPhoneをずっと使ってるんですね。別にApple信者と言うわけではなく、最初のスマホをiPhoneにしてしまったので、アカウントの変更とかが死ぬほど面倒でずっとiPhoneにしているだけなんですけど。

 それでですね、このiPhone、最近ようやく「全角スペース」がデフォルトで打てるようになったんです。


 これ、地味に嬉しい機能です。行頭一字下げなどを行う場合、今まではユーザ辞書に「 ●」を登録しておき、そして入力した後この●を消去して全角スペースにする、というクソ面倒臭いことをしていたのです。今までずっと、小説を書く時も。

 なぜかと言うと、iPhoneには「全角スペース」だけをユーザ辞書で登録できなかったからなのです。つまりスペース後ろの●は苦肉の策ということです。


 面倒くさがりなのに何故こんな修行じみたことを……と、「iPhone使いにくいなぁ、でも変えるのも面倒やなぁ」と泣く泣くそうやって入力していたんですが、ついに、「空白」を押下するだけで全角スペースが打てるようになりました。やるじゃないかApple!


 他にも色々アップデートされてるんでしょうけど、よく知りません。スマホは「電話できて文字が入力できてネットに繋げられる」だけで素晴らしいガジェットですからね。それくらいでいいんです。そしてその文字入力が(私の中で)劇的に改善されたんですよ。これはかなり嬉しいことです。



 そんなこんなで、この全角スペースのお話を続けますが。私はお話を書くとき、なるべく「いわゆる小説の書き方のルール」に従って書くことにしています。別にそれが拘りだ、とかいう訳ではなく、その方が読んでもらえる確率が高まると思っているからです。

 小説の書き方のルールは色々とあるみたいですが、例えばさっきから話しているこの行頭一字下げ。読んで字の如く「行頭に全角スペースを入れて一字下げる」だけというルールですね。

 でも行頭が会話文の「」で始まるときはスペースを入れないのが主流みたいです。何故? って思うようなルールですよね。


 そして次はこれ。「!」とか「?」の次に文が続く場合は全角スペース入れて一字あける、というルール。例を挙げると、こんなヤツです。



「え? それ、本気で言ってんですか? 私、普段は温厚ですがそれは本気で怒りますよ!」



 この「え?」の後に続く全角スペース、これもルールらしいのです。しかし、カギカッコのセリフの最後にある「!」とか「?」の後ろにはスペースを入れない。つまり、上の文だと最後の『怒りますよ!』の感嘆符の後はスペースを入れずにそのままカッコ閉じ、ということになります。


 次はですね、「」のセリフの終わりには句点を入れないというルール。



「つまりこういうことです。あなたは私を怒らせた。」



 この最後の句点は省略する、というのがルールらしいです。でも小学生の使う教科書なんかは、カッコの最後にも句点を打とうね! と推奨されているみたいですけど、現在流通している大半の小説は、カッコの中は句点を省略となっているみたいです。

 ちなみにですが、「……」や「──」はカッコの最後でも入れられるんですよね。いやいや、何故? って思いますよね。



 まぁ、ルールに縛られすぎて雁字搦めになってしまって結果書けないというのは本末転倒ですが、こういうルールはなるべく守った方がいいと思ってるんです。何故ならこのルールが守られていないと、読んでもらえないこともある上に、コンテストなどでもマイナス評価を受けるおそれがあるからです。


 で、いろいろ調べているうちに、カクヨム内でこの「ルール」についてとてもわかりやすく書いている方がいらっしゃいますので、興味のある方はそちらをご覧ください。すごく勉強になると思いますよ。

 勝手にURL載せちゃっていいものかわかりませんが、勝手に宣伝ということで!


板野かも様のページ

https://kakuyomu.jp/works/1177354054888767142





 意外にも、結構まじめな話になって来ましたね。最近まじめな話してなかったからなぁ。良い機会です、よし続けましょう。


 ルールはなるべく守った方がいいのだぜ、といったスタンスの私ですが、私の好きな表現にこのルールを無視する「カギカッコの終わりを読点で閉める」というものがあります。例を挙げるとこんなやつ。



「いや待ってくれ。それってまさか、」



 この表現方法を使う小説を、初めて読んだ時には驚いたものです。尊敬してやまない、柴村仁先生の「プシュケの涙」という作品でこの表現方法を初めて知りました。これ、いい作品なんですよ。こんな小説を書いてみたいという、私のひとつの理想型です。未読の方は是非。


 この読点で終わるセリフというのは、「セリフの途中で遮られる」ということを示しているように感じます。それが文字の「スピード感のようなもの」を生んでいる気がするのです。このセリフのあとに別の誰かのセリフを入れると、まさに「遮られた感」が出るのです。また例を挙げてみましょう。



「いや待ってくれ。それってまさか、」

「言ったでしょ? 引越し屋を信用するなって」



 最初のセリフの人物をA、次のセリフの人物をBとすると、AはBに言葉を遮られた、みたいに感じませんか?

 続きを言いたかったのに遮られた。だからカッコの中が読点で終わっている。いやぁ、素晴らしいですよね。とても有用で私の好きな表現です。もちろんこれに違和感を感じる方もいらっしゃるでしょう。正しい使い方ではありませんからね。でもその違和感さえ、このセリフを目立たせていると思いませんか?


 ちなみに例えば、読点以外でこれを表現すると。三点リーダとダッシュが使えると思うのです。それらを例に挙げてみると。



「それってまさか……」

「言ったでしょ? 引越し屋を信用するなって」


「それってまさか──」

「言ったでしょ? 引越し屋を信用するなって」



 こんな感じですね。

 三点リーダの場合は、上に書いた読点閉め(勝手に名付けてやったぜ)とは違い、しばらくの「間」を表現できています。

 私の感覚で言うと「1〜2秒のの間」くらいでしょうか。

 一方、ダッシュは「言葉尻を伸ばしている間」を表現しているように思えます。

 つまり、三点リーダの場合は「セリフ主の口から声が出ていない、1〜2秒の無言の間」であり、ダッシュは「セリフ主の口からまだ声が出ているような少しの間」を表しているように思えます。



 まとめるとこんな感じですね。


 一番短く感じるのは読点閉め。

 セリフ主がセリフを喋っている途中で、別の人間がセリフなどを挟み込んでくる感覚。ゆえに間はほぼゼロ秒。


 二番目に短いのがダッシュ閉め。

 セリフ主の口から、語尾を伸ばしたように声がまだ出ている状態。感覚としては読点閉めに近いが、語尾を伸ばしているように感じる分、読点閉めよりは長い。


 三番目は三点リーダ閉め。

 セリフ主Aのセリフが一度完全に途切れ、音がない状態。その間を受けて次のセリフ主Bが発言しているので、間が一番長く感じる。



 こんな感じでしょうか。

 まぁ、こんなのはあくまでテクニックであって、本当に文章力のある人は地の文でこういうのを表現できてしまう訳ですよね。

 文章力が高い人って本当に凄い。持って生まれたセンスだったらもうお手上げですが、努力して技術を磨けば「理想の表現方法」にたどり着くかもしれませんね。


 そんなこんなで、「こういう表現方法が好き」みたいなのがあれば、教えていただけると嬉しいです。センスのない人間は、日々努力するしかありませんからね。


 長々とまじめなことを書いてしまいましたが、結論はひとつだけ。



 私は珍しく怒っています!(笑



 それでは、また。

 いつもありがとうございます。




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