第9話 おまたせいたします

うなだれているわたしを見て、おじいちゃんが必死に話しかけてきます。


「ま、まっとくれ!話には続きがあるんじゃ!」


なにやら続きがあるそうです。落としといてから話があるとか、あなたはSですか。わたしはMに目覚めていないので必要ありません。やめて...ぐすん...ください。


「確かに昔は遁属性は最弱じゃとおもわれとった!なんの魔法も使えんと思われとったしの!」


さ、さいじゃく...

なんなんですか。泣かせたいんですか。 もう泣いているので許してください。


「しかしの、後になってあることがわかったんじゃ」

「あることってなんですか?」


答えられないわたしに代わってシーナさんが聞いています。優しい子です。その調子で頼みますシーナさん。そう思ってシーナさんをみました。

.......好奇心で目がきらきらしてます。どうやらわたしには興味ないようです。こちらを見もしません。泣きますよ?


「それはの、遁属性は特殊な魔法を使えることが判明したんじゃ」

「え,とくしゅ?」


ようやく復活しました。

わたしはポーカーフェイスにつづいて鋼の精神。というスキルを獲得したようです。このS達のおかげです。ああ、S、万歳。


「そうじゃ、まとめるとの、遁属性はみなが使える魔法は一切使えんが、みなが使えない魔法を使うことができる、というわけなのじゃ」


んー...いいのか悪いのかわかりませんね。

とりあえずふつうでよかったわたしにとっては、悪よりの悪です。


「例えばどんな魔法があるんです?」

「実は、わからんのじゃよ。」

「はい?」

「遁属性は反よりもレア,それこそ生きていて一度会えるかどうかの激レアじゃからの。情報が少ないんじゃ。わしの見解なら話すが、それでも良いか?」



あれ...レア...?

激レア...?わたし、超絶レアキャラ?


・・・


やったーーー!!!レアキャラですよ!おじいさん、激レアっていってました!超絶レアっていってました!

いえ、幻聴じゃないです。そんなわけないです。ふつうに嬉しいです。ふつうがいいとか言ったわたしさよなら!レア好きなわたし、かもんです!


「はい!!お願いします♪」


わたしはもうご機嫌です。いまのわたしはバブル期の物価くらいにテンションがあがっています。


「な、なんじゃ?急に元気になりおって」

「おじいさんに乙女心がわかるとは思ってません。続きをどうぞ、続きを!」

「そ、そうかの...?まあよいのじゃ。遁属性の話じゃったな。わしは、最もイメージ力に左右されるのが遁属性じゃと思っておる」


またイメージの話ですか。イメージイメージイメージって何回聞くんですかこの世界。ゲシュタルト崩壊起こしますよ。


「イメージがはっきりできれば、特殊な魔法でも、今まで誰も見たことのないような魔法でも使える、そうゆうことですか?」

「そうじゃ、基本魔法は使えんがの」


なぜそれが使えないのでしょう?意味がわかりません。


「なんで使えないか、理由はわかっていないんですか?」

「それはわしにもわからんのじゃ。すまんの。ただ、遁属性を発現したものは総じてイメージ力が高いという噂があるんじゃ」


......いえ、それはむしろ逆だと思います。イメージ力が低い遁属性の人たちはふつうに魔法使えないだけの出来損ないですからね。お荷物認定されて、表に出てこないのでしょう。イメージ力の高い人だからこそ表にでてきて、知られるまでになるのだと思います。

そんなことはもちろん言いません。空気を読める女ですから。


あれ?でも、


「イメージ力が高いなんて、どうやってわかるんですか?」


そうです、はかれないじゃないですか。おれはこんなイメージをしてる、すごいだろ!と言われても、妄想ですか?帰ってください。と言うだけですし。


「それこそ、あの装置の点滅回数だったのじゃ」

「「あ~なるほどです」」


って、シーナさん?なんで知らないんですかあなた。それよりも真似しないで下さい。それはわたしのお気に入りワードです!

わたしがシーナさんをゴミを見るような目で見ていると、


「.....昔おじいちゃんは点滅の回数は胸の大きさだって言ってました」


こんのスケベジジイが!

というか、その話まともに受けないでくださいよ。ちょろいです。この子詐欺られますね。主にわたしに。


「え、でもあのときシーナはわたしにそれ教えてくれなかったじゃない」

「え、だってですね、わたしの方が胸大きいのに、ほのかの方が回数が多いっておかしいじゃないですか。何かの間違いかと思っていましたし」


こ、こいつ、堂々といいやがりました。

胸のことは気にしてたの............いえ、別に気にしてませんけど?わたしだってない訳じゃないです。少なくともAではないですから。.....Aよりはありますから。Cくらいかも。きっとそうです言わせんな。

おじいちゃん、暖かい目やめてください。

そもそもがあなたのせいですからね?

おろしますよ?

ギロッとおじいちゃんをにらむと、あわてて目をそらしていきました


「それでおじいさん、何回くらいがすごいんですか?」

「あ、ああ。そうじゃの。この装置でイメージ力、正確には魔法を再現する力を図ることが出来ての。普通は二回か三回なんじゃ。そう思うと五回いけばすごいほうじゃの。ちなみに,今までの最高の回数は10回じゃったといわれておる。装置的にも10回以降は測定できんしの。」


ニヤリ。やりました。わたし勝ち組だったみたいです。


「じゃ、じゃあわたしの9回は......?」

「うむ、ものすごいイメージ力といえるのぉ」

「やったーー!」


うれしい~うれしいです。

この世界に来てようやく心からうれしい出来事に出会いました。

はぁ、やっと報われてきた気がします。


......今までを思い出したら少し嬉しさが薄れてしまったわたしです。

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