オマケ 2 それは、呪いの……?
僕が子どものころの話だ。
あまりにも説明のつかない体験をした。
そのころ、僕は人並みに、はやりの某有名アニメが好きだった。オカルトテイストなんて、まったく無縁の健全アニメだ。このアニメじたいには、なんの問題もない。問題があったのは、僕のほうなんだろう。
そのアニメは日曜に放映されていた。
僕は毎週、ビデオテープに録画していた。あとで何度も見て、楽しむためだ。
同居の祖父と兄は、兄のクラブ活動のために出かけている。いつものように、そのアニメを見ながら、一人で留守番していた。
それは、とつぜん、起こった。
なんの前触れもなく。
アニメが場面展開になり、一瞬、画面が真っ黒になった。それじたいは、よくあることだ。場面と場面のつなぎがブラックアウトすること。
いつもなら、ほんの一瞬で、すんなり次の画面に移行する。
ところが、そのときは、そうじゃなかった。
画面が黒くなった瞬間に、バチッと変な音がした。テレビ画面からだ。しかも、なかなか次の画面にならない。黒いまま、かくじつに三秒くらいは経過したように思う。少なくとも、僕の主観では、そうだった。
おかしいな? なんで?
幼い僕は、テレビ画面を見つめていた。
すると——
真っ黒な画面を白いモヤのようなものが、よこぎっていく。右から、左に。
はっきり、人影だとわかった。
ミニスカートをはいた、ルーズソックスの女子高生くらいの女の子。モヤモヤした影だから、もちろん顔などはわからない。ゆっくり、よろめくように、よこぎって……画面左で消えるころに、場面が切り変わった。ふつうに、さっきのアニメの続きが始まる。
たった、それだけのこと。
ほんの数秒の体験。
ただ、この話には後日談がある。
あまりにも怖かったので、僕は、そのテープを見ることができなかった。好きなアニメだから、捨てることもできないし、なんとなく押入れのなかに、とってあった。
大人になってから、僕は、どうしても気になって、それを見た。もしも、テープに写っていなければ、あの人影は、幼い僕が見た、夢か幻だってことになる。正直言えば、ハッキリ幻だと確信したかった。
僕は、たしかめた。
十年ぶりに、そのテープをひっぱりだして。
……結果は、もうわかるだろう。
それは、写っていた。
あのときと、まったく同じものが。
アニメキャラとは頭身からして違う、リアルなJK風の人影……。
迷わず、そこでテープはストップし、そのまま、ゴミ箱に入れた。次のゴミの日に出した。
この話を、さらに何年後かに、友だちにした。すると、そのときは元気そのものだったのに、直後に風邪をひいてしまった。一週間以上わずらって、持病のぜんそくまで合併してしまう始末。
あれが、なんだったのか、今でも、わからない。
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