第7話 こちらこそです

とりあえず帰ってきた二人にお茶を、とキッチンへ向かったシーナさん。

ちなみに、おじいちゃんが買ってきたお土産によって機嫌はすっかり直りました。そのお土産が何かは教えてくれませんでしたが。

お茶も入って一休憩したころ、


「おじいちゃん、聞きたいことがあります」


シーナさんが切り出した。


「もちろんよいぞ、なんのことじゃ?」

「ほのかの魔力のことです」


...!緊張します!


「ほのかの魔力をみてみました。そしたらオレンジ色に光り、その後9回光りました。これはいったいどんな魔力なのでしょう?」


あぁ緊張します。息を飲んで言葉を待ちます。

すると、






「遁じゃな」


「「は?」」



わたしとシーナさんの声がハモりました。

なんですかそれ、もっとわかりすいのを求めてました。炎とか水とか。


「これを説明するには、この装置について説明する必要がある」


魔力測定に使ったちっちゃな机を指差しながらそう言ってきました。


「まず、この装置は属性を見極めるものではないのじゃ」


「「は?」」


だいぶシーナさんと仲良くなったみたいです。息ぴったりです。意味不明すぎて、ですが。


「ちょ、ちょっとまっておじいちゃん!わたしに属性をはかるためのものって言ってたよね!」


シーナさんはかなり動揺するとタメ語になるみたいです。あのときタメ語になってたのは偶然じゃなかったってことですね。


「そうじゃの。そういったの」

「紫は風!緑は土と火!青は風と水!それから!黄色は」

「落ち着け、落ち着くんじゃシーナ」


ええっ!急に大声で語りだしたシーナさん、これは相当動揺してますね。あ、もしかして、動揺すると取り乱してしまう自分を変えたくて普段から大人っぽい言動にしたのかもしれません。やっぱりいい子です。


「それは正しい。あっておる。だからまずはわしの話をきいとくれ」

「..................わかった」


長い沈黙のあと、シーナさんはボソリと呟きました。


「オホン、ではまず二人に聞くが、虹は知っておるか?」


虹?そりゃあ知ってますけど。


「はい、知ってます」

「わたしも」

「ならよし、知っておる通り、虹は七色からできていてな。内側から、紫、青、水色、緑、黄色、橙色、赤、となっておる」


......わたし、色の順番は知っておる通りじゃなかったです。でも意外とみんな知らないんじゃないでしょうか。知っていそうで知らないことクイズの第2問目あたりに出てくると思います。


「この装置はの、虹の色を使って魔法適正をはかるものなんじゃ」


ま、魔法適正?!属性関係ないじゃないですか!ちらっとシーナさんをみると、わたしと同じ表情をしています。......考えてることは同じのようです。


「それがなんで属性につながるのよ!」


......シーナさん性格変わってません?大丈夫でしょうか、わたしたち友達のままですよね?


「魔法にはそれぞれ難易度の低いものと高いものがある。簡単なものから順に、風、水、火、土、雷となっておる」


へぇ~やっぱり雷は難しいんですね。それよりも、土が火より難しい?なんか逆なイメージがありますが。


「これはイメージのしやすさと関連しておってな。日常的に触れるものほど簡単に魔法が使えるのじゃよ」


あ~。なるほどです。土、つまり断層とか地割れとか、普段見慣れないものより、毎日扱う火のほうが見慣れているということですね。地面みててもなにもイメージ浮かびませんし。ところでここでは地震は起こるのでしょうか。東京にすんでいたときは地震なんてなれたものでしたが、ここに地震がきたら即建物崩壊です。

............魔法で直すのでしょう。問題なさそうです。


「紫が最も適正が低く、黄色が最も高いんじゃ」


順番ってわけですね。

ん?わたしの色いないんですけど。


「オレンジと赤はどうなんですか?」

「それはあとで話すから待っておれ」

「あ、は~い」


失礼しましたー!お話には起承転結がありますよね!そういうの大事にするおじいちゃんなのかもしれません。ちなみにわたしは《起結承転》派です。ミステリーとか読むときは登場人物みたらまず犯人をみます。それから中身みて、こいつです刑事さん!こいつですー!ってにやにやしながら読むのが好きなんです。周りには変な目されますけど。


「シーナや、おまえさんに教えた色と属性を虹の順にならべてごらん」

「うん」


それを聞いて、シーナさんが取り出したのはわたしがあげたルーズリーフでした。にやにやしながらボールペンを握っています。

......書いてみる見たいです。


「シーナや!それはどこで手にいれたのじゃ

!」


なんとおじいちゃんが反応しました。そんなにレアなのでしょうか。魔法で作れるのではと思いますが、ここはスルーしておきます。


「えへへ、ほのかにもらったの」

「なんと!」


本当にノリのいいおじいちゃんです。リアクションも完璧です。


「ほのかよ、ありがとうな、こんなものをもらってしまって」

「い、いえ!助けられたのはこちらですから!」


面と向かって感謝されてしまいました。照れます。褒められ慣れてないので免疫ないんです。いまので抗体ができるかもしれません。


「おじいちゃん!書いてみたよ!」

「よろしい、ここに適性も書いてみれば、こうなるのじゃ」


おじいちゃんが何やら書き足しています・・


どうやら書き終わったみたいなので、のぞいてみます。


---------- -----

色 ∥ 属性 適性順

---------- -----

紫 : 風 風

青 : 風、水 水

水色: 風、火 火

緑 : 火、土 土

黄色: 雷 雷

---------- -----



おっとー。これはわたしのもっているイメージとだいぶ違いますね。紫が風とか、毒の霧にしか見えません。

水色になんで水がいないんですか。あなたなんの色ですか。帰ってください。反省してください。水を手に入れてきてください。

そんなわたしの思考をよそに、


「どういうことなの?」


シーナさんははてなマークのご様子です。


「あっ」


わたし、気づいてしまいました。


「ほのかや、言ってみなさい」

「は、はい!適性の順番と魔法の難易度の順番が同じ感じがします!」

「正解じゃ」

「え、なに?どうゆうこと?」


シーナさんは意外に頭悪かったんですね。昼間はあんなにどや顔してわたしに諭してきてたのにです。これはまたいつか仕返しできる気がしますね。


「つまりはの、適正が高いほど難しい魔法が使えるじゃろ?だから、この装置で適正を測れば、どの難易度の魔法が使えるのかがわかるのじゃよ。それを属性としてシーナに教えていた訳じゃ」

「で、でも、順番通りじゃないところもあるよ?」


そのとおりです。水色には水がありません。もう一度いいます、水色には水がありません。


「これはの、水色は水が苦手なわけではないんじゃ。ただ、火が使える適正をもっておるからの。水を使えるとしても、火と相性のよい風を強化した方がなにかと役に立つんじゃよ。だから水とはならずに風となっておるのじゃ」


なるほどです。わたしなるほどですって言葉気に入りました。話理解してますよ!納得ですよ!っていうのを一言で表せるってすごいですよね。

......なら納得ですって言えばいい、ですって?

黙りなさい

ひとまず水色さんの事情は把握しました。不起訴といたします。


「じゃあ、黄色はなんでも使えちゃうけど、せっかく雷使えるんだから雷の強化しなよってことですね!」

「そのとおりじゃよ」


だんだんわかってきました。

あとはオレンジと赤、点滅の回数ですね。

そういえばオレンジって微妙なところの色ですよね、どうせなら赤がよかったです。点滅も微妙な9回でしたし、わたしの人生を写してるようです......

ちょっと悲しくなったわたしです。

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