第2話 おじゃまします
わたし、神崎ほのかはどうやら知らない国に来てしまったようです。
そこで出会った女の子、シーナさん。
とってもいい子です。年齢は15歳。わたしが華の、ええ華の17歳なのでわたしの二つ下ということになりますが、礼儀正しい言動はとても大人に見えます。わたしよりも。胸も負けてます...あれ、涙が...
いまはシーナさんのおうちにお邪魔しています。こげ茶色の内装は家の古さを感じさせます。お茶だといって持ってきてくれました。
「どうぞ。」
「.........ありがとう」
控えめに言ってかなり変な色をしたお茶です。ごまドレッシングと同じ色、と言ったらわかりやすいかも知れません。
というかそもそもなんでお茶という名前なのでしょう。突っ込んでみたいですがシーナさんに聞いても無駄でしょう。
........これは飲み物なのでしょうか。シーナさんをちらっと見ます。...おいしそうに飲んでます。目をつぶって、わたしも思いきってひと口。
「...!おいしい!」
「喜んでもらえてよかったです。」
なぜこれがおいしいのでしょう。
どろどろ感は全くなく、さらっとしています。味は水に近いですが、なにやら喉がスッとします。喉に良さそうです。
お茶から多様性を学ぶことになるとは思いませんでした。
「ところでシーナさん、ここにはあなた以外に誰か住んでるの?」
少し考えて、母親や父親を直接訪ねるのはやめておきました。外国ですし、日本のように安全ではないかもしれません。
「ここには祖母と祖父が住んでいます。いまは町の方へ出掛けていますが。」
「シーナさんはついていかなかったんだ?」
「はい、2人で町に行くのを昔から楽しみにしているみたいなので。わたしはいつもお留守番することにしてるんです。」
やっぱり大人です。15歳とか年齢詐称じゃないでしょうか。
「町ってここからどれくらいなの?」
「大体歩いて1日くらいですよ。朝早くここをでれば日が沈む前には町に着けます。」
...結構かかるじゃないですか。くらいってなんですかくらいって。さすが異国。またも多様性です。今日なんかい多様性を持ち出さなくてはいけないのでしょうか。
「そうですか...」
「ほのかさんはどうしてここに?」
「それが、気がついたらここにいたんです。」
「はい?高等魔法のひとつですか?瞬間移動とかそんなものですか?」
いま...なんといいました?
「ま、まほう!?まほうってなに?!」
「はい?魔法ほ魔法以外にないと思うのですが」
これは緊急事態です。
えぇ、えぇえぇやばいです。
「えっと......魔法?あー 、あの、おじいさんとかに見せてもらう手品のことでしょ?それ魔法じゃないんだよ実は」
そうに決まってます。この子は騙されてるみたいです。助けてあげないと!!救ってあげないと!!
「バカにしてるんですか?私だって魔法使えますよ」
「...ほんとなのね」
どうやらここは世界ごと違うみたいですね。。。
実は人類は魔法使えたんです!みたいなことがなければここは異世界ですよね。とりあえず、とりあえずハッキリはさせましょうか。
「あのさ。今いるこの星って地球って名前だよね?」
「そうですけど」
「そうだよね、やっぱりここ.....え?
地球?え?地球?」
「だからそうだって言ってるじゃないですか」
はい?どういうことです?
「じゃ、じゃあ大陸の名前は?」
「タイリク?タイリクってなんです?」
「なんで大陸は知らないのよぉ..」
もう訳分からんです。地球なのに魔法?異世界では無いんでしょうか。
「じゃあ、ここには海...ものすごくでっかい水たまりみたいなのだけど、それってある?」
「私は見たことないですけど、海はこの島を全部覆ってるんだっておじいちゃんが言ってましたよ」
「あ、海は海って名前なんだね」
よくわかりせんが、とりあえずここは私の知る地球では無いみたいですね。
はぁ〜。
とりあえず明日の学校もお休みみたいです。
「はぁ〜。これは元の場所に帰れるかわからないなぁ」
「元の場所?」
「うん。私は急にこの場所に飛びだしてきちゃったみたいなの。わたしはね、なんでここに来たのかわからない。でも、なにか理由があると思うんだ。それを探さないと。」
「そう、なんです?」
よく分かってないみたいですがもういいやです。
人生に無駄なことはないっておじいちゃんもいってました。まぁしょうがないですしね。能天気さは私の美点ですし。どうせなら魔法も使ってみたいですね。
ですがそのまえに...
「その話は置いといて、お腹すいちゃって。なにか食べ物分けてくれない?」
「あ、ごめんなさい。気づかなくて。今なにか作りますね。」
「あ、いいよゆっくりで。ありがと」
難しいことは捨ておきましょう。
ご飯です、異世界の食べ物です!!楽しみにしましょう。
……………………………………………………
待つこと20分。くらいでしょうか?時計ほしいですね。スマホがありました。ちらっと見てみましたが、時計も止まっています。電波がないので仕方ありません。はぁ。
この20分、家のなかをキョロキョロしてました。どうやら部屋はふたつ。ドア開けてすぐのわたしがいまいる大きな部屋とドアとは反対側にもうひとつ横にひくドアがあります。おそらく寝室ではないかと思います。
そうこうしていると、
「できました!」
シーナさんが料理をもってきました。
「え?」
本日三度目の多様性を知ることになったわたしです
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