第3話 いただきます

「わたしの得意料理のアネトミといいます。どうぞ食べてください。」


...これはなんだろう?パスタのようにもみえる。ただし、広く見ればです。どれくらい広く見るかと言うと、《え、トマトって赤いからりんごの一種だよね》くらい広く見ればです。

丸くて深いおさらに、なにやら茶色の茎みたいのが、袋詰めされてるもやしみたいに絡まっていて、ところどころ紫色のなすの皮みたいのが混じっています。上にはなにやら黄色くて丸いものがのっていて、ぜったいあとからのせただろうドクダミ(※これだけはわたしでもわかりました。)がちょこんと端にのっています。でも、たしかドクダミは食べれます。パクチーみたいな味ではなかったでしょうか。パクチー嫌いですけど。んー、わたしには生野菜混ぜただけにしかみえません。汗だらだらです。


「あ、あの」

「はい、なんですか?」

「さっきのお茶おかわりで」

「もちろんいいですよ」


とりあえず飲み物確保。これで勝てます。

飲み物といえばさっきのお茶は見た目によらず美味しかったです。この料理もそうなのでしょうか。


「では、いただきます」

「...?どうぞ」


いただきますは通じなかったみたいです。

とりあえず、茶色の茎だけ一本とって。


パクッ

「......ん?」

「どうかしました?」


あれ?どうしたんでしょう。

味がしません。少なすぎましたか。もう勇気をもって一気に!


パクッ


「え?」

「あ、おいしくないとか...?」

「あ、そうじゃないんだけど、あれ?」


どうなってるんでしょう 。味がしません。

でも、これなら全部食べれる気がします。


「どんどんいただくね!」

「え?あ、はい」


シーナさんは動揺してるみたいですが、お構いなしに食べていきます。黄色のやつも紫の皮もドクダミも味がしません。あ、いえ。少しはするんですが、どれも薄くて、同じような味がします。食事を楽しみに毎日を生きていたわたしにとってはちょっと苦痛かもしれません。

でも今はサイコーです。味なしサイコー!


「ごちそうさまでした」

「全部たべてくれて嬉しいです」


おそらくごちそうさまもわかってないみたいですが、早くもスルーしています。ぜったいあとで覚えさせます。

食べてる間に考えました。きっと日本の味が強すぎるんです。キッチンをちらっとみたら香辛料も調味料もほとんどありません。素材自体の味なのでしょう。...でもじゃあドクダミはなぜ味がしないのでしょう?

...まあ、難しいことはほっときましょう。

考えないのがが一番です。


「ご飯ありがとう!なにかお礼は...」


スクバを見てみます。が、特にいいものはありません。仕方なくルーズリーフとボールペンを出して、


「はい、これあげる」

「あ、ありがとうございます。これはなんですか?」

「紙と、紙に書くためのペンだよ」

「紙!あんな高価なものを!いいんですか?!」


そうでした。紙は昔貴重だったんです。しかもこんな白い紙めったにないのでしょう。とにかく、喜んでくれてるみたいで嬉しいです。


「もちろん!お世話になってるし」


これからも少し厄介になるし。というのは言わないでおきましょう。


「ありがとうございます!」


あのシーナさんが飛び跳ねてます。そんなに嬉しかったんですね。やっぱり15歳です。詐称じゃありませんでした。


「それでさ、魔法について聞きたいんだけど」


さあこっから本題です。わたしにも魔法が使えるでしょうか。緊張します。


「いいですよ、ではまずほのかさんの魔力を見てみましょうか。」


おお!魔力!魔法っぽいです!のってきました。


「ちょっとまっててくださいね。」


そういって、シーナさんは奥の部屋へとはいっていきました。出てきたときにはなにか持っています。小さな机でしょうか?四つの足に丸い板がのっています。しかも板には紫色の魔方陣が書いてあります。


「このうえに利き手をのせてください。」

「は、はい」


利き手の右手をのせてみます。

すると...


「おおっ!」


なにやら魔方陣が光だしました!なにが起こるのでしょうか。わくわくです。


「これから魔方陣の光が変化し、その後ゆっくり点滅します。何回点滅したか数えてください。」

「はい!」


その瞬間、魔方陣の光が紫からオレンジに変化しました。


「おお!」


いちいち声をあげてしまうわたしですが、このときばかりは仕方ありません。テンションマックスです。

その後、ゆっくり点滅しはじめました。

一回、二回、三回、、

回数を重ねていきます。

六回、七回、、八回

九回目にはひときわ大きく光り、そしてゆっくりと光は消えていきました。


「おわった?!ねぇ!おわった?!わたし、どうなの?!」


相変わらずあげあげです。しかし、年頃の男の子ならわたしの気持ちもわかってくれるでしょう。問題はわたしが女の子というところにあるのですが。


「............」

「どうなの?」

「............」


シーナさんはなにも言いません。

少し不安になってきました。なにか悪いことでもあったのでしょうか。


すると、


「......オレンジってどの属性でしたっけ?」


思わず口を開けて固まってしまったわたしです。

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