第11話 わたしにだけ見えない



 中学のとき、うっかり妊娠してしまった。

 そのときの彼が、ネットで怪しい堕胎薬を買って渡してくれた。

 薬を飲むと、生理痛のような痛みがあり、すうっと赤い血が流れた。

 形のわからない変な肉のかたまりが、血まみれで出てきた。

 わたしは、それをビニール袋に入れて、近所の河原に埋めた。


 でも、やめとけばよかったかなと思う。


 あれ以来、わたしは彼氏ができない。

 わたしが好きになった人たちは、みんな、わたしを見ると悲鳴をあげて逃げていく。


 その人たちは言う。

「君が悪いわけじゃないんだ。君は、すごくステキだし、いい子なんだよ」


 じゃあ、なんで?


 その人たちによれば、わたしのあとを、ずっと、ついてくるものがあるらしい。


 血まみれの肉塊が、ズルズルと、這ってくる——

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