第7話 期待のやきもち
あいつのやきもちを確かめたくて、俺はわざと他の女といることもあった。
バカげたことだけど、それぐらいでしかあいつの気持ちが読み取れなかった。
そんな時、佐藤に手を出すメガネの野郎がいて、俺は頭にきた。
俺が頭にきたのは佐藤だった。
こんなに思い続けてる俺ですら佐藤に触れることなく我慢しているというのに、こんなに俺が大事に、変な奴から守ってきたというのに、こいつはすぐ隙を見せる。
人気の無い神社に連れてこられて、俺は心臓がバクバクしていた。
もしこれが俺じゃなかったらと思うと腹立たしい。
それにしてもさっきから、こいつの言うことが全てやきもちにしか聞こえないのは、俺が都合良く受け取ってるだけなのか?
勢いで「俺を見ろ」とは言ったが、本当にジーーっと見つめてくる瞳に、イライラは収まって俺は別の感情が渦巻いていた。
もう本当は先に進んでも良いんじゃないのか?
俺の心臓はちぎれそうに鼓動が激しくなって、早く白いうなじに唇を当てたくて、ここまで来ては本能的にもう自分自身を止められない気がした。
もうダメだ。
俺が守ってきたもの。
二人の関係性。
俺達の未来。
めちゃくちゃになってしまう。
俺の言葉にゾクッと身震いしたのがこっちにも伝わって、もう俺は全身が狼の毛で覆われてしまっていた。
でも、華奢な体が小さく震えてるのを感じて、今止めないと絶対に後悔する!!!と、思えた。
こいつの笑顔が脳裏をよぎった。
俺は土壇場で自分の本能に打ち勝った。
俺があの時嬉しかったのは、結婚だ何だって言葉より、俺を本気で拒否しようとせず心なしか受け入れようとしてくれたことだった。
勿論、そういうことは結婚した後にしようという言葉が佐藤の口から出たことは俺を調子に乗せていた。
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